親善パーティー!
「最後は貴方よ」
「えっ!?」
そう言うと、レアリティーさんは
真剣な目つきで俺を見てきた。
「いや、俺はタキシードで十分ですよ。可愛いドレスなんて似合わないし・・・」
「そんなことないわ。レアリティー・スタイルは「どんな女の子が着ても似合う」がポリシーなのよ」
「そう、ですかね・・・」
「いいから来なさいっ!」
「わあっ!?」
腕を掴まれ、俺は試着室に連れ込まれる。
「・・・あら」
「?」
「あなた、妊婦だったの?」
「えっ、なんで・・・」
「世界でいろんな女性の体を見てきたのよ?触らなくてもわかるわ」
「・・・そう、ですか・・・」
「締め付けないドレスにしないと・・・。スウィート!Eの3245番のドレスを取って来て!」
「はい!」
そう言うとすぐに、試着室のカーテンの隙間から
綺麗なドレスが差し出される。
「貴方を一晩、別人にしてあげる。」
「それって、どういう・・・?」
「特殊なファンデーションでそのタトゥーをごまかして、女の子っぽくしてあげるわ」
「・・・?」
「貴方、自分の男の子っぽい顔がコンプレックスでしょ」
「なんで、そこまで・・・?」
「さっき「可愛いドレスは似合わない」って言ったでしょ?それでよ」
「・・・」
「まあ、私に任せなさい。」
そして、慣れた手つきでドレスを着せられて、
素早くメイクが施される。
「・・・ふむ、これでよし、と!」
「さあ、あなたの晴れ姿を見せてあげなさい!」
「わっ!」
背中をドン、と押され、
よろめく形で試着室から出た。
「あっ、雪女さ・・・」
「えっ?あっ・・・」
「!」
俺を見たみんなが何故か固まる。
「・・・えっと、みんな・・・?」
「「「「「可愛い!!!」」」」」
みんなが口を揃えてそう言ったから、
俺は一瞬ビックリした。
「そ、そうか・・・?」
そう言って、俺は近くに置かれていた姿鏡をのぞきこんだ。
「えっ?これが・・・俺・・・?」
見慣れたタトゥーが消えていて、
つけまつ毛とかがつけられていて、どう見ても別人だ。
「可愛いですよ、雪女さん!」
「そう、かな・・・」
「じゃあ、みんなに見せに行こう!」
「えっ!?そんなの恥ずかしいよ・・・」
「大丈夫、大丈夫!」
「何が大丈夫なんだよーっ!?」
ぐいぐい押される形で、俺は秋ちゃん達に連れていかれた。
「みんな!用意はできた?」
「・・・うわぁ、可愛いですね!!」
「き、綺麗でヤンス・・・!」
「これで驚いてたら、駄目ですよ。」
「どういうことですか?」
「・・・?」
「雪女くん、早く!」
「・・・やっぱ、出ないと、駄目か?」
「駄目です!さあ、早く!」
階段の踊り場の部分で、ちっこくなってる雪女を、
祈莉は力ずくで引っ張って連れてきた。
「・・・うぅ」
「雪女先輩・・・!?」
「すげぇ、綺麗・・・」
「・・・あれ、いつもの目の下のタトゥーがねーけど?」
「馬鹿ね条介、メイクで隠してるのよ」
「柚流!お前もすごく可愛いな!いつも隠してるほうの目も出せばいいのに・・・」
「ミーはこのほうが落ち着くの!」
「お前たち、思ったより似合ってんじゃねーか!」
「「「・・・え?思ったより?」」」
「あ・・・わりーわりー!つい思ったこと言っちまってよ・・・」
「・・・フォローになってないぞ」
「あ・・・」
「条介のバカーーーッ!!」
その瞬間、バチーンと言ういい音と、
綱海の悲鳴が響き渡ったのは言うまでもない。
「・・・あれ、円堂くんは?」
「そういえば、居ないね・・・」
「・・・もしかして!!」
「秋ちゃん、俺も行くよ。あいつ、きっとまだグラウンドに居るはずだからさ」
「うん。」
グラウンドに行くと、予想通り守がいた。
・・・しかも、テレスにフィディオ、マークにディランと豪華な奴らと一緒に。
「・・・まったく、邪魔はしたくねーけど時間が押してるから仕方ねーな」
「もう、円堂くんってば」
「守ー!そろそろ時間だぞ!」
そうスカートの裾を持ちながら声をかけた。
(俺のはロングドレスだから、裾を引きずりそうで怖いんだよ!)
