君が流したユメナミダ。


終わりと、それと


フッと、意識が浮上した。柔らかい枕と温かい布団に包まれ、暫く部屋の中を見る。
アリシアと名残雪はちゃんとベッドの横に、丁寧に血をふき取られてから置いてあった形跡がある。
・・・あれ?
「ボス?」
XANXUSが、いない。何故自分の部屋で寝ているのかとか、勝負がどうなったのか、XANXUS達はどうなったのか。起き上がったときに頭に激痛が走ったが、気にせず歩いていった。無謀とはこのことだ。完全に疲れも取れていないし、直っていないのに動いたので、キズが開き、倒れてしまった。



ファルファ視点終了



ツナ視点

XANXUSやファルファはどうなったのか。それが聞きたくてベッドから降りた。起き上がったときに肩や両脚に痛みが走ったが気にしてる時間などない。部屋から飛び出し階段を駆け下りる。リボーンはきっと居間に居るはずだ。
「リボっおぉおおおおおおおおおおお!?」
「・・・邪魔している・・・大丈夫か?」
思いっきり扉を開けた先にいた人相が悪い人によく分からない叫び。痛い、胸が、喉が痛い。ゴホゴホと咳をするツナをイーピンやランボ、フゥ太を侍らせ心配をするのはランチアだ。何だろう、見てはいけないものを見てしまった・・っ!とてつもない後悔が襲う。

「あらツっ君起きたの?早く着替えてらっしゃい」
「・・・うん、そうするね」
もう、気力も何も使い果たした。起きてすぐに1日の体力を使い切ってしまった、そんな気分だ。部屋へと戻っていくツナの後をこっそりと、リボーンが追いかけ部屋の中に入った瞬間に背中に跳び蹴り。今日も決まった。
理不尽な暴力に慣れつつある自分を叱咤し、倒れこんだベッドから起き上がる。
「いきなり蹴るな馬鹿!」
「うるせえ。それよりXANXUS達の事だが、9代目と家光の2人で処分を決めることになった」
「っ、今、何処にいるの!?」
「日本だ。本来なら即イタリアに護送するのをあえて日本で監視下に置くことにした」
「なんで、日本に・・」
「昨夜9代目が集中治療室で意識を戻したときに言ったらしい」
XANXUS達を日本で暫く監禁する。ツナが勝つことを信じて言ったであろう言葉。すぐにまた意識を失ったらしいが、峠は越えたとの事だ。

「ファルファも!?」
「当たり前だ」



一番知りたくないことを知ってしまった。

やっとあのときの言葉の意味も分かったのに。

Tiamo・・・「愛してる」



キズよりも心が痛んだ。



「ヴァリアーの精鋭もランチアが倒した。今、XANXUS達だけをイタリアに戻せば上の奴等が黙っちゃいねぇ」
「守る・・ため?」
「あれでも、9代目はXANXUSを息子として愛してるんだ」
不器用すぎるんだ、2人とも。帽子で顔を隠すリボーンにしばし言葉を出しはしなかったが、この後何をするかはすぐに決まった。
「ファルファ達は、何処?」
「ボンゴレが所有する病院だ。暫くはベッド暮らしだな」
「俺、ファルファに会いたい」
「ヴァリアーの連中に怨まれていてもか?」
「それでも、ファルファに会いたい」

間をおかずに傍にいたい。知らないうちにイタリアに連れ戻されてしまうなんて嫌だ。少しでも長く、ファルファの傍にいて出来れば悲しみを消し去ってあげたい。ツナの真っ直ぐな目に、はじめから教える気でいたのだが中々言葉にするのにはためらいが出る。ファルファとツナが会うことに関しては別に、リボーンは危険だとかは思ってはいない。ツナをボンゴレの業から守るために躍起になっていたのは、大空戦ではっきりと分かった。
ならば何故躊躇うか?
「ツナ、何かお前忘れてねーか?」
「?・・・何か、忘れてる?」
これだ。実はスクアーロが生きていた。ディーノが雨戦でこっそり部下を忍ばせ山本を救おうとしていたらしいが、引っかかったのがスクアーロ。気を失ったツナを随分と心配していたが、肝心のツナとファルファはXANXUSしか目に映らなかったようでスクアーロの声を完全にスルーしていた。あぁ哀れ。
「会わせてやるが、まずは山本の家に行くぞ。早く着替えるんだな」
「?わかった・・・て、部屋から出て行け!!」



