ちぎれたヘアゴム
「本人の申し出を受けて、浦部リカさんをチームに迎え入れることにしたわ。」
「よろしく頼むぜ!」
「まかしとき!」
「期待してるぜ、リカ。」
「ダーリン!うち、ダーリンのために頑張るさかい、ちゃんと見といてな!」
「・・・あ、あぁ。」
俺は苦笑いしながら、髪を結ぼうと
ゴムを伸ばしたとき・・・
ぷちっ。
「あっ、くそっ!ヘアゴム切れた!」
「ダーリン、大丈夫か?うちのヘアゴム貸そか?」
「ありがとな、リカ。」
くそっ、これから大事な試合なのに、
縁起が悪いじゃねぇか。
リカに借りたヘアゴムで、髪をしっかりくくり、試合に備える。
そのとき、瞳子さんがこう言った。
「・・・この一戦ですべてが決まる。これを最後の戦いにするのよ。必ず勝ちなさい!!」
「「「「はいっ!!!」」」」
「行くぞ!」
そして、試合開始を告げるホイッスルが鳴った・・・
試合開始早々、マキュアがメテオシャワーを放ち、鬼道たちを抜き去った。
そのままゴールへ行こうとしたが、風丸と俺でそれを阻む。
「「行かせない!」」
「・・・もうっ、しつこい!!」
「マキュア、こっちだ!」
「(しまった!)」
マキュアからゼルにボールが渡ってしまった。
そしてそのままゼルは、ガニメデプロトンを放つ。
だが、守はそれをマジン・ザ・ハンドで止めた。
「何故だ!?」
「やった、特訓の成果だな!」
そして、守の投げたボールは・・・
「ダーリン達から聞いたで。あんたら悪いやつなんやってな!うちがお仕置きしたる!」
そして、ローズスプラッシュを打つのかと思いきや・・・
「・・・なーんてな。ダーリン!!」
そのままボールは一之瀬に。
そして鬼道とともに、ツインブーストを放った。
だが、デザームに片手で止められてしまった。
「(くそっ・・・俺たちは強くなってないのか!?)」
そう思って、デザームのほうを向いたとき・・・
俺は気づいた。
「(デザームが・・・後退してる!?)」
わずかだが、デザームの足元には
後退したような跡が。
「(これなら・・・行ける!)」
俺はわずかながら、勝利への希望が見えてきたような気がした。
そしてしばらく、イプシロンと雷門の攻防戦が続いた。
円堂が止めればデザームも止める、
デザームが止めれば円堂も止めるといったように。
その時、士郎が急に動き出した。
「(・・・まさか、アツヤが!?)」
「吹雪、こっちだ!」
「・・・待て、士郎!」
鬼道の言葉も、俺の言葉も無視し、ゴールへ強引に進んでいく。
「完璧じゃなきゃ、俺は居る意味がねぇ!!」
そして士郎はエターナルブリザードを放ったが・・・
デザームのワームホールには敵わなかった。
「くっ・・・!!」
「これではまだ物足りないな!もっと魂を熱くたぎらせるシュートを打ち込め!!」
「何っ!?」
「攻撃せよ!」
その声にあわせるように、イプシロンのスピードが増した。
そして、パスを受け取ったゼルがDF陣を次々と突破し、
ガニメデプロトンを放ったが、また守はマジン・ザ・ハンドで止めた!
そして、そこで前半が終了した。
「士郎・・・俺ちょっと顔洗ってくる」
「う、うん、行ってらっしゃい。」
そして俺はタオルを引っ掴んで、トイレに向かった。
ジャー・・・
バシャッ、バシャッ・・・
俺の息づかいと、水の音だけがこだまする。
「・・・俺達・・・勝てるのかな・・・」
さっき雪女の目に見えたわずかな希望は、
攻防戦の連続で、少し削がれ始めていた。
「くそっ!!俺は・・・俺はこんな所で立ち止まる訳には・・・行かねぇんだっ!!」
ダン!!
雪女は、鏡を思い切り殴った。
鏡に傷は無かったが、手からはポタ・・・と血が落ちた。
「兄ちゃん・・・どうやったら俺、勝てるんだよ・・・?」
雪女の目から、ぽろぽろと涙が零れ落ちた。
「雪女」
「・・・兄ちゃん?」
ふと、目の前を見てみると・・・
目の前にある鏡に、彰人が映っていた。
「兄ちゃん・・・俺、どうすればいい・・・?」
「・・・雷門を信じろよ。いつだって、お前はそれで乗り越えてきたんじゃないか」
「でも・・・俺・・・」
「頑張れよ、雪女。・・・俺の自慢の妹。頑張れなくなったら、代わってもいいさ。」
「ありがとな、兄ちゃん・・・」
「・・・それもいつまで出来るかは、全くわからねぇがな・・・」
「・・・え?」
「いや、何でもないさ」
「そ、そうか・・・。」
「雪女。さぁ試合に戻れ!お前を待ってる奴らがいるんだぞ!」
「・・・うん、うん!!」
「しっかりやれよ!」
「ありがとう、兄ちゃん!!」
俺は、タオルを引っ掴んで飛び出した。
「・・・俺も、吹雪士郎のように、ずっとお前のそばに居られたら・・・」
「俺も、そろそろ天からのお叱りが来る頃だからな・・・。」
「あと何回、入れ替われるか・・・」
「・・・雪女・・・」
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