慰めのキスは唇に


「ここで狐狸と会うとは・・・」

雪女はため息をひとつついた。

その時、ガラガラと引き戸が開いて、
守や秋ちゃんたちが入ってきた。

「雪女!」
「雪女くん!」
「大丈夫か!?」

「みんな・・・!」

みんなの姿を見ると、
なぜか俺の目から涙が溢れ出した。

「!?」
「どうして泣くんだよ!」
「だって、だって・・・!!」
「俺、何の役にも立たなかった!無理してぶっ倒れて・・・!!」
「大丈夫だよ雪女!」
「だから泣くなよ!」
「でも、でもっ・・・!!」

そっ。

その時、雪女の頭に
吹雪の手が乗せられた。

「しろ、う・・・?」
「大丈夫だよ。失敗したのは僕も同じだし・・・」
「士郎・・・!!」

雪女は吹雪に抱きついて、泣き出してしまった。

「だって、だって俺・・・っ!!」
「・・・よしよし。」

「(今のうちに出ますよ)」
「(え、何でだ?)」
「(二人っきりにさせてあげましょう!)」
「(え、え?)」
「(じゃあ失礼しましたー・・・)」

マネージャー組が他の人を追い出し、
部屋には吹雪と雪女、二人きりになった。

「ごめん、士郎」
「何が?」
「お前もつらいのに、俺だけ泣いて」
「・・・いいんだよ。泣きたいときには泣いたらいい。僕の胸ならいくらでも貸すよ」
「士郎、ありがとう・・・。」
「・・・よしよし。だからもう泣かないでね。」
「うん。」
「・・・君に泣かれたら、僕どうしたらいいか分からなくなるから・・・」
「ごめんな、士郎。大好きだ。」
「・・・僕も。」

そして二人は、風が吹き抜けるように、
軽くてやさしい、触れるだけのキスをした。






(おまけ・こっそり隙間から覗く皆さん)

「わっ!あの二人キスしちゃいました!」
「相変わらずラブラブよね・・・」
「す、すごいものを見ちゃったでヤンス・・・!!」
「前から怪しいと思ってたんだよな!」
「でも、あの二人ならお似合いだ!」

「・・・え?吹雪と雪女は付き合ってたのか?」

「「「「・・・気づくの遅ッ!!!!」」」」




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