ご褒美に愛のキスをひとつ
「雪女!」
「雪女さん!」
「雪女!!」
「・・・ん・・・」
目を覚ますと、風丸や守や士郎たちが、
俺を囲んで、心配そうな顔をしていた。
「みん、な・・・」
「大丈夫か!?」
「何とか、大丈夫みたいだ・・・」
そう言いながら、少し痛む自分の体を起こした。
「なあ雪女、さっきのは一体何だったんだ!?」
「・・・さっきの?」
「さっきの真っ白なオーラだよ!あの中に居たら、痛みも全然感じなくて、体も軽くなってさ!!」
「・・・俺にも、どうなってんのか全然わからねぇ。」
「そっか・・・」
「・・・でも、強いて言うなら・・・」
「?」
「雪姫ばあちゃんが、力を貸してくれたのかもな・・・。」
そう言って、俺は胸元に手を当てた。
その時。
「羨ましいねェ」
相手側のベンチから、柚流の声が聞こえた。
「・・・アタシも、仲間が欲しかったなァ。アタシはエイリア石の力で生まれた人格だからさ。」
「柚流・・・」
「安心しなァ、綱海。エイリア石の消えた今、アタシはもう消え行く運命だから。」
「・・・」
「アタシが完璧に消えたら、本当の柚流が戻ってくるよォ」
そう言うと、もう一人の柚流はベンチに寝転がったまま、涙を流した。
「本当に、ここまで自分の運命を呪ったことはないよォ。アタシはただの使い捨ての人格だったんだァ」
「・・・あぁ、アタシも普通の人間に生まれて、普通にサッカーできてたらなァ。」
「例え、アンタたちと敵でも、普通にサッカーできていたらなあ・・・。」
「こんなに辛い思い、しなくて済んだのに」
「柚流・・・」
そう言うと、柚流は手で顔を覆って嗚咽しながら、こう言った。
「・・・アタシは羨ましかったんだよォ、本当の柚流がね。」
「羨ましかった?」
「綱海に愛されてさァ、仲間もいっぱいいて。」
「・・・」
「今さらうだうだ言っても、遅いけどねェ」
そして、柚流は綱海に目線を向けた。
「・・・頬をひっぱたいて悪かったねェ。本当の柚流を幸せにしてやんなァ」
そう言うと、柚流は目を閉じた。
そして。
「う・・・ん・・・」
「柚流!!」
「条介、みんな・・・?」
「・・・柚流っ!!」
目が覚めるなり、綱海は思いきり、
本当の柚流を抱きしめた。
「ミー、何してたんだっけ・・・思い出せないなぁ」
「思い出さないほうがいいことだってあるさ」
「ほぇ?」
「よーし!試合を続けるぞ!!」
「「「「おーーーっ!!」」」」
それからの試合は、すごく楽しくて。
体の痛みやだるさを忘れるほどに楽しくて、うれしくて。
結局、同点の3対3で、
この試合は幕を閉じた。
そして試合が終わった瞬間。
「よーし!!円堂と雪女を胴上げだ!」
綱海のその一声で、
守と俺の周りにみんなが集まってくる。
「これはご褒美だよ」
その声と同時に、士郎にほっぺにキスされる。
そしてその隣の守も塔子にキスされたらしく、みんな真っ赤になっていた。
そして、みんなにひょいと持ち上げられ、
胴上げされて、この騒動は完全に幕を閉じた。
「みんな、サッカーやろうぜ!」
「「「「おーーーーーっ!!!」」」」
エイリア編 End・・・
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