そんな思いは振り切って
・・・!
・・・雪女・・・!
「雪女!」
「・・・ん・・・」
目が覚めると、そこには
士郎や守達が心配そうな顔をして立っていた。
「あれ・・・俺・・・」
「何だか遅いから、心配して来てみたんだ。そしたら道に倒れてたんだよ!」
「大丈夫か!?」
「あぁ・・・大丈夫だ」
少しふらつきながら、雪女は立った。
頭痛はもう完全に無くなっていた。
「本当に大丈夫なのかよ!?」
「大丈夫だって!ちょっと気絶してただけだ。」
「雪女・・・」
「俺、キャラバンで寝てるからさ!お前らは行って来いよ!」
そう言って、俺はキャラバンに乗ろうと、キャラバンのほうに歩き出した。
その時、士郎に手をつかまれた。
「駄目だよ、雪女!」
「士郎・・・?」
「心配だから、僕がついてる。」
「いや、俺のことは気にしなくていいから!」
「駄目!」
そして俺は、士郎にひょいと抱きかかえられた。
「ほ、本当に大丈夫だって!寝てりゃ治るから!」
「・・・」
「・・・(スルーですか、そうですか・・・)」
そして俺は、士郎に抱きかかえられたまま
キャラバンについた。
キャラバンに乗り込み、俺は自分の場所に座った。
「・・・ふー」
「大丈夫?」
「俺、ちょっと横になるな・・・」
「・・・僕が膝枕してあげようか?」
病気(・・・なのか?)になると、
人のぬくもりが恋しくなるって、本当だったんだな・・・
「・・・頼んでも、いいか?」
「もちろん!」
俺は、士郎の膝に軽く頭を乗せた。
すると、士郎は俺の頭を撫でてくれた。
「・・・ありがとう、士郎」
「お安い御用さ。」
「・・・」
「僕は雪女のためなら、何でもしてあげられる。僕には君しかいないから」
「士郎・・・」
俺は、士郎の体のほうに顔を向けた。
士郎の胸には、俺があげたイナズママークのネックレスが光っていた。
そして俺は士郎のユニフォームをきゅっ、と握った。
「雪女?」
「俺、怖い・・・怖いんだ」
「怖い?」
「俺が、俺じゃなくなっていくんだ。いつか俺、消えちゃうんじゃないかと思って。それが怖くて、すごく怖くて仕方ない。」
「・・・」
士郎は黙って、俺の背中を
母親が小さい子供にするように、
とん、とん、と優しく叩いてくれた。
それが嬉しくて、何故か俺の瞳から涙がこぼれた。
・・・それから数分もしないうちに、雪女は眠ってしまった。
「・・・ん・・・」
目が覚めると、もう夕方で
空は綺麗な赤色に染まっていた。
「・・・目が覚めた?」
「士郎・・・」
寝ぼけまなこの目を少しこすり、
俺は体を起こした。
「重かっただろ、悪ィ」
「全然大丈夫だよ」
髪を手櫛で軽く梳いて、俺は士郎に声をかけた。
「みんなの所に戻るか。俺に付き合わせてすまねぇな・・・」
「大丈夫だよ、好きで雪女のそばに居たんだし。」
「・・・そうか。」
そう言って、俺はスッ、と
士郎の前に、手を差し出した。
「・・・?」
「手・・・繋ぎたいんだけど・・・いいか?」
「今日の雪女は甘えん坊だね」
「・・・悪ぃか」
「別に。」
そう言って、士郎は俺と手を繋いでくれた。
「・・・ただ・・・」
「ん?」
「ただ、士郎のそばに居たいだけだよ・・・」
俺が頬を少し染めてそう言うと、
士郎は俺の頬にそっとキスをしてくれた。
俺がもし消えてしまったら、
お前は一体どんな顔をするんだろう。
なんて言うんだろう。
・・・そんな考えを振り払い、
俺たちはみんなのところに戻った。
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