きしんだ音は誰にも聞こえず


その後も立向居は何度も
マジン・ザ・ハンドをやるが、一筋縄で習得できるわけも無く・・・

「頑張って勇気!いいところまで行ってるから!」
「う、うん!」

そして、祈莉も・・・

「よし、シュートだ!」
「・・・いっ、行かせません!!」

鬼道からボールを奪った祈莉は、アイススピアーの体制になった。

「この目で、生の雪女さんの動きが見れたんです!ですから、私も勇気のように諦めません!」

その瞬間、冷たく強い風が吹いた。
そして、同じ動きをし、ボールを蹴ったが・・・

「Σはわ!?」

ボールはあさっての方向へ。
ちょうどそこに陽花戸のキャプテンが居たため、
ボールは奪われずにすんだ。

「祈莉、もう一回だ!」
「・・・はっ、はい!!」

そして、ボールを受け取り、
もう一度アイススピアーを撃ったが・・・

「あっ!」
「うわっ!?」

またあさっての方向へ。
しかも塔子の顔面すれすれを通って。

「すっ、すみません!すみません!すみません〜〜〜っ・・・えぐっ、ひっく」

とうとう祈莉ちゃんは泣き出した。
みんなは焦って祈莉ちゃんをなだめる。

「祈莉、泣くなよ!失敗くらい誰でもあることだろ?」
「ひぐっ・・・キャプテン・・・」
「俺も頑張るからさ、祈莉も頑張ってよ!」
「ゆ、勇気・・・」

「(なんだろう、この敗北感)」

そして・・・

「行くぞ!」

一之瀬の合図に合わせ、守がゴールから飛び出した。

「そうか、あの技か・・・!」

そして、ザ・フェニックスが放たれ、
ゴールを襲う!

立向居ももう一度、マジン・ザ・ハンドで止めるが・・・

やっぱり習得しきれておらず、立向居は吹っ飛ばされた。

そして、そこで試合が終了した。

「・・・よかよか、よか試合たいね。大介も雪姫も喜んでるばい。」
「あ、お父さん!」
「おーい、祈莉ちゃん!」
「あっ、あの、雪女さん!ありがとうございました!!」
「さっきは凄かったな、祈莉ちゃん!」
「い、いえ!アイススピアーも失敗しましたし・・・」
「大丈夫だぜ!失敗は誰でもあることさ。」
「あっ、ありがとうございます!!」

そして、俺は手を差し出した。

「・・・あっ」
「握手してくれよ!」
「はっ、はい!!」

そして、練習試合は幕を閉じたのでした・・・

そして夕方。
タイヤで練習する守と立向居を俺達は見ていた。

「円堂くん、いい後輩が出来たわね」
「そ、そうですね!勇気も輝いてますし・・・」
「俺にも、可愛い後輩が出来たぜ!」

そう言って、俺は祈莉ちゃんの肩を軽く叩いた。

「か、可愛い後輩って・・・わ、私ですか!?」
「あぁ。」
「は、はにゃ〜〜〜っ///」
「いっ、祈莉ちゃん!?」
「だ、大丈夫か!」

顔を赤くしてぶっ倒れた祈莉ちゃんを介抱していたら、
いつの間にか夜になっていた。


・・・そして夜。


「・・・はーっ・・・」
「おーい、守ー!お疲れ!」
「あぁ、雪女か!」

そんな風に、たわいの無い話をしていると・・・

「・・・こんばんわ。」
「やあ、円堂くん」
「「えっ?」」

声のしたほうを見ると、
・・・俺は、背筋が凍った。

「(基山、ヒロト・・・・!!)」

それを悟られまいと、俺は必死に自分を落ち着かせた。

「どうか、なさいました?」

ヒロトの隣にいた女の子が、俺に声をかけた。

「だ、大丈夫だ。」
「大丈夫か、雪女?」
「あぁ。ところで守、そいつらは?」
「こいつはヒロトって言うんだ!その隣は、えーっと・・・」
「ふふ、私の名前はヒカリです。よろしく。」
「俺の妹なんだ。」
「ヒカリか!よろしくな!」

そう言うと、ヒカリと言う女の子は
ニコリと笑った。

見れば見るほどヒロトにそっくりで・・・

「ところで、雷門中の試合を見せていただきましたわ。すばらしい試合でしたね」
「あー、ありがとう。・・・でも、どうしてここに・・・」
「・・・ねえ、俺のチームと試合しない?」
「えっ?チーム・・・?」
「チーム?」
「うん、俺のチーム。」
「ヒロト、サッカー出来たのか!?」
「・・・ふふ、私も参加しますよ。」
「時間は明日の12時。場所はここのグラウンドでどうかな?」
「そりゃいいけど・・・でもなんで?この前サッカーできるなんて、一言も・・・」

ヒロトとヒカリは、円堂の問いには答えず、その場を去った。

「・・・明日、約束だよ」
「雪女さん、明日を楽しみにしていますね。」

ヒロトと同じ、少し気味の悪い笑顔で。

次の日。

薄い曇り空の中、
俺達は、試合の準備を進めていた。

「そろそろだね!」
「あぁ。」

その時、守と俺に
瞳子さんが話しかけてきた。

「・・・円堂君、雪女君。」
「あ、はい?」
「・・・何ですか?」
「その男の子と女の子、本当にヒロトと、ヒカリって名乗ったの?」
「はい、そうですけど・・・」
「そう・・・」

瞳子さんは、少し苦い顔をして去っていった。

「(そうか、確か・・・)」
「12時ですよ!」

そう春奈ちゃんが告げると、
急に黒い霧が現れた。

「!?」
「これはまさか・・・!」
「イ、イプシロンっスか!?」
「来たぞ!!」

そして、その霧の中には・・・

イプシロンではなく、違うチームが立っていた。

そして、中央に立つキャプテンは、昨日出会ったヒロトにそっくりだった。
しかも、隣に立つ少女は・・・・ヒカリにそっくりだった。

「・・・やあ、円堂くん。」
「ふふ、どうも・・・雪女さん。」
「ま、まさか・・・ヒロト!?」
「何や、こいつら!この前の奴とちゃうやんか!」
「・・・エイリア学園には、まだ他のチームがあったってことか・・・!?」

驚く風丸を無視し、ヒロトは話を続ける。

「これが俺のチーム、エイリア学園、ザ・ジェネシスって言うんだ。」
「お前・・・宇宙人だったのか!?」
「どういうことだ・・・円堂!」
「・・・さあ、円堂くん。」

ヒロトとヒカリは、薄気味悪い笑みを浮かべ・・・

こう、言った。







「「サッカー・・・やろうよ。」」




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