雪姫の日記


「・・・俺、そろそろ帰るな。家事も残ってるし・・・」
「母さん、もう帰るのか。」
「あぁ。」
「あ、そうだ!」

スタジアムへ行く前に来た、母さんからの電話。
あとでかけ直そうと思ってたのに、すっかり忘れてた。

「そう言えば母さん、俺に電話かけてきたろ?あれ、どういう用事だったんだ?」
「あぁ、あれか?」
「かけ直そうと思ってたんだけど、忘れちまって」
「正義から聞いたんだが・・・何でも、義母さんの日記が見つかったらしい。」
「えっ、雪姫ばあちゃんの日記が!?」

確かにばあちゃんは日記をつけるのが習慣だったからなあ。
死ぬ前に隠したらしくて、今まで見つからなかったんだが・・・

「今のところ2冊ほど見つかってるけど、まだまだありそうだってよ。」
「なあ母さん!全部見つかったら、俺に読ませてくれないか!?」
「そりゃ別にいいが・・・。決勝戦に勝ったイナズマジャパンは、明日からライオコット島へ行くんだろ?」
「・・・あ!!」

すっかり忘れてた!
韓国に勝ったってことは、FFIに行けるってことなんだ!!


・・・しまった、いろんなことがありすぎて、すっかり忘れてた・・・



「・・・まぁ、日記が全部集まったら郵送してやるよ。」
「すまねぇな・・・。ていうか俺、ここでグズグズしてらんねえ!!」

そう言って、俺はガバッと
ベッドから飛び起きた。

「俺、入院するほどでもねーんだろ?じゃあ今すぐ退院して、明日の準備しねーと!」
「・・・そ、そうか。じゃあ俺と帰ろうぜ。手続きしてくるから」
「あぁ、悪ィ。」

そう言うと、美幸は病室から出ていった。
自然に、病室の中には俺達二人だけになる。

「・・・本当に大丈夫?」
「あぁ、なんとかなるって!つわりも殆ど無いし。」
「そう?」
「・・・士郎、俺が妊娠したことは誰にも言わないでおいてくれ。」
「えっ?」
「ただでさえみんな忙しいのに、俺が抜けたらあいつらが心配だ」
「駄目だよ!もう雪女一人だけの体じゃないんだよ!?」
「大丈夫だって!これからちゃんと鉄分摂るし。」
「・・・本当に、大丈夫なのかい?」
「あぁ。俺はもともとやせ気味だったから、少しの間はごまかせる。バレたらマネージャーをやめるよ」
「どうして、そこまで・・・」
「んー・・・何でだろうな。俺にも分かんねぇや。」
「雪女・・・」
「・・・約束する。無茶だけは絶対にしねぇよ。」
「本当に、約束だよ」
「分かってる。」

そう言うと、雪女は吹雪の額と自分の額を、
こつん、と軽く合わせた。


そしてその日は家に帰り、
雪女は、明日のための準備に勤しんだ・・・。


そして、ほとんど準備を終えて、
椅子に座って一休みすることにした。

「にゃーん」
「・・・ノーザ。おいで。」
「にゃんっ」

そう言って膝をぽんぽん、と叩くと
ノーザが足をよじ登ってきて、ちょこん、と
雪女の膝の上に座った。

「ごろごろ・・・」
「ふふ、よしよし。」

頭を優しく撫でると、
ノーザはのどを鳴らして甘える。

「それにしても・・・俺の腹の中に命が宿ってるなんて、やっぱり信じられねぇな。」

そう言って、空いてるほうの手で
自分のお腹を撫でる。
すると、ノーザは雪女のお腹に自分の頭を擦り付ける。

「にゃー」
「・・・祝福してくれるのか?」
「んにゃ」
「ありがとう、ノーザ。」

そう言うと、雪女はにっこりとほほ笑んだ。

「みゃー」
「にゃっ!」

そのとき、部屋の猫用の扉から
レジェが顔をのぞかせた。
それを見ると、ノーザは雪女の膝から飛び降りて、
レジェのもとへ駆け寄る。

「・・・お前たちも幸せそうだな」

そう言いながら、雪女は微笑んで
もう一度だけ、自分のお腹を撫でた。

そして次の日。

俺たちはライオコット島へ行くため、
空港に集まっていた。

一部の奴ら(立向居とか)は
窓にへばりついて、イナズマジェットをじーっと眺めていた。

「・・・本当に、一緒に行かないのか?」
「はい!私はしばらく、リュウジと一緒に居ます。」
「本当に、それでいいの?」
「はい。だって、私がリュウジについてないと。」
「・・・リュウジに?」
「ヒロ兄は心配ありませんけど、リュウジがそばに居ないと、心配で仕事なんかできませんよ!」
「そんなに・・・?」
「はい!私が見張ってないと、どんな無茶をするか・・・!」
「あの、ヒカリ、それは言いすぎじゃないかな・・・」
「リュウジは黙ってて!」
「は、はい・・・」

