親善パーティーに向けて


「・・・くしゅんっ!!」
「あれ、風邪ですか?雪女さん」
「ソファーなんかで寝るからよ?早く寝ればよかったのに」
「んー、寝落ちしてたみたいでさ・・・」
「とにかく今日は、暖かくして寝たほうがいいですよ!」
「そうする。(・・・この子のためにも、な。)」

そう思って、俺はお腹を軽く撫でた。

「・・・あれ、そう言えば秋ちゃんは?」
「秋さんでしたら、さっき監督の部屋に行ってましたよ。・・・まだ居るんじゃ?」
「ありがとう。俺秋ちゃんに用事あるから、ちょっくら行ってくる。」
「はーい。じゃあ、この仕事終わらせときますね」
「頼むぜ。」

そして、監督の部屋の前。
俺は控えめにコン、コンとノックをした。

「・・・入れ」
「失礼します。木野さんが監督の所に・・・」
「あっ、雪女くん!ちょうどいいところに!」
「・・・?」
「これ見て。」

そう言うと、秋ちゃんは俺の前に、
ナイツオブクイーンのエンブレムのついた、封筒を差し出した。

「・・・招待状?」
「うん。」
「監督、これ・・・どうするんですか?」
「招待は受ける。相手を知るには、いい機会だ」
「えーと・・・俺達マネージャーも、行くんですか?」
「断る理由でも、あるのか?」
「・・・あ、ありません・・・」

俺は正直、気乗りしないけど、
監督が怖いので、俺もついて行くことにした。

「・・・俺もかあ」
「何だか、気乗りしないみたいね」
「親善パーティーだろ?俺、こういうパーティー苦手なんだよなあ。」
「どうして?」
「タキシード着たらいいのか、ドレス着たらいいのか迷うんだよなあ。」
「・・・そうかな?」
「俺さあ、顔は男だけど骨格とか体形は女だから、ピシっとしたタキシードとか似合わなくてさ・・・」
「あぁ・・・」
「ドレスだと顔とのギャップが激しいし。」
「た、大変なんだね・・・」
「意外と大変なんだぜ、これでも・・・」

そんな話をしているうちに、
俺と秋ちゃんは、みんなが練習しているグラウンドについた。

「「「親善パーティー?」」」

秋ちゃんからそう告げられたみんなは、
凄く驚いた顔をしていた。

・・・まぁ、言っちゃ悪いが
鬼道とかその辺を除いて、パーティーに縁のなさそうな奴等ばかりだしな・・・

「今日の六時、ロンドンパレスに正装して来てくださいって。」
「正装って?」
「えーっと、こんな形をしたネクタイを付けた、黒い服装の事ですよ」
「え!?あんなの着るのかよ?」
「女子はドレスでしょうか・・・」
「ドレスかぁ・・・あっ!」

その瞬間、大きな声を上げる柚流に、
みんなが注目する。

「みんな、レアリティー・イナジャってデザイナー、知ってる?」
「れありてぃー?」
「・・・ボーイズは知らなくて当たり前か」
「あぁ、俺知ってるぜ。確か、サッカーチームのユニフォームのデザインとか手がけながら、素晴らしいデザインのドレスとかも作る人だろ?」
「そうそう!さすがスノーガールね!」
「で、その人がどうしたって?」
「実はその人、ミーの親戚で・・・今その人がライオコット島に来てるんだ!」
「ええっ!?」
「ドレスとかタキシードとか取り寄せてもらおうと思うの!どうよ!」
「いい考えですね!!」
「あのレアリティー・デザインを着れるなんて!」
「・・・じゃあ電話するから、ちょっとウェイトねー」

そう言って、柚流は携帯から電話をかけた。
数分後、手で大きな〇を作り
ウキウキする柚流が。

「そんなに凄い人なのか?」
「勿論ですよ!」
「・・・と、とにかく。間に合うよう準備してね。」
「レアリティーは、あと1時間くらいしたら来るって。」

そして一時間後。


ギャキキキキィ!!!

「!?」

とたんに大きなドリフト音。
全員びっくりして、仕事の手が止まる。

「・・・あれ、何でしょう」

窓から外を見ていた祈莉が指さした先には、
凄く大きい、白いリムジンが。

「おっ、来た来た!!」
「あれが、レアリティーさんですか?」
「そうそう。レアはドリフト音で自分が来たことを教えるから」
「なんとはた迷惑な登場の仕方だ・・・」

そして玄関へ行くと・・・

「柚流、仕事増やしてくれたわねぇ・・・。」
「いいじゃん、丁度ドレス着てくれるモデルをサーチしてたんでしょ?」
「そりゃそうだけど・・・」
「可愛い子が私を含めて6人も居るのよ?」
「仕方ないわねー・・・。」

そう言うと、彼女は俺達を見て目を輝かせた。

「あら、あら、あら!!可愛い子達じゃない。きっと、いや絶対に全員、私のドレスが似合うわ!」
「じゃあ、さっそく取りかかってくれる?」
「勿論よ!メイクの人とかも呼んだし。」
「ボーイズはどうするの?」
「弟のスパイロを呼んできたから、そいつらに任せるわ。」

やっぱり、世界に名が通っているだけあって、
慣れた手つきで、秋ちゃん達の着替えを終わらせていく。

「・・・どのドレスがいいのか、分かりません・・・」
「あら、貴方にはこの大人しめのドレスが似合うと思うわ。カチューシャに飾りとかつけてね・・・」
「あ、あのう・・・」
「いいから私に任せてちょうだい!」

そう言うと、祈莉ちゃんはレアリティーさんの妹の、
スウィートさんに試着室へ連れ込まれた。

そして、出てきた祈莉ちゃんは・・・

「・・・どう、でしょうか・・・」
「ちょうど、このドレスに似合う黒髪の子を探してたのよ。」
「祈莉ちゃん、似合ってるよ!」
「あら、可愛いじゃない!素敵だわ。」

その時、秋ちゃん達の着替えを終わらせたレアリティーさんが現れた。

「あの子たちの着替え終わったわよー」
「ミーは適当なドレスでいいかな・・・着飾りたいと思わないし・・・」
「柚流、適当なんて私のプライドが許さないわ!!私が手伝うから来なさい!!」
「えっ、ちょっ!?」

首根っこを掴まれ、柚流はずるずると試着室へ連れ込まれた。

そして数分後。


「・・・髪下ろすの嫌だって言ったのに・・・」
「似合ってますよ、柚流さん!」
「そうかなぁ・・・?」
「綱海もメロメロになるんじゃねーのか?」
「やだ、スノーガールってば!!」


- 189 -

*前次#


ページ:





[ top ]

[ 表紙に戻る ]



ALICE+