相撲大会優勝おめでとう!何故か、京子とハルにおめでとうと言われてしまった。最後補欠選手で出たんだよね?凄い!誰が一体どんな説明をしたのか聞きたい。山本の家でお父さんのご好意によりお寿司をご馳走になったツナは、その足でXANXUS達が監禁され監視下に置かれている病院へと赴いた。守護者付きで。
ツナはスクアーロの生存をまだ知らないとリボーンがこっそりと山本と獄寺に話すと、山本は竹刀を取りに部屋に戻ろうとした。竹刀を持って家から出てきた山本にツナが盛大にツッコンだのでお留守番になったが、残念なことに獄寺はダイナマイトを持っている。獄寺がダイナマイトをぶっ放そうとしたときは殴って止めろ。了平は黙って頷いた。
「・・お、お邪魔します」
ファルファ達を監禁するためだけに用意されたといっても過言ではない。医者と数人の護衛しかいない院内にビクビクしながら連れてこられた病室。ノックをして静かに扉を開けると目に入ったのは金髪とティアラとナイフ。
閉まれ扉!心の中で叫び瞬時に閉める。扉が開く。誰も魔法の呪文は唱えていない!
「・・・」
「・・・」
無言で見つめあうこと数秒、いきなりナイフ投げられられました。助けてー!ツナの後ろにいた3人を無視し、そのまま引っ張り病室の中に連れ込まれる。
「ファルファー!本当にきたぜこいつー!」
とっても広い病室は作った夕飯を置いた部屋ぐらいに広い。そこを横切り連れてかれた病室には、ファルファがベッドで横になっていた。本当にきたって、来ること分かってたんだ。
「・・・えーと、今晩は?」
「まだ夕方よ?」
「こんにちは?その、怪我・・大丈夫?」
「・・・」
ちょいちょいと指を動かす。ベルフェゴールに引っ張る手を離してもらい、近寄ってけばぎゅっと抱きしめられる。なんだか落ち着く。ファルファの髪の毛がかかってくすぐったい。目を細めうっとりするツナの姿。
やっぱ可愛い・・・昨日までは敵だったが、目覚めたファルファの雰囲気がギスギスしたものではなく、どこか穏やかになったのはツナの力。

「ツナ達が当分の間お前等を監視するからな」
獄寺と山本、了平をXANXUSの病室に押し込んで言い放ったリボーンを振り返る。凄い、初耳です。

「武器は没収してからここに来させるから安心しろ。なによりツナにそんな度胸はない」
「貶されたー!?」
「う゛お゛ぉぉい!ファルファは居るか!?」
ツナの声よりも更に大きな声を上げ部屋に入ってきた男。顔に巻かれた包帯や、楽な服の下にも包帯が巻かれていてとても痛々しい姿だ。
「え・・・兄貴・・・・?」
死んだはずのスクアーロが現れた。鈍器で頭を殴られたような衝撃。抱きついたまま硬直してしまったファルファをのけることも出来ず、ツナは顔を逸らす。



「兄貴、死んだんじゃ・・・嘘でしょ?」
「う゛お゛ぉい!俺が簡単に死ぬとでも?」
「え、本当に生きてる?兄貴?兄貴っ!!!」
「まず落ち着けぇっ!」
2歩3歩と歩いてファルファの額をベシッと叩く。混乱するにも限度がある。叩いてきたスクアーロの手をガシッと掴みホールド。心臓がある胸に手を伸ばして、温かいそこから伝わる振動を確認する。
動いてる。心臓が動いている。それに、温かい。
「・・・・生きてる・・・兄貴」
「・・ああ、生きてるぞぉ」


