お前の裾を引っぱって
そしてハーフタイム。
俺は、みんなから離れていく士郎を追いかけた。
「・・・士郎。」
「雪女。」
「どうしたんだ?体調でも悪いのか?」
「別に、そういうんじゃないけど・・・」
「・・・嘘!」
「えっ」
「俺には嘘つくな。俺には分かんだぞ!」
「・・・」
「お前が、兄ちゃんみたいに居なくなるのは、絶対に嫌だからな・・・?」
そう言って、士郎のユニフォームの裾を、
きゅっ、と掴んだ。
消えないで欲しい、苦しまないで欲しい。
そういう願いも込めて。
「・・・雪女。」
「何かあったら俺に言えよ。出来る限りのことはしてやれるから」
「あ、ありがとう・・・。」
「ん。」
「・・・でも、雪女も何だか苦しそうだよ」
「え?」
「この前だって急に倒れたし・・・。」
「あ、あれはきっと疲れからだ!特訓ばっかりしてたせいだろ!」
「そう?ならいいけど・・・」
「・・・悪い。変な心配かけた。」
そう言うと、俺は士郎に背を向けて、
みんなのところに戻った。
悲しそうな目をしている士郎には、まったく気づかずに。
そして、後半がスコアレスのままで始まった。
試合早々、相手のボールを一之瀬がフレイムダンスでカットし、鬼道にパス。
そしてまた、ブロックサーカスでボールを奪われそうになったが・・・
「吹雪!」
鬼道はバックパスでブロックサーカスをかわし、ボールを士郎へ。
「シュートだ!!」
「シュートでヤンス!」
「決めて欲しいっス!!」
「(みんな、アツヤに期待してる・・・)」
「「吹雪!」」
「(アツヤに、ならなきゃ・・・!!)」
「・・・士郎・・・?」
「・・・(違う!僕は・・・士郎だっ・・・!!)」
その時、わずかに隙ができてしまった。
そしてその隙を狙われ、ボールを祈莉ちゃんに取られてしまった。
「キャプテン!」
「あぁ!」
そして、陽花戸はゴールへ向かう。
「しっかりしろ吹雪!」
「いつものあんたなら、シュートしてたじゃん!」
「吹雪、一体どうしたんだよ・・・?」
完全に試合は陽花戸のペースになっていった。
「祈莉!」
「はいっ!」
そして、ボールを受け取った祈莉ちゃんは、
アイスニードルの体制になった。
「アイスニードル!!」
「マジン・ザ・ハンド!!」
だが、守はしっかりと
マジン・ザ・ハンドで止めた。
「勇気!どう?よく見えた!?」
「(あれが、マジン・ザ・ハンド・・・!)」
「いくぞ!反撃だ!!」
そして、守からのボールを鬼道や塔子がつなぎ・・・
「雪女!」
「おうよ!」
そのボールを受け取ると、俺はまっすぐゴールへ。
「行かせない!」
「そーはいかねえよ。アイスバーン!!」
雪女がそう叫ぶと、
雪女の周りの地面が音を立てて凍りだす。
もちろん突進してきたDFたちは滑るわけで・・・
「Σうわあああっ!?」
「わっ!!」
俺は滑るようにすっころんだDFをかわし、
そのままゴールへ。
「行くぜ!」
「はい!」
「立向居、思いっきり行け!」
ゴオオッ、と大きな音と共に、
まるで吹雪のような冷たい風が通り抜ける。
「・・・アイススピアー!!」
そして、雪女はアイススピアーを撃った!
以前のアイススピアーより、威力も速度も倍増している。
すると、立向居は円堂と同じ動きをした。
「(まさか、マジン・ザ・ハンドも!?)」
一瞬、青いマジンが出たが、
見よう見まねですぐ習得できるものではなく、すぐに消えてしまった。
止めようとしたが無駄な足掻きで、ボールはそのままゴールへ!
「いっぺん見ただけじゃ駄目か・・・」
「惜しかったな、立向居」
「だ、大丈夫だよ、勇気!私も勇気を見習って・・・さ!」
祈莉は立向居にウインクをしたが、立向居は意味が分からなかったようで・・・・
「・・・?」
「もう、分かってないなあ。」
「・・・あ、そういうことか・・・!」
「よし、じゃあ俺達はお前達のために全力を尽くしてサポートしてやる!」
「「あ、ありがとうございます!!」」
「・・・見たか?」
「あぁ、凄い気迫だったな・・・」
「面白いじゃねーか・・・!!」
「・・・ふうん、君たちってそんなサッカーするんだ」
「ふふ、面白そーじゃない?特にあの髪の白い子!あの子私の好みだし。」
「そうやって面白がるのは、君の悪い癖だね」
「えー、嘘だあ。兄さまだって面白そうな顔してるじゃない」
「・・・まあ、久しぶりだしね」
「久しぶりに楽しめそうね、兄さま」
そう言って円堂たちを見下ろす二人が居ることに、
雪女も、円堂も、誰一人気づいていなかった。
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