女神は人間を選んだのだ


「ならば、儂が主審をやろう」
「あーっ!あの時の!!」

その時、リカにあのブレスレットを売った
あのおっさんが出てきた。

「これはどんな試合になるか、楽しみじゃ」
「楽しみって・・・誰のせいでこんなことになったと思ってんだー!!」

・・・もう本当、泣きたい。

その時、アンヘルと呼ばれていた少女が、
俺をじーっと見て、こう言った。

「アイエル、女神様がずっと立ってたら、おなかの子供に悪いと思うノ」
「・・・それもそうね。では、こちらに」
「うわっ!?」

そして俺は、籐でできたような椅子に座らされた。

「・・・みんな!!絶対勝ってくれよー!!」
「あぁ、もちろんだ!!」

そして、試合開始のホイッスルが鳴る。

染岡がドリブルで突っ込むが、アイエルにボールを奪われてしまう。

「何っ!?」
「ウイネル!」

そしてウイネルにボールが渡るが・・・

「行かせない!!」
「・・・フッ」
「えっ!?」

塔子が止めようとするが、難なくかわしてしまう。
そしてボールはセインに!!

「この島の平和を乱そうとする下界の人間共よ、天空の裁きを受けるがいい!!」

「ヘブンドライブ!!」

「・・・ゴールは割らせない!!」

そして守はイジゲン・ザ・ハンドを使ったが防げず、先制点を許してしまった。

「・・・何だよ、今のパワー・・・!!」
「これ以上やっても勝敗はすでに見えている。諦めて立ち去るがよい」

そうセインが言った瞬間、士郎が大きな声で反論した。

「・・・それはできない!!」
「なに?」
「雪女は、僕の大切な人だ!魔王なんかに渡しはしない!!」
「・・・そうだ・・・雪女は必ず連れて帰る!!」
「円堂!!」
「愚かな、まだ我らに刃向うと言うのか・・・」

そして、試合再開のホイッスルが鳴った。

染岡やフィディオが気合を入れ直したのか、今度はボールを奪われることは無かった。

そしてボールは、ゴール前のエドガーに!!

「レディーは、私がこの足で救う!!」
「行け、エドガー!!」

「エクスカリバー!!」
「ホーリーゾーン!!」

しかし、エクスカリバーはホーリーゾーンで止められ、同点ならず。

「エドガー!止められてるだろ!?何が「この足で救う」だよー!!」
「・・・・!」

力の差を見せつけられ、呆然とするエドガー。
だが、試合はまだ続いている。

みんなはあきらめずに、ボールをカットし続けた。

「(・・・何故だ!?なぜ下界の人間に、われらの攻撃が止められる!?)」

「雪女は、渡さない!」
「絶対に、取り返す!!」
「この試合、絶対に勝つっス!!」

「・・・くっ!」

そしてウイネルのシュートを、
塔子がザ・タワーV2で止めた!!

それから、エカデルやエルフェルを難なくかわし、
そのままