鍵はお前たちの中に
椅子に座り、本を読んでいると
さっそく階段を下りてくる音が。
「(・・・たぶん、守あたりだな)」
見てみるとドンピシャ。
守や鬼道たちがそろそろと階段を下りてきていた。
「・・・」
「どこへ行く気だ?お前ら。」
「「「!?」」」
「雪女!?」
「外に出るな、って言われたろ」
「雪女!頼むから見逃してくれ!」
「・・・部屋に戻れ。」
「これはこのチームでの初めての公式試合だ!」
「個人のレベルアップのためにも・・・!」
「すまねぇな。監督からの頼みじゃなければ、俺もお前たちに練習させてやりたいんだが」
「雪女!」
「悪いな。監督には逆らえない」
「・・・ぐっ!」
そう言うと、守たちは大人しく戻って行った。
「(・・・悪いこと、しちまったかな)」
そして数時間くらいたったころ。
もう読む本が一冊もなくなったころに、ヒカリと祈莉ちゃんがやってきた。
「本の差し入れです、雪女さん!」
「あとお昼ごはんです。ずっとここに居たんでしょう?」
「祈莉ちゃん・・・」
「ヒカリさんから聞きました。・・・私も、雪女さんを信じます。」
「雪女さんのすることに、間違いはないはずですから!私、信じます!」
そう言って、祈莉ちゃんは俺の座っている椅子の隣に置いておいた椅子に、
そっ、とおにぎりを置いてくれた。
「お腹、すいてませんか?」
「そう言えば空いてるな・・・ずっと何も食わずに本読んでたし」
「もう3時間ほどで夕方ですし、夜になったら監視しなくてもいいんじゃ?」
「夜に外出るバカな人がいるわk・・・」
「「・・・あ、いた」」
「お察しの通り、守が何しでかすかわかんねーから、全員寝るまでここで粘る気だ。」
「雪女さんが先に寝ちゃうんじゃ?」
「バーロ、コーヒーでも飲んで粘るぜ、俺は」
「・・・ふふっ。」
そう言って、祈莉はニコっと笑った。
そのうち、祈莉ちゃん達との会話がはずんで、
いろんな話をした。
ライオコット島はどんなところなんだろうか、とか
自分の彼氏の長所と短所、とか。
話に夢中になりすぎて、いつの間にか綱海が出ていったのに気付かなかった。
それに気づいたのは、柚流がやってきてからだった。
「ねー、条介知らない?どっかにゴーしちゃってんのよ。どこにもいないし」
「部屋は?」
「全部片っ端から調べたわよ!まさか外に出てるなんて考えられないし・・・」
「・・・えーと、あの」
「どうした、ヒカリ」
「さっき、何かピンク色の物体が近くを通ったような気がするんですけど・・・」
「それ条介じゃない!?あのバカ、どこ行ったのよ!!」
「何でそれを早く言わねぇんだ!!」
「いやー、横目で見たんでパッと見、毛が生えたカー○ィだったんですよ。まさかあのピンクのもさもさしたものが綱海さんとか考えられないじゃないですか」
「えー・・・」
「・・・とりあえずあいつは放置だ!どーにかなんだろ」
「じゃあミー、条介探してくる。」
はぁ、とため息をつきながら柚流は外へ出た。
「大変ですねえ」
「何、そう大変なことでもねーさ」
「え?」
「あいつらみたいなサッカー馬鹿を閉じ込めておくのが大変なんだよ」
「・・・?」
「ほら、耳澄ましてみろよ。あちこちからボスボスサッカーボールの跳ねる音とかぶつかる音がするだろ?」
「あ、はい!」
「確かにします!」
「部屋の中で練習してる音だよ、これ」
「えーっ!?」
「部屋の中で、ですか・・・」
「あたしだったら絶対無理だなあ、狭いもん」
「ですよねぇ・・・」
「だが、ミソはそこにあるんだ!」
「「あ!!」」
「そういうことですか・・・」
「すごいです、雪女さん!」
「だろー?」
ちなみに、綱海は夜帰ってきた。
・・・何故か、潮の匂いをぷんぷんさせて。
そして、超心配してた柚流に殴られてた。
「馬鹿タレがあーーーーッ!!!」
「ちょっ、柚流、ごめッ!!」
「「「・・・ご愁傷様」」」
そして、FFIアジア地区予選が始まった。
最初の相手はオーストラリア代表、ビッグウェイブス。
「・・・始まったな。」
「はい!私すっごくドキドキしてます!試合には出ないのに、すっごく・・・」
「分かる!あたしもドキドキしてるし!」
「ミーだってそうよ?」
「よし、俺たちマネージャーは選手みんなを支えて行こうぜ!」
「「はい!」」
「勿論よ♪」
そして、ホイッスルが高く響き渡り、
試合が始まった・・・。
鬼道がボールを受け取り、上がっていく。
その瞬間、ビッグウェイブスのキャプテンのニースが、
仲間に何か指示を出した。
そして、鬼道は囲まれて手足も出せないような状況になってしまった。
必死にボールを奪われまいと対抗するが、
パスコースを塞がれ、バックパスもできない状況。
「まさか、これが・・・!」
「・・・フッ、これがビッグウェイブスの必殺タクティクス、「ボックスロック・ディフェンス」だ!」
そしてボールを弾かれてしまう。
それを取りに行った綱海と土方が衝突し、
連携がうまくいかない。
「ああっ、条介!」
「・・・やっぱり、連携がうまく行ってない。」
「やっぱり、あれは間違いだったんでしょうか・・・?」
「大丈夫だ。もう少しすればあいつらもあの意味が分かる」
「雪女さん・・・」
「あいつらは今、錠前のついた箱の中にいるみてーなもんだ」
「箱・・・ですか」
「その錠前を開ける鍵は、あいつらの中さ」
「鍵?」
「それに気づけば、逆転できる」
「気づかなかったら?」
「・・・ずたずたにやられるだけだ」
その瞬間、ジョーズのメガロドンが
ゴールに突き刺さる!!
