出会いは突然に
「そう言えば、俺に話したいことがあるって言ってたよな?」
「あぁ、まずはこれを見てほしい。」
そう言うと、俺はハンドバッグから
ばあちゃんの日記を取り出した。
「・・・これ、日記?」
「読んでみてくれ。」
「いいけど・・・」
ペラペラとめくっていく守は、
1ページごとに、表情がどんどん変わっていくのが分かった。
「・・・こ、これって!」
「あぁ。つまり俺と守は、親戚か従兄弟みたいなもんなんだ」
「・・・す、すげえよ!雪女も、雪姫さんも!」
「そうだな。」
そう言うと、雪女はテラスの柵に腕を乗せた。
「・・・お前、夏未嬢から聞いたんだろ?・・・大介さんが生きてるって」
「・・・あぁ」
「俺は、ばあちゃんが考えていた事を・・・伝えたいんだ。」
「・・・俺もだ。」
「そうか。」
そう言うと、雪女はカツコツと足音を立てて、歩き出した。
「どうしたんだ?」
「俺、人酔いしちまったみてーだ。先に帰ってるぜ」
「・・・そ、そうか。秋とかに伝えておくぜ?」
「よろしく頼むぜ。」
そう言って、俺は会場を出た。
「ったく!!・・・このドレス、裾でも結ばないと動きづらくて仕方ねーな」
そう思って、俺はドレスの裾をきゅっと結んで、
ミニドレス並みの短さにした。
これで軽快に動けるだろう。
その瞬間、前を歩いていた老人の男性の上のテラスから、
植木鉢が落ちてくるのが見えて、俺は無我夢中でその男性を助けた。
ガシャーン!!
陶器の割れる音が、夜の路地に響き渡る。
そして俺の足元に、植木鉢だったであろう陶器の破片と、
植木鉢に入っていた土がまき散らされる。
「だ、大丈夫ですか!?」
「・・・あ、あぁ。」
「あらやだっ、ごめんなさい!!二人とも大丈夫!?」
「大丈夫です!」
上から植木鉢の持ち主であろう女性が心配そうにのぞきこんできたため、
俺は笑顔でそう言っておいた。
「・・・すみません、急に押し倒したりして。上から植木鉢が落ちてくるのが見えたものですから。」
「お前さんが助けてくれたのか」
赤キャップが特徴の男性。
・・・あれ?どっかでこの人見たことあるような・・・
「・・・大丈夫ですか?怪我とか・・・」
「ワシは大丈夫だ。お前さんは?」
「あ、俺は大丈夫です」
そう言って目の部分まで下がっていた赤いキャップを上げると、
その男性は俺を見て、一瞬だけ固まった。
「・・・俺の顔に何か、ついてますか?」
「・・・め、か・・・?」
「え?」
「・・・いや、昔の恋人とお前さんを見間違えただけだ。・・・あいつは、もう居ないというのに」
「・・・!」
その瞬間、俺の中で何かがつながった。
この人は・・・大介さんだ!!
「あ、あの」
「ワシはもう行く。お前さん、礼を言うぞ」
「あっ・・・」
引き留めようとした瞬間、大介さんは
どこかへ行ってしまった。
追いかけようにもヒールだし、ドレスだし・・・
仕方ないので今回はあきらめることにした。
それからというもの。
ナイツオブクイーンの試合やら
ジ・エンパイアの試合やら
ユニコーンやチームKとの試合が続いて、
いつしか俺は、大介さんを探すことをすっかり忘れてしまっていた。
「・・・えーと、1,2,3・・・うん、全員分のユニフォーム洗い終わったな。」
「じゃあ次は、ドリンクとか作らないと!」
「あれっ、私あの仕事やったっけ!?」
「ヤバいわ、ミー頭が混乱してきた・・・」
「うわーんっ、猫の手も借りたい気分ですよ!!」
途中からヒカリが戻ってきてくれたが、
とてもじゃないが人手が足りない。
「・・・眠たぁ・・・」
無理はしちゃいけないってわかってるけど、
どうしようもない。
「(最近お腹も大きくなってきたし・・・ばれるのも時間の問題かな・・・)」
お腹を撫でながらそう小さな声でつぶやくと、
後ろから祈莉が声をかけてきた。
「どうしたんですか、雪女さん?お腹でも痛いんですか?」
「・・・だ、大丈夫だよ。」
「そうですか?それならいいんですけど」
「あーーーっ!!あっつい!!」
「何やってるんですか、柚流さん!!」
そんな忙しい毎日だった。
「・・・もう駄目・・・」
「み、ミーは、ぜ、全身筋肉痛よ・・・ウフフ・・・」
「あと何試合あるんですか・・・?」
「・・・えーと、一昨日オルフェウスと戦ったから・・・おおよそ、2試合?ザ・キングダムとリトルギガントで終わり・・・のはず。」
「その2試合までが遠いのね・・・・ウフフ・・・」
そんな事を、束の間の休憩時間に話していると。
「あ、携帯鳴ってる・・・」
「誰からでしょう?」
「・・・もしもし?」
《久し振りやな、雪女!!》
「リカ!?」
《今うちら、ライオコット島の中におるんでー♪》
「いつの間に来たんだよ、お前ら・・・」
《色々とさておき、ちょっと助けて欲しいねん!ちょっと来てーな!》
「・・・えー・・・」
《友達やんかぁ、ちょっとだけやからな!ね?》
「仕方ねーな・・・。今どこに居るんだ?」
「誰からだったんですか?」
「・・・友達から。」
「なんて用事で?」
「ちょっと助けてくれって。・・・でもロクでもない用事だろーけど・・・」
「行ってあげたほうがいいわよ、スノーガール!!」
「そうですよ!」
「・・・じゃあ行ってくるから、留守番と秋ちゃん達に伝言頼めるか?」
「はい!」
「任せてください!」
「ミー達の事は気にしないで!」
「じゃあ、行ってくる・・・」
「行ってらっしゃい♪」
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