(おまけ・微裏注意)ぬくもりを持っていかせて
そして、その夜。
最後の別れを告げるため、俺は士郎の部屋へ訪れた。
綱海や小暮たちは明日帰るため、
柚流の親父が経営してるホテルに今日一日泊まっていくらしい。
柚流自身も、沖縄へもう少し帰るそうだ。
「(・・・みんな、バラバラになるんだな)」
そう思いながら、俺は呼び鈴を押した。
「・・・はーい。」
「よっ。来ちまった」
「あ、雪女。わざわざ来てくれたの?」
「あぁ。」
「じゃあこんなところで立ち話もなんだから、入って入って。」
「・・・悪ィな。」
「大丈夫だよ。」
入ると、俺はベッドに腰掛けた。
その隣に士郎も腰掛ける。
「・・・俺達、これで本当に遠距離恋愛になっちまうんだな。」
「うん。」
「綱海も、小暮も、立向居も、リカも。みんなバラバラになっちまう・・・」
また会えるとわかっていても、別れはつらいものだから。
「でも、またみんなに会えるよな。綱海たちに・・・」
その先の言葉は、言えなかった。
士郎の唇で、俺の唇が塞がれたから。
しかも、いつもは啄むように軽いキスなのに、
今回は長くて、息が続かなくなる。
ドンドン、と士郎の胸を叩いてアピールするもの、
全くお構いなし、というように無視され、
ようやく唇が離れた時、少し涙が出てきた。
「・・・今だけは、ほかの男の子の話しないで?」
「士郎・・・?」
「雪女と離れるの、僕もすごく寂しいんだ・・・」
「・・・俺も。」
「だからせめて、雪女のぬくもりを持って行かせて?」
「・・・!」
それは簡単に言って、ヤりたいって事だよな・・・!?
「・・・だめ?」
うるうる目で上目遣いすんなって!
無意識なのが余計にタチ悪りィ・・・!!
「・・・」
「やっぱり、駄目かな」
「・・・はぁ。」
そうため息を一つつくと、
俺はまとめていた髪をほどいた。
「・・・士郎だから、いいぜ。」
「いい?」
「優しく、しろよな。」
「もちろん。」
「前みたいに足腰立たなくしたら、即座にぶん殴るからな」
「・・・努力してみる」
「お前、俺の足腰立たなくする気満々だろ」
「・・・さあ。」
「・・・ちょっと待てよ、電気くらい消そうぜ」
そう言って、俺は電気を消した。
そして、俺たちは縺れ合うようにして
ベッドに体を沈めた。
世界中探しても、お前(君)しか居ないから。
たった一人の、かけがえのない存在。
「ひう・・・やあ・・・っ」
前に一度だけ繋がりあったことがあるが、
それでも溢れる羞恥心は拭えなくて。
必死にシーツを握りしめる。
「・・・力、抜いて・・・ッ」
「やっ、動か・・・ひああっ!!」
僅かに吹雪が動くだけで、
痺れる様な快感が襲ってくる。
「背中・・・爪、立てていいから・・・ッ」
「ふ・・・あぅ・・・」
「だから、僕を抱きしめてて・・・」
「わかっ・・・た」
シーツから手を放し、必死に雪女は吹雪に抱き付く。
「し、ろ・・・」
「・・・ん、何・・・っ?」
「好き、大好き・・・っ、あいして、る」
そう言いながら、雪女は吹雪の唇にキスを落とした。
「そんなこと、されたら・・・っ」
「や・・・ふあっ!?」
「我慢、できなくなる・・・!」
まるで、自分の体や腕に、
相手の体温や体の感覚を残すように、
しっかりと抱きしめて、自分の想いをぶつける。
「雪女・・・!」
「士郎・・・!」
・・・もう、お互いに相手しか見えない。相手の事しか考えられない。
孤独な自分を愛してくれた相手を。
自分を救い上げてくれた相手を。
「「・・・愛して、る・・・」」
そう言って、二人は手を重ねて、
離れないようしっかりと握った。
「も・・・だめ・・・っ」
「・・・や、ひあああっ!!」
そして二人は、同時に果てた・・・。
そして事後。
「・・・」
「あの、雪女、こっち向いて・・・」
「士郎なんか知らねえ」
「あの、ごめんってば・・・」
「中はヤダ、って俺言ったのに」
「・・・ごめんって」
雪女が怒っている理由は、
吹雪が果てるとき、
熱を外ではなく、雪女の中に注いでしまったためで・・・
「・・・」
「もしかして、危ない日・・・だったり?」
「・・・分からねぇから怒ってんだ」
「ごめんってば・・・」
「何で今回に限って・・・。前回ちゃんと外に出したのに」
「理性が、保てなくなって、それで」
「馬鹿かお前」
「ごめん・・・」
そう言うと、さっきまでそっぽを向いていた雪女は、
ぎゅう、と吹雪に抱き付いた。
「・・・もしも出来たら、責任取れよな」
「勿論。・・・もし出来てなくても、絶対に君を迎えに行くよ。」
「・・・馬鹿野郎。だからお前嫌いになれないんだ」
「それって、褒めてる?」
「好きなように取りやがれ」
そう雪女が言うと、吹雪は雪女をきつく抱きしめた。
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