きっと君(お前)を
そして夜。
キャラバンは、古株さんが休憩しているために、ある駐車場に止まっていた。
「俺、ちょっと体動かしてくる。」
「あぁ。早く戻ってこいよ!」
「・・・あっ、雪女くん。」
「ん?なんだよ、吹雪。」
「えっと・・・その・・・用事が、あるんだけど・・・」
「あ、そっか!すまん、忘れてた!」
「じゃあ、外で話そっか」
「あぁ!」
俺がキャラバンを降りようとしたとき・・・
プチッ
そんな音が、俺の耳に聞こえてきた。
「え?プチッ?・・・んなあああああっ!?」
「え!?どうかしたの!?」
「あ、青色のミサンガが切れた・・・!」
あれ?俺・・・青色のミサンガに、
どんな願いごとしてたっけ?忘れちまった。
「ミサンガ?どんな願い事してたの?」
「んー、忘れちまった。まぁいっか・・・。」
「そっか・・・」
「俺、これ鞄の中にしまってくるからさ、先に出ておいてくれ。」
「わかった。待ってるよ。」
僕は、近くの木の傍で、雪女くんを待った。
僕は・・・雪女くんに今日、告白するつもりだ。
もちろん・・・僕も雪女くんも男の子・・・
気味悪がられるのは承知の上だよ。
でも・・・この気持ちを伝えないとすっきりしない。
好きなサッカーにも集中できない。
もし告白して気味悪がられても・・・
僕は・・・ずっと雪女くんを好きでいるよ。
アツヤだって、承知してくれるはずだよ・・・
そう思って、僕はマフラーをぎゅっと掴んだ。
「待たせて悪りィ!」
「あ、雪女くん・・・」
「で・・・何だ?用事って。」
俺がそう聞くと、吹雪は急に顔を少し赤くして、口ごもった。
何か秘密でも言うつもりか?
告白?・・・いや、まさかな。
「あの・・・驚かないで聞いてくれる?」
「あぁ。いくらでも聞いてやるぜ。」
すると、急に抱きしめられた感触が。
それが吹雪に抱きしめられた感触だと気づくのに、さほど時間はかからなかった。
「・・・えっ!?」
「僕・・・雪女くんが好きなんだ!!」
「え・・・今、なんて・・・」
「だから、僕は雪女くんが好き、好きなんだ!」
「嘘・・・だろ・・・?」
「やっぱり・・・気持ち悪いって思う?こんな男から言われても・・・嬉しくないよね」
「でも、君のことがどうしようもなく好きなんだ!初めて会ったときから・・・」
「吹雪・・・」
そう言うと、吹雪は俺の方を向いて、こう言った。
「君の、答えを聞かせてくれる?」
俺は、少し驚きを隠せずにいたが、
少し冷静になってこう言った。
「・・・俺も、お前のことが好きだ。」
「・・・!じゃあ「でも・・・やめておけ。」
「どうして!?」
「俺はお前と一緒にいちゃいけないんだよ」
「どうして?同性だから?僕が弱いから?完璧じゃないから?」
「違う!そんなことじゃねぇ!!」
「じゃあ、何?」
俺は、吹雪の頬に手を当てて、
諭すようにこう言った。
「俺もお前のことが好きだ、大好きだ。だけど、一緒に居ちゃいけない理由があるんだよ」
「僕は君となら、何があってもかまわない!だから、傍に居させて・・・?」
「・・・あのな、今まで黙ってたけど、俺は女なんだ。」
「!・・・じゃあ、好きあってるんだし、一緒に居ても問題はないじゃないか。」
「・・・驚かないで聞いてくれ。・・・俺はな、別の世界・・・異世界から来たんだ。」
「異世界・・・!?」
「俺、別の世界から来たんだ。・・・ごめん。ワケ分からねぇよな?気持ち悪りぃよな?」
俺は、一息吸うと、また話し始めた。
「俺は、実はお前のこと、前から知ってたし好きだった。あっちの世界で。」
「前から・・・」
「お前を忘れようと、何回も恋をしたけど・・・中身が空っぽで、悲しくて。」
「・・・」
「好きで好きで・・・他のやつを好きになることが出来なかったんだ・・・」
「本当にごめん。こんな俺、ワケ分からねぇよな?気持ち悪いよな?」
「・・・気持ち悪くなんかないよ」
「えっ?」
「別世界から来たなんて、すごいことじゃないか!」
「そうか・・・?」
「君が、たとえ別世界から来た子だとしても・・・僕はやっぱり、君が好きだよ」
「・・・吹雪!!」
プチッ
そのとき。
吹雪の白いミサンガが、音を立てて切れた。
「吹雪の、ミサンガが!」
「・・・あ、切れちゃった・・・」
そう言うと、吹雪は少し赤い顔をして、こう言った。
「これ・・・実は、君に初めて会った後に着けたんだ。願い事は、「君と両思いになりますように」って・・・」
「吹雪・・・!!」
「士郎って呼んで。これからは恋人だから」
「恋人・・・って言われると照れるな・・・。わかったよ、士郎。俺も雪女って呼んでくれ。」
「わかったよ、雪女。」
そうして、俺達は顔を見合わせて笑いあった。
「・・・好きだよ、雪女。」
「・・・ばーか、俺も好きだよ。」
そう言って、俺達は
優しい触れるだけのキスを交わした。
(おまけ・覗き見してたマネージャー組)
「ちょっと、押さないで・・・!!」
「ようやくあの2人がくっつくんですね!本当に長かった!」
「あら、木野さんどうしたの?」
「・・・ううん、なんでもない。」
「あっ、あの2人キスしちゃいました!」
「は・・・破廉恥よ!!」
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