ドタバタ、だがそれがいい。


俺が戻ると、なんか凄いことになってた・・・

ゴール代わりにしていたネットは破けて、
ネットを張るために使っていた木材も折れて散らばってたし・・・

「・・・いったい、ここで何があったんだ?」
「あ、スノーガール!遅かったねー!」
「柚流ちゃん、いったいここで何が・・・」
「・・・それがね、すっごいのよ!今さ、ド素人の条介が、ツナミブーストって必殺技決めちゃったの!」
「必殺技!?」
「そう!凄い威力でさ・・・。だからゴールがブロークンしちゃってるわけ」
「何それ、超怖い・・・」
「じゃあ俺、もう行くな。」
「あ、あぁ・・・」

そう言うと、綱海はどこかへ行ってしまった。
・・・そして、気がつけばもう夕方だった。

「どうしましょう、まだ泊まる場所を決めていないのよ・・・」
「え?ユー達、泊まるとこ探してるの?」
「え、えぇ・・・」
「じゃあ、ミーのところにカムオン!ミーの実家は民宿よ?そんなにビッグじゃないけどねー。」
「じゃ、じゃあお願いするわ・・・」
「ミーの家はこっちだよ!」

そして、柚流の案内で
円堂達は、少し小さい民宿に着いた。

そして夜。

「・・・ほい、ロイヤルストレートフラッシュ。チョコレートもーらいっ」
「あー!またやられてもうたー!ツーペアやったんにー!」
「雪女はポーカー強いな!」
「俺、家でよく菓子を賭けて、父さんと母さん相手にしてたからな。」
「へー・・・なぁ、次はババ抜きやらへん?」
「お、やろーぜ!」
「俺達も混ぜてくれ!」
「かまへんでー」

そして、リカや塔子や俺や守なども混ざり、
みんなでババ抜きを始めた。

その時、リカが口を開いた。

「しっかし、けったいな奴やったなぁ。綱海って。」
「そうか?」
「あの柚流って子も、どっかの芸人みたいなしゃべり方してなぁ。」
「そう?あたしはあいつら、只者じゃないと思うけど」
「気ぃつけや!南国の男は火傷するで〜?」
「・・・じゃあ、雪国の男は何なんだよ・・・」
「え?ダーリン何か言うたー?」
「いや別に何も・・・」

ぼそっと呟いた独り言にリカが反応したから、
とりあえず顔を背けてごまかしておいた。

「でもあいつ、飲み込み早かったよな!」
「あぁ。」
「それに柚流のシュートは、手にビリビリって来たし・・・」
「そうだな。分けるなら、綱海は天性のバランス感覚とずば抜けた運動神経。」
「柚流はサーフィンで培ったバランス感覚と、諦めない意思の強さ・・・かな?」
「あいつらのシュート、凄かったぜ!ツナミブーストも、なみのりドルフィンも!」

その時、ドアをノックする音がした。

「ん?」

ドアが開くと、そこには魚の怪人が!

「「「ぎゃーーーーーっ!!」」」

「「あっはっは!」」

そこに響いたのは、少女と少年の明るい声だった。

「ソーリー!ちょっとからかっただけよ!」
「よっ!」
「・・綱海!?柚流も!?」

そこに居たのは、
背中に大きなカジキマグロを背負った綱海と、かなり長い釣竿を持った柚流だった。

「これ、食わせてやろうと思って釣って来たぜ!」
「ミー達二人でね!今からミーが捌いてあげるから、ちょっとウェイトね!」

そう言うと、柚流は大きな刺身包丁を取り出し、
少し黒さの見える笑顔でにこっと笑った。
それに、綱海以外の人間が少々怯えたのは、
言うまでも無いだろう。

そして・・・

「みんな、お腹空いたでしょ?遠慮なく食べてね!」
「サンキューな!綱海、柚流!」

「「「いっただっきまーす!!」」」

「綱海、釣ってくれてサンキュー!」
「お前こそ、釣竿ありがとな!」
「あ、あと綱海の分もあるけど、後で食べる?今食べる?」
「じゃあ、後で食うからとっといてくれ。」
「オーケー!」

なぜか、こんな会話をしている綱海と柚流の間に、
僅かにピンクなオーラがにじんでいるように見えた・・・(夏未嬢談)

「そう言えば、お前達は柚流と一緒で、稲妻町の雷門中ってところから来たんだろ?」
「あぁ。フットボールフロンティア優勝の・・・って言っても分かんないか。」
「あぁ、分かんねえな。」
「・・・ありがとう、綱海」
「ん?」
「バタフライドリームが撃てたのは、綱海のおかげだ。」
「(・・・それ、うちのおかげやろ・・・)」
「よく分かんねえけどさ、役に立てたんならよかったぜ。」

そう言って、塔子と綱海は握手しあった。

「なぁ!綱海はこの島の中学なん?」
「いや、ここにはサーフィンに来てるだけさ。」
「ミーと綱海は幼馴染で、この島にステイするときに、ここを使ってもらってるのよ」
「そうそう。」
「ミーもサーフィ・・・ヘイ!そこのボーイ!悪戯はノーよ!!」
「うっしっし!」

そして、綱海は話を続けた。

「俺は沖縄のほうに住んでるんだ。」
「へー!歳はいくつなん?」
「俺が15で柚流は今は14だけど、柚流は来週で15になる。」
「来週がミーのバースデーなのよね!」
「へぇ〜・・・14歳に15歳か!」

すると、皆が急に固まる。

「え?みんな・・・どないしたん?」
「14と15・・・つまり・・・」
「という事は・・・さ、三年生・・・?」

円堂がそう言うと、綱海も柚流も不思議そうな顔をした。
そして、こう言った。

「あれ?言わなかったっけ?」
「ミーは、秋の歳違いの幼馴染なのよ!言うの忘れてたわ・・・ソーリー!」

「「すっ、すみませんでした!」」

円堂と雪女の声が綺麗にハモった。

「え?」
「へ?」
「とっ、年上なんて知らなかった、もの、ですから・・・」
「つ、綱海さんが・・・」
「気にすんなって!そんなもん、海の広さに比べれば、ちっぽけな話だ!」
「スノーガールも、ミーに気を使わなくてもいいのよ?タメ口でよろしくね?」
「う、うん・・・」
「うーん、ノリが悪いわね。」
「堅苦しいのは抜きでよろしくな!」
「・・・あぁ!」
「改めてよろしくな、綱海!」
「・・・おう!」
「こちらこそよろしく・・・柚流、さん?」
「柚流でオーケーよ。よろしくね?」
「・・・よろしく!」

そうして、楽しく夜になっていった。

・・・そして夜。

「ユー達!お風呂沸いたわよ!良かったら入って行きなさい!」

スパーン、と
いい音で襖を開けて入ってきたのは、柚流だった。

「うちは見てのとおりスモールでオールドだけどさ、お風呂だけはビッグよ!」
「柚流・・・どこが小さくてどこが古いって?」
「・・・ま、マミー!!それは言葉のあやというもので・・・」
「言い訳はいいから、うひぐゎー(ちょっと)あんまー(お母さん)とお話しましょうか?」
「あ、アイムソーr・・・ぎゃあああ!!」

柚流は首根っこを掴まれて、
ずるずると引きずられていった。

「・・・お風呂行こっか」
「・・・ああ、そうだな」
「・・・そうしましょうか」


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