苦笑しながら答えれば腹にタックル。



「この馬鹿兄貴!」



「う゛おっ!?」

腹にタックル。でもキズに触れないほどにしておいた。

「兄貴の馬鹿!寂しかった・・・・どんだけ心配したと思ってんの・・・・」

しがみつくファルファの姿が可愛いので何も言わない。
しかし視線が痛い。とくにリボーンとツナと守護者2名の視線が。
了平はファルファとスクアーロの感動の再会に極限に感動しているらしいが、獄寺と山本は恋敵復活に闘志をメラメラ。喜ぶファルファは可愛くて可愛くて、こっちも嬉しいがやっぱり敵は少ないほうが・・。微妙な葛藤。
「感動の再会を果たした所で最悪なお知らせだ。これを見ろ」
取り出したのはプリント。何かが書かれているそれに、スクアーロから離れて首を傾げる。
「別れ際に京子から貰ったんだ」
「何が書かれてるの?」
ニヤリと笑ったリボーンにファイティングポーズ。癖だ、これは。あの笑い方はとても嫌な展開に走る。構えるツナに知らずの内に獄寺達も構える。
「明日から中間テストだぞ、お前等」
「・・・・・・・・・あ」
「私も一応並中生だから・・・・私もかぁ・・・でも私は平気よ。
どうしても駄目ならヴァリアークオリティーで何とかするし」

10月の後半といえば中間テスト。それは学生であるツナ達には避けられない道。獄寺とファルファなんかはどうでもいいと思っているが、ツナと山本と了平には重大問題。軽く2週間は学校に行っていなかったし、勉強なんてそんな余裕はなかった。今回の中間テストを乗り切る方法はただひとつ。
「一夜漬けだな」
「笑って言うなー!」
病院で叫ぶな。うるさい馬鹿!リボーンのスパルタ復活にげんなりとするツナの肩を、ファルファは優しく叩いた。
「私が教えてあげる。大丈夫よ。」



言い合ってる守護者を無視して、優しくツナのほっぺにキスを落とした。

(10代目・・・!!!)
(ははっ、ラブラブなのな!)


ファルファと少し話しをしたいと言えばあっさりと承諾された。あまりにあっさりだったため、変にリボーンを警戒してしまい殴られたのは数分前。今は病室のベッドの近くにある椅子にちょこんと座っている。

「ファルファ・・・あの」
「ん、何?」

ちまちまと、裁縫をして何かを作っているファルファに声をかける。

「もう怒って・・・ない・・・・よね・・・・?」

ピクッ

針が止まり、ゆっくりとファルファは笑顔で答えた。

「馬鹿じゃないのツナ?私はね、雪乃以外怒ってないって言ったじゃない」
「そう・・・なの・・・?」
「じゃなきゃ敵のボスなんかに惚れたりしないよ」

ぷい、とあっちを向いてしまったファルファは、耳まで真っ赤になっていた。

「ファルファは・・・本当に俺の事・・・好き?俺は、ファルファのことが・・・・大好き」

「・・・人の話聞いてたかなぁ・・・・?私はもう、ツナのこと大好き」

ぎゅうう

裁縫箱に針を戻してから、ツナを思いっきり抱きしめた。本当は雪乃のことで怒らなきゃいけないのだろう。でも、ファミリーを護る、そんな覚悟をするツナを好きになった。最期でも兄貴と私の事を気にかけてくれたから、泣くことを我慢できた。

「ファルファが愛してるって言ってくれたのが嬉しかった」

意味は獄寺に聞いた。最初は「だっ、誰に言われたんですか十代目!」と言われたが。

雪戦のあとで残された言葉はイタリア語での愛の言葉。ファルファらしい、愛の囁き。

「それにもういいの。雪乃は死んだ。」
それとも怒らなきゃ駄目かな?
聞いてくるツナに小さいキスを落とす。
怒鳴られるのを覚悟していたし、
泣かれるのも覚悟していた。なのに笑って、自分が生きていたことを嬉しがるツナに胸が締め付けられる。

「もう、あんな真似はしない。ツナの為に生き続けると誓うから・・・」
「っいいよ、そんな誓い」
「いいや、誓う。ツナを永遠に愛するための、私の覚悟よ」

正統後継者となったツナには近い将来、
マフィアのお嬢様方が婚約者として選ばれるだろう。それでも永遠の愛をツナに誓う。
生涯をかけて愛するのは、ツナだけと。
真っ直ぐ見つめ、
囁くファルファの言葉に1度目を瞑り、
開いてガシッと顔を掴む。

