「お前はどっちなんだ」


そしてその夜・・・吹雪は夢を見ていた。

真っ白で殺風景な空間に、一人で立っている夢。

「・・・ここ、は?」

《俺の空間だ》

キョロキョロしていると、声が響いた。
少年の、凛とした声が。

声のしたほうを振り向くと、
そこには雪女にそっくりな少年が立っていた。

「あなたは・・・?」

《俺は、火月彰人。雪女の兄だ》

「えっ・・!?」

「雪女のお兄さんは、小さい頃に亡くなってるんじゃ・・・」

《あぁ、そうだ。俺はもう死んでるぜ。》

そう言うと、彰人は背中から2枚の羽を出した。
驚く吹雪を無視して、彰人はこう言った。

《単刀直入に聞くけどな、お前にとって雪女は、どんな存在なんだ?》

「雪女は・・・僕の大切な人なんです。」

「だから、苦しませたくないし、笑っていて欲しいんです・・・」

吹雪がそう言うと、彰人はせせら笑い
こう言い放った。

《・・・甘ェ、甘すぎるんだよお前は》

「!?」

《自分が苦しみでもがいてるっつーのに、雪女を苦しませたくない?》

《・・・ふざけてんじゃねえぞ!!》

そして彰人は、今までの笑顔とは打って変わり、凄く怒っている顔になった。

「・・・ッ」

《お前、雪女の気持ちを何も分かっちゃいねーようだな?》

《あいつは、お前を守りたかったんだよ。》

《それを、無下に跳ね除けたのはお前だろーが!!》

「!」

《・・・あいつは、お前のために俺の助言も無視した。》

《なのにお前ときたら・・・》

《無理してぶつかって行って、気絶なんざしやがって!》

そう言うと、彰人は吹雪の胸倉を、思い切り掴んだ。
吹雪は思わず咳き込む。

「ゲホッ・・・」

《お前が気絶したあと、あいつは何回泣いたと思う?》

《背中に大きな傷跡まで作って!!》

「(傷跡・・・!?)」

《お前が眠っている間に、あいつは大事な友達の円堂と喧嘩した。》

《だけどあいつは、耐え忍んでお前の傍に居たんだ!!》

《優しく手を握って、ずっと声をかけ続けて・・・》

「雪女が、僕に・・・」

《さあ、ここでハッキリさせやがれ。》

《お前はアツヤか!!それとも士郎か!!》

「僕は・・・」


「僕は、士郎だ・・・ッ!!」


その時、吹雪は飛び起きた。

「はっ・・・は・・・」
「・・・ゆ、夢・・・?」

“お前はアツヤか!!それとも士郎か!!”

頭の中に、さっき彰人が言った言葉がよぎる。

「僕は、吹雪士郎だ・・・!!」



そう呟いた吹雪を、近くの木の上から見つめる彰人が居ることに、
誰も知る由が無かった。


- 139 -

*前次#


ページ:





[ top ]

[ 表紙に戻る ]



ALICE+