置いて行かれたくなんかないけれど
そしてあれから3か月。
あれからみんなで特訓を続け、
毎日サッカーばかりやっていた。
・・・俺は2か月目くらいから、
マネージャー業に完全に移行したが。
まぁ一応、一日一時間はサッカーの練習も欠かしていないから、
腕は落ちていないだろう。
・・・たぶん。
「・・・何か、最近腹出たなあ」
と、着換えの最中に女の子ならだれでも悩むようなことを口にしてみるが、
そんなに目立たないのでよしとしておいた。
「でもこの腹、ぷよぷよだよなあ」
最近甘いもの食ってないのになあ
なんて思ってみたり、
そう言えば髪が背中につくまで伸びたなあ
なんて思いながら、着換えを済ませた。
今日は、響木さんからの呼び出しで
雷門中に行くことになってる。
「・・・何で俺もなんだろう?」
そう疑問に思いながら、俺は自分の部屋を出た。
そして。
雷門中につくと、守に出会った。
「あ、雪女!」
「よう。お前も呼ばれたのか?」
「あぁ!」
「そっか。なら一緒に行こうぜ。」
「いいぞ。」
その時、守の陰に隠れていた虎丸が、
おずおずと俺の前に出てきた。
「あっ、あの!火月雪女さん、ですか?」
「あぁ。そうだけど・・・」
「俺、宇都宮虎丸って言います!よろしくお願いします!!」
「よろしくな。」
そんな話をしながら、体育館に入ると。
「あっ、円堂さん!」
「立向居!」
「お久しぶりです、円堂さん!」
「よう、立向居!」
「雪女さんも、お久しぶりです!そう言えば、雪女さんに会わせたい人がいるんですよ。」
「ん?」
そう立向居が言うと、立向居の隣から
スッ、と祈莉が現れた。
「・・・お、お久しぶりです、雪女さん」
「祈莉ちゃん!久し振りだな。祈莉ちゃんも呼ばれたのか?」
「はい。でも、私だけじゃありませんよ。・・・ほら!」
そして、祈莉の指さした先を見ると・・・
「久し振りね、スノーガール!元気にしてたかしら?」
「柚流!もう具合はいいのか?あのあと入院したって聞いたからよ・・・」
「ベリグーすぎて困ってるくらいよ!」
そう言って、柚流はくすくすと笑った。
「ふふ、響木さんに呼ばれて、土方と沖縄からフライングして来ちゃったわ!」
「おお!」
「そういえば、私たち何も言われずに来たんですけど、雪女さん、理由をご存じじゃ?」
「・・・いや、知らねぇなあ」
「あら、そうですか。」
「いやぁ、条介や土方たちが呼ばれるのは分かるけど、なんでガールズのミー達も呼ばれるのか気になったのよ」
と、その時。
「お久しぶりです!雪女さん!!」
「・・・あ、ヒカリ!」
「ヒロ兄が呼ばれて、あたしも呼ばれたので来ちゃいました。」
「そっか。」
「そう言えばですね、あたし紹介したい人が―」
そうヒカリが言った瞬間。
「なぁーにが緑川だ!学校壊しやがって!!みたいな!?」
「いやーほんと、いろいろもろもろ申し訳ない・・・」
「ゴルアアア!!なに人の彼氏に詰め寄ってるのよ!!」
「Σぐはあああっ!?」
ヒカリの飛び蹴りが武方の脇腹にナイスヒット。
「「「彼氏!?」」」
「そう、彼氏。まだあたしがシュテルンで、リュウジがレーゼだったころからの付き合い。」
「そうなんだよね」
「だけどジェミニストームは追放されちゃったから・・・あれからずっと会えてなかったの。」
そう言うと、ヒカリは寂しそうな顔をした。
「だけど、雷門のおかげでまた会えたから、一緒に居るのが、今はすごく楽しいんだ!」
「そうそう!それにここだけの話、結構頑張って宇宙人キャラ作ってたんだよね・・・」
「・・・それだったらあたしもだよ?ほらさ、今はお嬢様口調じゃないじゃん?ヒロ兄を「兄様」って呼ぶのはきつかったよ〜・・・」
「二人とも、まるで別人だな・・・」