「ツナ・・・?んっ!」
ツナからキスをされた。行動の意味が分からず固まるファルファから離れ、手を自分の胸に押し付ける。程好い弾力に変に意識してしまった。

「俺の全てをファルファにあげる。心も、身体も、これが俺の誓い」
スペルビ・ファルファを永遠に愛する誓いだよ。微笑んで言われた。それがもう、可愛くって。ツナに押し付けられている手の甲にキスを落とした。
「ちょ、ファルファ?」
「ボンゴレ10代目がこんなに甘いなんてね。安心して、私が護ったげるから!ネッチョリとね(黒笑)」
「ネッチョリやだー!」
ガンッと決まった。
痛みに呻くファルファの腕からツナを引っ張りだし、ナイフを光らせ自称王子は笑う。
「ボスに言われて来てみれば本当にやってるしこのカス鮫の妹」
「ベル・・てめぇっ!兄貴カス鮫呼ばわりすんなー!」
「明日テストなんだろ?お仲間が下で待ってるから早く戻りなよ」
「う、うん・・ありがとう」
「む〜明日は私も行くからな、もちろん男のカッコで」
ベルフェゴールに助けられるとは思わなかった。頭を抑えているファルファに近寄る。
不貞腐れている頬にキス。そして素早く離れる。

「あ、コレ・・・」

さっきまでベッドの上で作っていた、かわいらしいペア人形を差し出される。

「手作りよっ。私がツナの人形を持ってるから、ツナは私の人形を持ってて」

笑顔で鼻先にちょんっと
キスをされて、ツナは顔を赤くした。

「おやすみ」
「おやすみ、また明日ね」

入り口で手を振り、扉を閉める。
ファルファのその顔には満面の笑みが
浮かんでいて、とても幸せそうだ。
ファルファが生きていたことも、XANXUSが生きていたことも、全部。ボンゴレのボス継承者となってしまった今、ツナはこれから多くの敵対マフィアから命を狙われるだろう。
だが、もう迷いはない。
10代目になることへの抵抗は、もうしばらく続くだろうが覚悟を決めた。
大切な人たちを守るために、笑っていてもらうために、マフィアになる。



大空のすぐ傍には 何よりも愛する鮫の妹の雪が傍にいるのだから



久しぶりに来た学校。相変わらず男子たちの態度は悪いけど、味方は増えた・・・のかな?

「あら、お久しぶりねファルファ君。」
「はい。病気を患ってしまって・・・・」
「それは大変ね・・・辛かったら言って頂戴。」
「ありがとうございます、夢野先生」
「中間テスト前の勉強を始めるわよ?しばらくは部活ないからね。はいこの答え言って頂戴、沢田君」
「えぇっ!?俺!?」
「そうよ?しばらく休みだったから勉強したわよね?」
「(ハァ・・・1夜漬けの意味ナシ・・・そうだ)」
「えっと・・・えっと・・・」

パサ

「・・・紙?」
(答えは+12だ!by鎖蝶)
「ぷ、+12です!」
「正解。今度はファルファ君。黒板に書いて。」
「繰り上げて・・・繰り下げて・・・引き算だと、−が+になるから・・・・」
「正解。今度の中間テスト、ここ出るかもよ〜」


放課後


「鎖蝶ありがとう、おかげで助かったよ」
「1夜漬けの意味ないじゃない。帰ったらネッチョリ勉強よ」
「ネッチョリやだー!!!」
「あ、そうだツナ。」

カタ・・・

「・・・フルート?」
「そうよ、部活無いからアジトで練習しようかと思って借りてきたの。よかったら聞かない?練習にもなるし、リラックスするかもよ?京子たちも呼ぶから!頼むツナ!」
「・・・別にいいよ?聞いてみたいし」
「ありがとツナ!」


沢田家


「初めまして、奈々さん」
「あら、ツっくんのお友達?」
「えぇ、少しフルートを聴いてもらおうかと・・・」
「まぁ!私も聞きたいわ。」
「よければ聞きますか?」
「ありがとう!フルートなんて久しぶりに聞くわ〜♪」



みんなそろって、小さな演奏会が始まった。


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