ずれて、もどって、またずれて


次の日。

「大変です!!栗松くんが!!」

春奈ちゃんの声で、俺は目が覚めた。

「どうしたんだよ、一体・・・?」
「こ、これっ・・・!!」


それは、栗松の書いた置手紙だった。

その手紙は、

“エイリア学園のこの上ない強さに怯み、イナズマキャラバンを離脱する”

という内容だった。

鉛筆で書かれた、震えた字。
紙に数箇所残る、涙のあと。

あいつがどれだけ悩んでいたのかが、うかがえるものだった。

「・・・栗松・・・」
「そんなの、ないっス・・・」

みんなの動揺と不安が募ったまま、練習が始まった。

だがその時、瞳子さんが、
冷静な態度で、こう言い放った。


「円堂君をメンバーからはずします」

「「「ええっ!?」」」

みんなに衝撃が走る。

「円堂君を抜いたこのメンバーで、エイリア学園との戦いに望みます」
「えっ!?そ、そんなぁ・・・」
「(仕方ない、のか・・・)」
「鬼道君、貴方に新キャプテンをお願いするわ。よろしく」

そう言うと、瞳子は去ろうとした。
すると、鬼道は凛とした声でこう言った。

「お断りします」

そして、こうも言った。

「俺達のキャプテンは円堂だけです。あいつはすぐに元に戻ります。それが円堂守だからです!!」

そう鬼道が言うと、瞳子は振り返り、
こういい捨てた。

「明日、ここを出発します。誰もついてこなければ、新しいメンバーを探すだけよ。」
「・・・私は、エイリア学園を倒さなければならないの」

そう言うと、瞳子はどこかに行ってしまった。

瞳子さんが居なくなったあと、円堂の居る屋上を見つめる鬼道に、
俺は声をかけた。

「・・・気になるのか?」
「あぁ」
「俺も立ち直ったんだ。あいつも、もうすぐ立ち直るさ」

そう言って立ち去ろうとする雪女に、
鬼道はこう問いかけた。

「・・・確証は?」
「お前は、あいつは絶対立ち直るって信じてるんだろ?それで十分だ」
「・・・」
「それに・・・」
「?」
「俺には、すべてが見えてるからね」

そう言うと、雪女は
自分の青い目を指差して、クスリと笑った。

「雪女、お前は一体・・」

鬼道の問いには答えず、雪女はこう言った。

「・・・今日、俺は用事があるから練習には出られない。あとは頼むぜ」
「お、おい・・・」

そう言うと、雪女はどこかへと歩いていった。

雪女は、校舎の裏で電話をかけていた。

「・・・母さん?」

《おう、雪女か!どうしたんだ?》

「母さん、頼みがあるんだ」

《ん?何だ?言ってみろ。》

「・・・もうすぐ来る、“アレ”を遅らせて欲しいんだ」

《なッ・・・!?》

「ふざけるなって言いたいのは十分分かってる!!」

《あ・・・あぁ、そうだ!お前は何を考えてるんだ!?》

「でも、俺・・・みんなをもう少し支えていたい!!あいつらが世界一になるまで見つめていたい!!」

《世界・・・!?何バカなことを・・・》

「約束する!あいつらは絶対に世界まで行ける!!だから・・・!」

《・・・》

「それに今、俺の大事な奴が苦しんでる・・・」

《・・・お前の、彼氏か?》

「・・・あぁ。俺の・・・俺の大切な奴なんだ・・・」

《・・・》

「置いてなんか、行けない・・・」

《ハァ・・・》

「なぁ・・・頼むよ、母さん。」

《あーもう!!・・・お前にゃ負けたよ。》

「・・・じゃあ!」

《そ・の・代・わ・り!!》

「な、何・・・?」

《そいつらが世界に行けなかったり、世界一になったら》

「なったら・・・?」

《絶対にこっちに戻って来て、“アレ”をするんだ》

「・・・分かった」

《あと、俺達に彼氏を紹介するんだぞ?》

「え、えっ!?」

《・・・何だと!?雪女に彼氏だと!?俺は認めんぞ!!》
《・・・ゲッ、正義!》

「と、父さん!?」

《替われ美幸!あいつに説教かましてやる!!》
《落ち着け正義!!》

「え、あー・・・」

《俺は認めん!認めんぞおおおお!!!雪女!!誰だ、誰なんだ!どこの男なんだああああ!?》
《雪女!と、とりあえず切るな!》

「あ、あぁ・・・」

プツッ

ツーッ ツーッ ツーッ

「・・・」

雪女はしばらく呆然と立ち尽くしておりましたとさ(笑)

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