「と、言うわけで!」
「終わりよければすべてよし!これからは緑川でよろしく!」
「あたしも、ヒカリって呼んでくださいね!」
「「ねー!」」
そう言って、顔を見合わせて笑う二人は
本当に幸せそうで。
「(・・・そう言えば、士郎はどこなんだ?)」
・・・と思い、きょろきょろと周りを見回す。
すると、後ろから誰かに手を置かれた。
驚いて、勢いよく振り返ると。
「士郎!」
「雪女の予言通り、3か月ぴったりだね」
「・・・っ!」
涙が出そうになるのをこらえて、士郎に思いきり抱き付いた。
で、少し落ち着いた頃に離れて、
雪女はこう言った。
「お前も呼ばれたのか?」
「うん。雪女も?」
「・・・あぁ。祈莉や柚流やヒカリも呼ばれてた。」
「何があるんだろうね?」
「・・・きっと、凄くいいことだと思うぜ」
「いいこと?」
「俺のカン、だけどさ」
「雪女の予言だから、きっと当たるね」
「あまり当てにすんなよ。外れてたら責任持てねーぞ」
「そうかな?」
その時、ドアを開けて響木さんが入ってきた。
「みんな、揃ってるか?」
「・・・あの、監督―」
雪女が鬼道の後ろでそう言った瞬間、
後ろから勢いよくボールが飛んでくる。
「スノーガール、危ない!!」
素早く気づいて、ボールを蹴り返した柚流のおかげで、
ボールは雪女に当たらずに済んだ。
「大丈夫ですか、雪女さん!」
「あ、あぁ・・・」
「何するのよ、危ないじゃない!!」
「・・・ふっ」
「「「!!」」」
「不動!!」
シュートの主は、不動だった。
「何の真似だ、不動!」
「挨拶だよ、挨拶!洒落の分かんねえ奴だな」
「響木さん!まさかあいつも・・・」
「・・・これで全員そろったな」
佐久間の問いには答えず、
響木さんは話をつづけた。
「いいか、よく聞け!お前たちは、日本代表の強化選手だ!」
「日本、代表?」
「・・・一体、何の?」
「今年からフットボールフロンティアの世界大会、フットボールフロンティアインターナショナル、通称FFIが開催される」
「!?」
「少年サッカー界1を決める戦いだ。・・・お前たちは、その代表候補だ!」
「世界・・・!?」
「・・・ちょ、ちょっと待ってください!」
「なんだ、雪女。」
「俺たちはどうして呼ばれたんですか!?確かあの大会はFFと違って、女子の参加は例外なく認められていないはず・・・」
「お前たちには、マネージャーをしてもらう。」
「マネージャー・・・」
「でも7人も、マネージャーが必要なのでしょうか・・・」
「選手が増えれば、もちろん仕事も増える。一人一人の負担を減らすためだ」
「そう言われれば、納得できる!」
「マネージャーかぁ・・・う〜ん、何だかミー、テンション上がってきちゃったー!」
「次は世界だーーーーっ!」
「「「おーーーっ!!」」」
そして、選手選考試合の結果発表の日。
「誰が選手になるんだろうな」
「あー、条介がなってくれたらグッドだけどなあ」
「あたしはリュウジかヒロ兄、どちらかがなっててくれたらラッキーかな、って感じ!」
「勇気・・・どうかなあ」
そんな話をしながら、
俺たちは、みんなのいるグラウンドへ駆け出した。
みんな思い思いに話したりしていて、パッと見は和やかだった。
だけど周りには、隠し様のない緊張感が漂っていた。
「(・・・本当に、みんな俺を置いて行っちまうんだな)」
そう思うと、なんだか辛くなって。
「(・・・何バカなこと、考えてんだろ)」
「(こうなるのは、分かりきってたはずなのに)」
「(・・・俺のバカ)」
そう思ったら、なんだか涙が出てきて、
気づかれないうちに急いで、袖で拭いた。
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