そうすると、全員こっちを向いて・・・
固まった。
ぽす、と
地面にボールを落とす音が響く。
「・・・守?おーい、守?」
「えーと、ど、どちら様・・・?」
「誰って・・・俺だよ、雪女だよ!」
「・・・雪女!?」
「誰だ?あのドレスの・・・女?」
「・・・いっけね!!パーティーに呼ばれてたんだった!!」
「早く行け!」
「あ、あぁ!!」
「・・・ったく!みんな行っちまったんだぜ!?」
「すまねぇ、秋、雪女!」
「秋ちゃん、先に行っといてくれ。」
「えっ?」
「俺、今ロングドレスだし、高いヒール履いてるから走れねーんだ。」
「うん、分かった。なるべく早くね?」
「あぁ。・・・あ!あと守!」
「ん?」
「後で話したいことあるから、待っとけよ!」
「・・・あ、あぁ。」
「じゃあ、あとでね!」
「あぁ!」
そう言って秋ちゃん達を送り出し、
俺はゆっくりと歩き出した。
「(大体、今週で4か月目か・・・)」
安定期に入るまでは、転んだりすることはなるべく避けたい。
つわりとか貧血はだいぶ落ち着いたけど、
まだまだ油断できないし。
「・・・ゆっくり行くか。」
ゆっくり歩いていたせいで、会場についたのは
そろそろ夜になりそうな頃だった。
「(・・・えーと、円堂やみんなはどこだろう?)」
そう思って俺が会場に入ると、とたんに会場がざわついた。
「(あ、あれ?みんな俺を見てる?)」
どこかおかしい部分でも!?と焦っていると・・・
「・・・そこの可憐なレディ、誰かお探しですか?」
「お探しでなければ、ぜひ私と!」
「いや、私と!!」
とたんに男が俺のもとへ群がってくる。
最終的に、俺を誰がエスコートするかで大喧嘩になってるし・・・
「!?」
「君たち、彼女が怖がっているじゃないか!」
「え、えっと・・・」
「さぁ、こちらへ。」
そこに現れたのはエドガーで、
俺の手を優しくつかみ、人気の少ないテラスへと連れて行ってくれた。
「(えーと、女の子っぽい口調を使わないとダメだよな・・・)」
「大丈夫ですか?」
「え、えぇ。どうもありがとうございます。」
「とても怖かったことでしょう、申し訳ありません。」
「いいえ。・・・ところで貴方は、エドガー・バルチナスさんですよね?」
「えぇ。私をご存じなのですか?」
「・・・はい。今度、イナズマジャパンと試合するんですよね?」
「・・・えぇ。あなたはイナズマジャパンのマネージャーか何かですか?」
「はい。私はイナズマジャパンのマネージャーの火月雪女です。」
「・・・イナズマジャパンがうらやましい。こんなに可憐で美しいレディーをマネージャーに持ってるなんて」
「そうですか?・・・でも私、本当は男勝りのおてんば娘ですのよ」
「そうは思えません」
そう言うと、エドガーは微笑んだ。
「レディ、もしあなたが危険な目にあった時にはお助けしましょう」
「あら、急にどうしたんですか?」
「・・・いえ、別にどうということはありませんが、レディーを守るのは紳士の務めですから」
「そうですか・・・」
「あっ、雪女!ここに居たのか!」
その瞬間、タキシードの守が声をかけてきた。
「守・・・」
「おやおや、キャプテンが迎えに来てくれたようですね。では、私はこれで」
そう言うと、エドガーは俺の手を取り、
ちゅっ
小さなキスをして去って行った。
「・・・!!」
俺の顔はもちろん真っ赤。
駄目だ、俺には士郎がいるのに・・・!!
「雪女?」
「・・・はっ」
「大丈夫か?顔赤いぞ?」
「・・・あ、あぁ。大丈夫だ。」
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