「・・・でも本当に、私の独断で抜けてしまってすみません。」
「それは別に構わないよ。」
「でも、仕事が増えるんじゃ・・・?」
「大丈夫よ。ミーがユーの分もなんとかしてあげるから、安心して彼氏のそばに居てあげなさい!」
「・・・ゆっ、柚流さん!!」
「ふふっ。」

その時、久遠監督と響木さんがやってきた。

「全員集合!これより、出発する!」

「「「はい!!」」」


「・・・雪女、本当に気を付けてよ・・・?」
「分かってるさ。この子のためにもな」

雪女はお腹を撫でながら、そう言った。


そしてイナズマジェットに乗り込んで数時間。
俺達は、FFIの開催地、
ライオコット島に到着した!!

「「「「わあっ・・・!!」」」」

まさに外国、って雰囲気で、
周りにはサッカーに関係するものばかり。

「すげぇ、見ててワクワクするぜ!!」
「どこもかしこもサッカーばかりっス!」
「見てください、イナズマジャパンのエンブレムですよ!」
「本当だ!」
「・・・別名、サッカーアイランドか。その名にふさわしい島だな」
「すげぇ・・・すげぇよ!!」

興奮の冷め切らぬ中、俺達はイナズマキャラバンに乗り込み、
俺達は、宿舎がある場所でもある
ジャパンエリアへ向かった。


・・・そして。



「さっそく忙しくなりそうですよね」
「あぁ、バッチリ準備して、みんなに勝ってもらわないとな」
「ミー達マネージャーも選手みたいなものってことよね?」
「正解!」

そう言いながら、俺たちは夕食の準備をし始めた。

「・・・でね、絶賛飛行機酔い中の条介に言ってやったの。「着いたら海が待ってるぞー!」って」
「そしたら?」
「現金なやつでね、少し元気取り戻しちゃってさー」
「綱海さんらしいですね。」

その時。

「宅配便です!火月雪女さんという方はいらっしゃいますか?」
「あっ、はーい!」

妙に重いダンボール箱。
ラベルには、「火月 美幸」の文字。

「雪女くん、誰から?」
「俺の母さんからだ。・・・何だろう?」

ベリベリ、とガムテープをはがして中を見ると、
そこには古ぼけた分厚いノートが数冊と、
手紙が1枚。

「えーっと、なになに?」




雪女へ


約束していた義母さんの日記だ。

これで全部かはわからないが、とにかく送っておく。

また見つかったら、また送る。


俺も一応目を通したんだが、これには・・・


・・・いや、お前がお前の目で確かめたほうがいいだろう。


体を大切にしろよ!


美幸より


P.S
イナズマジャパンの試合は見に行く予定だ。(正義と一緒にな)
マネージャーの仕事を頑張るんだぞ!!


「あぁ、母さんに頼んでおいたやつか」
「・・・大切なもの?」
「まぁな。あとでゆっくり読もう」
「そっかあ。」

そして色々とみんなで仕事を済ませ、
夜もとっぷりと更けた頃。

「雪女くん、今日はここまでにしよっか」
「そうだな、秋ちゃん」
「明日も早いですし、もう寝ません?もう夜も遅いことですし。」
「お言葉に甘えて、ミーはそうさせてもらうわぁ〜・・・」
「・・・俺、さっき届いた日記を読んでから寝るよ。」
「わかった。じゃあ、くれぐれも夜更かしはしないでね?」
「あぁ、もちろんだ。」

「おやすみなさーい」
「おやすみー」
「おやすみ。」
「おやすみなさい。」

秋ちゃん達が部屋に戻り、
ロビーはしーんと静かになった。

「・・・じゃあ、さっきの日記を読んでみるか」

そして、ダンボールの中から
一番古い日記を取り出した。

「・・・これ、ばあちゃんが俺と同じ年の頃のだ」

あのころから日記をつけてたんだなあ、と
思いながら、俺はページを開いた。

「・・・!?」

すると、一ページ目から
驚かされる文章が目に入った。

- 186 -

*前次#


ページ:





[ top ]

[ 表紙に戻る ]



ALICE+