(微裏注意)ぬくもりを全部ちょうだい
「・・・雪女、もう我慢できない・・・」
「・・・・ッ!?///」
「いい・・・?」
雪女の両隣には、吹雪の腕。
後ろにはキャラバン。前には吹雪。
逃げる場所はまったく無いに等しかった。
そして雪女は観念したのか、顔を少し赤くしながら、こう呟いた。
「俺の初めて、お前にやる・・・」
「・・・いいの?」
「その代わり・・・優しくしねーと、殴るぞ」
「・・・出来るだけ頑張るよ」
そして二人は、地面に倒れこんだ。
星明りで照らされた二人。
辺りには、小さな水音が僅かに響いていた。
「ひうっ・・・ふ、あ・・・」
雪女は口を両手で塞ぎ、必死に声が出ないようにした。
キャラバンの影とは言え、いつ人に見られてもおかしくない状況で、
二人は繋がりあっていた。
「・・・痛く、ない?」
「っ・・・なんと、か・・・」
「そっ、か」
雪女は口に当てていた手を退け、
覆いかぶさる吹雪をしっかりと抱きしめた。
「・・・し、ろ・・・しゅき・・・」
もう殆ど呂律も回らなくなった声で、
雪女は吹雪に愛をささやく。
「・・・僕も、好き・・・だよ・・・」
「しろ・・・」
「だけど、もう「好き」じゃ、足りない。・・・足りないん、だ」
「たり、にゃい・・・?」
「足りない」
「じゃ、さ・・・あい、してるじゃ・・・?」
「愛してる、でも、足りない、かも・・・っ」
「ふ・・・やっ・・・!」
最初の恐怖感や羞恥心はもう無くなっていた。
今はただ、愛する人の愛撫を受けるので精一杯。
「(おかしく、なりそ・・・・っ)」
雪女の青い目には、生理的な涙が浮かんでいた。
「雪女・・・辛いの・・・っ?」
「ち・・・が・・・」
吹雪は雪女の涙を指で優しく拭うと、
そっと、額に小さい口付けをした。
「お、れ・・・しあわせで、こわ、い・・・」
「大丈夫だよ、雪女・・・」
そう言うと、吹雪はぎゅっと雪女を抱きしめた。
雪女も、あまり力の入らない腕で抱きしめ返した。
星明りの照らす中、
たくさん愛し合った二人は、地面に座り込んでいた。
雪女は四肢にまったく力が入らず、
吹雪に支えられていたが。
「・・・ばか」
「ごめん」
「そりゃあ、優しいことには優しかったけどよ、力入らなくなるまでするか!?」
「ごめんってば・・・」
「くそ、明日絶対に足腰立たなくなる・・・どーしてくれんだ」
「・・・僕が抱えようか?」
「お前、俺に一回殴られたいのか?」
雪女がキッ、と
きつい眼光を向けると、吹雪は顔を青くした。
「・・・でも、嬉しかったぜ・・・」
「え?雪女、今なんて・・・」
「・・・も、もう言わねえ!」
雪女は、ぷいと横を向いてしまった。
「・・・でもさ、士郎。」
「何?」
「なんで急に・・・その、俺とヤりたいって・・・?」
「んー・・・」
「「我慢できない」っつーと、今まで我慢してきたんだろ?なんで急に?」
「雪女から・・・」
「え?俺から?」
「雪女から、凄くいい匂いがして・・・我慢できなくて、それで」
「・・・」
「(・・・絶対狐狸の仕業だああああ!!)」
「・・・ごめん」
俺は、狐狸に腹を立てながらも、
しゅんとしている士郎を見ると、士郎を責める気にはならなかった。
「・・・もし」
「え?」
「もし、出来たりしたら・・・責任取れよ」
頬を赤く染めながら、雪女はそう呟いた。
「・・・もちろん。」
そう言って、士郎は俺の頬に
小さいキスを落とした。
お前の傍に居るだけで
俺は幸せだよ
君の傍に居るだけで
僕は幸せだよ
(おまけ)
「・・・はれ!?何で傷薬入りの液体石鹸がここに!?」
雪女たちとは違う宿に泊まっていた狐狸がショルダーバッグの中身を整理していると、
雪女に渡したはずの、傷薬入りのボディーソープの小瓶が出てきた。
「あッ!!もしかして・・・」
「あちきが雪女さんに渡したのは・・・」
「暇つぶしに作った・・・惚れさせ薬入りの、液体石鹸・・・?」
「・・・まずいこと、しちゃったっスかねえ・・・」
狐狸の体中から、冷や汗がだらだら流れる。
「・・・ま、いいっスよね!」
「ふ、吹雪さんと雪女さん、付かず離れずって感じで、もどかしかったし・・・」
「いいっス、よね・・・?」
次に会った時のことを想像し、
少し怯える狐狸であった。
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