衝撃の真実


1日目

・・・私の身に、いったい何が起きたの?
気が付いたら、別の中学校に居た。
・・・いや、「別の」じゃない。「別の世界の」だと思う。

だって私の世界に、あんなサッカー無いもの。
炎やら水やら、見てて気が狂いそう!

おろおろしていた私に手を差し伸べてくれたのは、
「円堂 大介」という人だった。

すごく、優しい人なんだなあ。
得体の知れない私に、手を差し伸べてくれるなんて・・・。

・・・私、なんとか恩返しがしたいなあ。



34日目

あれから大体1ヶ月ちょっとくらいかな。
結構この世界にも慣れてきた。

今は毎日、「超次元サッカー」ってサッカーをやってる。

元の世界でもサッカーしてたから、私結構強くなったんだよ?
必殺技も出来たしね!

でもこの前、イノシシ狩りに行ったら、
二人とも怪我して大変だったの。
その時、イノシシが突進してきたから、
慌ててかばったの。

そしたら私の蹴りが当たったみたいで、
イノシシ、倒れちゃったのよね。

・・・そしたら大介さんに言われた。
「お前は鬼か!?」って。
女の子に向かって、ひどい事いうなあ・・・

・・・でもやっぱり私、大介さんが好きだな。



3249日目

あれから何年もたったけど、全然元の世界に戻れそうにない。

でもいいや、大介さんのそばに居られるし。

今は大介さんと一緒に、サッカーチームにいる。
大介さんは監督で、私はマネージャー。

高校生の時に告白して、それから大介さんとずっと一緒。

でも響木くんとかは、「雪姫さんは高校生にしか見えませんから、親子にしか見えませんね」って言われちゃった。

・・・私、そんなに童顔かしら。


3420日目

・・・私のお腹に、命が宿った。

今日、こっそり病院で見てもらったら、
「おめでたですよ」って言われた。

・・・私と大介さんの、子供。
女の子かな、男の子かな。

どちらでもいいや、元気なら。

・・・そう言えば、明日はFFの決勝戦。
今日はみんな凄く忙しいから、声かけ辛いなあ。
今伝えたら、倒れちゃうかな?

だから明日伝える。
そう、決めた。

あの人は怒る?喜ぶ?悲しむ?

私には、分からないなあ。
だけど私は、この子が私を選んでくれたのを、
とっても嬉しく思うな。

・・・明日、いい天気になりますように。

「・・・ばあちゃんは、やっぱりトリップして、この世界にやって来たんだ・・・」

日記を持つ、雪女の手がわずかに震える。

「・・・それに、大介さんとの間に子供が出来てた・・・?」

この「子供」って言うのは、
父さんの事・・・?

「でも、竜二じいちゃんが居たんじゃ・・・」

拭いきれない疑問がどんどん湧き出る。

「・・・続きを、読んでみよう」


震える手で、雪女はそろり、と
ページをめくった。

3422日目

どうして、どうして、どうして。
どうして私はここに居るの?
どうして、戻ってきてしまったの?

私はあの事故のあと、あの世界でどうなったの?

死んだの?消えてしまったの?

・・・大介さん。
あなたに会うことも、もう叶わないの?

私のお腹の子は、奇跡的に無事だった。
私の大事な子。大介さんとの子。

・・・どうしてなの?
どうしてもう、会えないの?


・・・ごめんなさい、戻ってきてしまって。


(1年間空白)


1日目

・・・久し振りに日記を書くことにした。
まだ、ショックから立ち直り切れてないけど。

私の子が産まれた。

小さくて可愛い男の子。
あの人に似ないで、私に似たみたい。

でも、あの人そっくりの茶色を、
髪と目に持ってる。

・・・大介さん。

あの人は、あれからどうしたんだろう。
死んでしまったの?それとも生きて、
他の人と一緒になったの?

・・・どちらにしても、悲しい。

でも、私も他の人と一緒になった。
私の隣は、あの人だけだったのに。

でも、いい人よ。
「忘れられない人がいる」って言ったけど、
竜二さんは、「それでもいい」って言ってくれたし、それに・・・

・・・でも、それでも。
私の心と想いは、一生大介さんだけを思うの。

・・・それでも、いいの。



5日目

子供に「正義」と名前を付けた。
読み方は「まさよし」。

あの人みたいに正義感にあふれた子になってほしいから。

・・・あの人との、ただ一つの繋がり。

私はきっともう、あの人に会えないけど、
あなたが・・・あなたの子供が
もしあの世界に行けるなら、

・・・あの人に「愛していた」と告げて?



7834日目


あれから何年も経った。
私はもう、すっかりおばあちゃんになっちゃったわ。
あの世界では響木くんにいつも、「大学生みたい」って言われてたのになあ。

大介さんとの子、「正義」は
あの人そっくりに育った。

何事にも負けないで、何度でも立ち上がる。

それに、サッカー選手になった。
「ヘルメスウィングス」っていう、世界屈指のサッカーチームのメンバーなのよ、信じられる?

でも、髪をグレーに染めちゃったの。
・・・もったいない気がするけど、仕方がないわね。

そして、明日はとうとうあの子が
お嫁さんをもらうのよ。

美幸さんっていう、ちょっとボーイッシュな女性。
優しくていい人だと思うわ。

・・・私の夢は、叶うかしら。

「・・・ばあちゃん・・・」


そうか・・・
ばあちゃんがいつも言っていた「あの人」は
大介さんだったのか・・・。


「そんなに、会いたかったんだな・・・」


・・・でも、ちょっと待てよ?

大介さんとばあちゃんの子供が父さんなら、
父さんの娘の俺と兄ちゃんは・・・

「・・・守の、従兄弟って事か?」

・・・えええええ!?

「ま、まさかこんな衝撃の事実があったとは・・・」

明日にでも守に報告しねーと!!と
思い、立ち上がった瞬間。

・・・バサッ

「・・・ん?」

さっきの日記にくっついていたのか、
もう1冊、日記が現れた。

しかも表紙に書いてある日付が・・・

「・・・俺と兄ちゃんの、生まれた日?」

ぺらっ、とページをめくると、
厳密には俺の生まれる1年前の日付から始まっていた。

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