不思議な夢


そして。

「うわぁ!このカレー凄くうまそうっス!」
「今日は祈莉さんも手伝ってくれたから、たくさんあるわよ!」
「本当にすみません、祈莉さん。」
「・・・い、いいんですよ。」

「「「「いただきます!!」」」」

「ほほう、これはおいしそうですね・・・」

ぱくっ

「・・・辛ーーーーッ!?」
「うっしっし・・・」

そう笑う小暮の手にはタバスコが。

「そ、それは・・・」
「お前なぁ・・・」
「・・・はぁ」

そんなのも気にせずぱくぱく食べる
立向居と雪女と祈莉。

「・・・?」

不思議に思い、小暮が食べてみると・・・

「辛ーーーッ!!」
「・・・これ、おいしいですね!おかわりしてもいいですか?」
「あ、俺も。」
「私もお願いします!」
「お前ら・・・」
「辛くないんスか?」
「あぁ、俺辛いの平気なんですよ!」
「あ、私もです!」
「俺?俺は超味オンチの母さんの料理を毎日食ってるからな・・・こんぐらい平気だ(番外編参照)」
「あ、はは・・・」

そして夜。
みんな寝袋にもぐりこみ、すやすやと眠っていた。

雪女は、深い眠りに落ちて、
また、夢を見ていた。

・・・が、今度は小さいときの夢ではなかった。

自分に良く似た大人の女性が、小さな子供を連れて、歩いていく夢。

「(俺にそっくりだけど、きっと俺じゃないな。だって俺あんなに胸ねーし)」

女性と子供はずっとまっすぐ歩いていく。

歩いていくにつれ、女性と子供は大きくなっていく。

しばらく歩いていけば、女性は背の高い、スラリとした女性に、
子供は中学生くらいの大きさになっていた。
体形からして、多分・・・少女だろう。

その光景をボーッと眺めていると、
少女と女性が立ち止まって、話をしはじめた。

後ろ姿なので顔は良く見えない。
だが、声はかすかに聞こえる。

『・・・は、どう・・い?』

『僕は・・・を・・・たい・・・』

『お前・・・俺に・・・っくり・・・』

『僕・・・革命・・・したい・・・』


「(革命(かぜ)・・・?)」


そう思いつつ見ていると、
彰人にそっくりで、背中に4枚の羽を生やした男性が、
二人に近づいていった。・・・が、二人は気づかない様子だった。

すると、男性はこちらを向いてにこりと笑った。
その笑顔は、本当に彰人そっくりで・・・

「(兄ちゃんが生きて大人になっていれば、あんな風だったんだろうか・・・?)」

男性は振り返ると、少女の頭を数回撫でて、
羽を一枚残して、消えてしまった。

少女は不思議そうに後ろを振り向く。
ちらりと見えた首下には、彰人のものにそっくりのペンダントが。

「(・・・兄ちゃんの、ペンダント?)」

するとどこからか、サッカーボールが転がってきた。

少女は女性から離れ、ボールを追いかけて走る。

女性は少し悲しそうな、でも嬉しそうな顔をしていた。

少女はボールを追いかけて、どんどん走る。

そしてまた、どこからか少年が現れた。

「(あれ?あいつどこかで見たような・・・)」

少年と少女は手をしっかりとつないで、
笑顔でどんどん一緒に走る。

すると、少女は雪女に気づいたのか、
手を離して雪女の元に駆け寄る。


少しだけ見えた表情。

目の下のタトゥー、なんとなく自分に似ている笑顔。

そして、その少女は誰かに似ている薄グレーの髪を靡かせて、
青緑の目で、しっかりと雪女を見据えた。



そして、口パクでこう言った。






ね え

は  や  く あ  い  た  い  な あ 





そこで、目が覚めた。

「・・・なんだったんだ、今の夢・・・」

夢にしてはリアルすぎる。

「ていうか、最近まともな夢見てねーせいで寝不足だわ・・・ふぁ・・・」

そうぶつくさ言ってもしかたがないので、
俺は、まずユニフォームに着替えることにした。

確か今日、練習試合だったはずだし。

というわけで、俺は着替えに行った。

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