別れへの足音


俺が戻ったとき、試合が始まる直前だった。

「ごめん!遅くなった!」
「大丈夫だぞ、まだもうちょっと時間はあるからな!」
「はー、よかった・・・」
「雪女くん、手・・・どうかしたの?」
「え?手?手がどうし・・・」

雪女が手を見ると、さっき鏡を殴ったときについた傷があった。

「た、たぶんさっきコケたから!そのときついた傷だろ!!」
「・・・そっか。消毒するからちょっと来て!」
「大丈夫だぜ、こんなかすり傷。舐めときゃ治るだろ」
「だめ!!ばい菌が入ったらどうするの!早く手、出して!!」
「あ、あぁ・・・」

秋ちゃんに圧倒され、俺は手をおずおずと出した。

秋ちゃんは遠慮なく消毒液を含ませた脱脂綿を傷口につけた。

「・・・し、しみるっ!!」
「我慢、我慢。・・・はい、おしまい!」

しみる痛さに耐えながら傷口を見てみると、
傷口には可愛らしい絆創膏が貼ってあった。

「ありがとな・・・。」
「どういたしまして。」

そして、本当に後半が始まる1分前。
俺はグラウンドに行こうと靴紐を結び直していると、

ぐらり、と視界が歪んだ。

「(兄ちゃん・・・?)」

俺は意識が飛びそうな中、
俺の前に勇ましく立ち、俺のほうを向いて悲しそうに笑う兄ちゃんの姿を、
わずかに見たような気がした。

そして、雪女はその場に倒れこんだ。

「雪女!?」
「雪女くん!?」

「・・・おーいて。バランス崩しちまった!」
「何だよ〜、心配させるなよ!」
「悪りィ!」

ぱっと顔を上げたのは、雪女ではなく彰人だった。
・・・だがみんなは、相変わらず気がつかない。

「(・・・さて、俺も頑張りますか)」

彰人はすくっと立つと、ズボンの土を払った。


そして、後半の開始を告げるホイッスルは鳴ったのだった・・・・


試合早々、クリプトが攻め上がるが、
士郎のアイスグランドに阻まれた。

そして士郎は風丸にボールを渡すが、ボールを奪われてしまう。

ボールがマキュアに渡るが、士郎・・・いや、アツヤは乱暴にマキュアからボールを奪った。

「もうっ!マキュア、あいつ嫌いッ!!」

そしてアツヤは、鬼道の言葉を無視し、そのままゴールへ向かう。
DFをひらりとかわし、そのままエターナルブリザードを放った!
だが、またデザームのワームホールで止められてしまった。

「くそっ、またかよ!!」
「・・・いいぞ、もっと激しく蹴りこめ!我が闘志を燃え上がらせるのだ!」
「ふざけやがって・・・!!」

そして、ボールはマキュア達に渡り、
マキュア、ゼル、メトロンは、ガイアブレイクを放った!

ガイアブレイクはまっすぐゴールへ向かい、
止めようとした小暮を巻き込み、ゴールに入った!

・・・とうとう、先取点を奪われてしまった・・・!!

「く、くそっ!!」
「・・・みんな、あきらめるな!!」
「(僕が・・・僕がいけないんだ・・・)」

自分を責めている吹雪に、彰人は近づいた。
そして通り過ぎるとき、そっと呟いた。

「・・・別にお前のせいじゃねーよ」
「(雪女・・・?)」

吹雪は彰人を見て、
そっ、と胸を抱えた。

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