そして開始早々、相手に先制点を取られてしまった・・・。
「こんなに簡単に1点取られるなんて・・・」
「世界の壁はそんだけ厚いってことだ」
「・・・」
ボックスロック・ディフェンスは恐ろしいタクティクスで、
豪炎寺も動くことができない。
しかも、仲間とも切り離され連携不可能。
たやすくボールを奪われてしまう。
吹雪やヒロトもこれには歯が立たない。
しかし、ビッグウェイブスの猛攻に、
イナズマジャパンは守ることしかできず、防戦一方になっていた。
「まだ気づかないのか!」
その瞬間、久遠監督がこう言った。
「!?」
「箱のカギは、お前たちの中にある!」
「・・・箱の、鍵?」
「何のことだ?」
「・・・さぁ。」
やっぱりみんな、さっきの言葉の意味がよくわからない、というような顔をしていた。
そして試合再開。
しかし、すぐに鬼道がボックスロック・ディフェンスに囲まれてしまう。
「もうすぐわかるさ、あの言葉の意味が」
そう雪女がつぶやいた瞬間、
鬼道は何かわかったような顔をした。
そしてそのあとは軽やかに動き、
ボールを奪おうとする足を素早く避ける。
「何を手こずっている!」
そうニースが言うと、慌てたのか足がもつれたのか、一人が躓いた。
その瞬間ボックスロック・ディフェンスの陣形が崩れる。
そしてボールは豪炎寺に渡る。
「一回破ったからって、いい気になるな!」
そしてまた豪炎寺が囲まれたが、
軽々とかわし、パスを吹雪に回した。
そしてウルフレジェンドを撃つが、敵は世界レベル。
難なく、グレートバリアリーフでセーブしてしまう。
攻めては守る、の繰り返しで、
試合は完全に膠着状態。
しかもそのあと、前半の終盤に
鬼道が敵のタックルで負傷してしまった。
そしてハーフタイム。
「・・・秋ちゃん、追加の包帯を」
「う、うん」
「・・・うぐっ!」
「これ以上の試合は無茶だ!監督、交代を・・・」
「これくらい、大丈夫だ・・・!」
「鬼道!気持ちは分かるが無理をするな」
「・・・鬼道、交代だ」
「!」
「虎丸!鬼道と交代だ」
「はっ、はいっ!みなさんに迷惑をかけないように、こ・・・心がけます!!」
「がんばれよ!」
「は、はい・・・!」
「ところで綱海」
「えっ!?もしかして、俺も交代・・・?」
「綱海。お前は私の指示を聞かず、外へ出て特訓をしていたようだな」
「え・・・あ・・・バレてた・・・?」
「・・・条介・・・?」
その瞬間、綱海の後ろから柚流の声が。
綱海が恐る恐る後ろを振り向くと・・・
「・・・あの1発じゃ足りなかったみたいだねー。」
「ヒ、ヒイイイッ!!」
「ジャストタイミングだし、気付けにもう1発ぶっ叩いてあげる♪」
ニコニコと笑っているが、目が笑ってない。
「ちょ、柚流、許せって!!」
「シャラーップ!!」
そして、その数秒後に綺麗に頬を叩かれた音と、
綱海の悲鳴がグラウンドに木霊したのは言うまでもない。
・・・そして後半。
「・・・あそこまですることはねーんじゃ?」
「綱海さん、もみじのついた頬押さえて涙目でしたよ」
「バカはあそこまでしないと分かんないのよ」
「・・・えー・・・」
そんなことがあったが、後半は好調子で始まった。
鬼道と交代した虎丸は、鮮やかなボールさばきで、
DFのリーフとジョーを軽やかに避けてボールを奪う。
そして的確なパス回しで、ボールは豪炎寺へ。
豪炎寺はパスを受けて、爆熱ストームを撃つが、
相手のグレートバリアリーフで受け止められてしまう。
しかしその瞬間、綱海が何かを見つけたような顔をした。
「俺に乗れねえ波はねえ!!」
そしてボールを受け取った綱海は、
新しい必殺技で、相手の技を打ち破った!!
「ザ・タイフーンと名付けましょう!」
「すげえな、綱海・・・!」
「条介ーっ!!そのままもう1ポイント返しちゃえー!!」
なんとか同点に追いつくが、
それから相手はディフェンス方法を切り替えてきた。
マンツーマンのディフェンスで、しかも
全員にだれか一人がくっついているという状況だ。
ボールを渡された壁山は、
誰にもボールを渡せず、攻めあぐねていた。
「・・・ど、どうしたらいいんスか!」
「自分で持ち込め!」
そう監督が叫ぶと、壁山は吹っ切れたようにドリブルをし始める。
「虎丸くん!」
「はい!」
そしてボールは虎丸に渡り、そして豪炎寺へ!
そしてまた、豪炎寺も新必殺技を撃ち、
グレートバリアリーフを引き裂いて、そのままゴールへ突き刺さった!!
「爆熱スクリューです!!」
「皆さん、凄いです!」
その瞬間、試合終了のホイッスルが鳴って、
イナズマジャパンは逆転勝利した!
「やったーーー!!」
「でも、まだ初戦・・・」
「世界の壁が厚いってことを、ありありと思い知らされましたね・・・」
「これから、良くして行けばいーんだよ」
「雪女さん・・・」
世界は高い位置にあるけど、あいつらならそこまで上り詰めると思う。
いや、上り詰めると信じてる。
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