どうして?


「えっ・・・?えっ?」

俺は夢を見ているのか?

それともこれは幻か幻覚なのか?

「雪女」
「本物の、兄ちゃんなの・・・?」

目尻に熱いものが浮かんでくる。

「あぁ、そうだ・・・俺は彰人だ」
「兄ちゃん・・・っ!!」

俺はたまらなくなって、ボロボロと泣き出してしまった。

「兄ちゃんのバカっ!嘘つき!俺が兄ちゃんみたいになるまで傍に居るって約束だったじゃねーか!!」
「・・・雪女、俺だってお前の傍に居たかったさ。だけど、急に発作が起こって・・・」
「分かってるよ・・・こんなの俺のワガママだって。」
「そうか、いい子だな」

そして兄ちゃんは、
昔から変わらない笑顔で笑った。
そして・・・兄ちゃんはこう言った。

「なぁ、雪女・・・もう頑張るなよ」
「えっ・・・?」
「お前が頑張るのはあいつのためだろ?もういいんだよ、頑張るなよ」
「兄ちゃん・・・?」
「女のお前が出しゃばることじゃないんだ」
「やめろ!!」

俺は叫んだ。
だけど、兄ちゃんはやめなかった。

「俺がお前の変わりになってやるよ。お前を苦しめないように、俺が身代わりになってやる」
「やめろ・・・やめろよ・・・・」
「その体を俺にくれるだけでいい。お前は大人しく眠っているだけでいいんだぜ?」
「やめろよ兄ちゃん!!兄ちゃんは変わっちまったのか!?」
「・・・変わった?確かにそうかもな。お前を守りたい・・・死んでも守り続けたい・・・その思いでこんな姿になった訳だし」

そう言うと、彰人は背中から真っ白な羽を出した。

「あ・・・あ・・・・」
「分かるか?俺はもう死んでいるんだ。お前を守りたいがために、こんな姿になってまで・・・」

彰人は、怯える雪女に顔を近づけた。
昔と変わらないあの笑顔で。

「怯えるなよ・・・俺はお前の兄貴だぜ?まぁ、死んでるけどな・・・」

そして、彰人はこう言い放った。

「お前は・・・吹雪士郎が好きなのか?あいつがお前を本当に好きなのかもわからないのにか?」
「あ・・・」
「吹雪士郎は、お前を1度でも求めたか?今日だって、お前を誘いもせず、他の女と・・・」
「やめろ!!たとえ兄ちゃんでも、あいつの悪口だけは認めねぇぞ!!」
「・・・雪女?お前は兄ちゃんに逆らう悪い子になっちまったなぁ・・・・」
「兄ちゃんこそ!昔は優しかったのに!」
「昔は?今でも優しいさ・・・」
「違う!今の兄ちゃんは優しくなんか無い!!」
「俺の力に頼ってる奴が、何を言ってるんだ?なぁ?」
「・・・!」
「アイスバードを出してゴールを決めたのは俺。アイスローズを出してレーゼからボールを奪ったのも俺。」
「う・・・」
「それに、円堂は言ったろ?“お前みたいに強い奴が居れば、チームは安泰だ”ってよ」
「違・・・それは!!」
「違わないね。チームが必要としているのは、“火月雪女”じゃねぇ、“火月彰人”なんだぜ・・・・?」

「やめろおおおお!!!!!」

雪女はその場にうずくまった。

「大丈夫だぜ?お前が俺を受け入れればいい・・・それだけだ」
「嫌だ!!」
「この場になって何を言うんだ!お前は完全でも完璧でもねぇんだよ!!俺が居るからお前は完璧なんだよ!!」
「・・・違う・・・違う!!」
「本当にお前は悪い子になっちまったな」

そういうと、彰人は傍にあったボールを蹴り上げた。

「あ・・・?」
「“悪い子”には“お仕置き”が必要だよな」

彰人は気持ち悪い笑顔で、そう言った。
そして、雪女に向かって・・・

「アイスバード!!!!」

アイスバードを繰り出した。

「ぐああああっ!!」

雪女はアイスバードの威力で吹き飛ばされ、ロボットの残骸にたたきつけられた。
そのまま雪女は気絶したのか動かなくなった。

「お前が悪いんだ・・・お前が俺を受け入れないから・・・お前が俺を拒否するから・・・」

彰人はそんなことをブツブツと呟きながら、どこかへ消えてしまった。

「雪女くん、誰と話してたの?さっきの大きな音は・・・・きゃあああっ!!」

近くを通り過ぎた秋が、ロボットの残骸の中に居る、血まみれの雪女を見つけ、
大きな悲鳴を上げた。


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