お守りのイナズママーク


夜、俺は何だか眠れなくて、近くにあった展望台に上った。

「・・・」

綺麗な海と夜空。
いつもなら楽しいのに・・・。

「・・・はぁ・・・」
「どうしたの、雪女」
「士郎・・・?」
「ちょっと目が覚めちゃって。雪女の席見てみたら居なかったから」
「そうか」

そう言うと、雪女は少しうつむいた。

「・・・」
「なぁ、士郎。」
「ん?」
「もし・・・もし俺が居なくなったら、どうする?」
「・・・考えたくないな」
「え?」
「雪女が居ないなんて、考えただけで怖いよ」
「・・・そう、なのか?」
「そう。」

そう言うと、雪女はすくっと立った。

「・・・ちょっとここで待っててくれ。お前に渡したい物があるんだ」

そして俺は階段を駆け下りて、キャラバンに急いだ。

キャラバンの中に入ると、俺は自分の鞄を探した。

そして手に取ったのは、俺が大切にしているお守りのイナズママークのネックレスだった。

そして今度は階段を駆け上がり、
士郎のところへ急いだ。

「・・・待たせて悪かったな!」
「ううん、大丈夫だよ」

そうして俺はズボンのポケットから、
さっき鞄から出した、イナズママークのネックレスを差し出した。

「・・・これは?」
「俺の、大切なお守りだ。俺の手作りだぜ?」
「えっ!?・・・そ、そんな大切なもの、貰えないよ!」
「いいんだ。お前に持っていて欲しいから、俺はお前に渡すんだよ」
「・・・いいの?」
「あぁ。その代わり大切にしろよ!」
「も、勿論だよ!」
「それでよし。」

そう言うと、雪女はにこっと笑った。




嫌な予感がするんだ。


俺が俺でなくなりそうで、

士郎が士郎でなくなりそうで。


それに、俺が雷門イレブンから居なくなりそうで、


怖いんだ。


だから、だから・・・。




「・・・お前の目には、あいつしか見えてないのか?」

高い木の上で、彰人はそう呟いた。

「・・・俺は、もう必要ない?」

《分かってるじゃないの》

「・・・!?」

《お久しぶりね、彰人》

「テュシアー・・・」

そう言うと、彰人は下を向いた。

《そろそろ天界に戻る気になったかしら?今なら鞭打ち100回くらいで済むわよ》

「・・・まだ、戻りたくない。いや、戻れない・・・」

《あらら、どうして?》

「確かに雪女はもう俺の手を借りなくても大丈夫なほどに強くなってる」

《・・・》

「でもせめて、“あいつ”を連れて帰りたい。あいつも俺と似たようなもんだからな」

《・・・罰が、恐ろしくないの?》

「そりゃ恐ろしいさ。いくら天使でも規則を破れば厳しい罰があるんだからな」

《じゃあ、どうして・・・》

「何で、だろうな。俺にも分からないさ」

《・・・》

「テュシアー、もし天界に行く用事が会ったら、「彰人はもう少ししたら帰ります」と、大天使にでも伝えておいてくれ」

《私、サクリファイトの時に素早く出なきゃいけないから、絶対伝えられるという保障はないわよ》

「・・・それでいいさ」

《変わり者ね、あんたって》

「俺にとっちゃ、「変わり者」は褒め言葉だ」

《本当に、あんたは変わり者ね!》




俺は、一体何をしたいんだろう?

あいつの心を傷つけたいのか、守りたいのか


どっちなのかも分からなくなってきた。






おれは どうしたいんだろう?

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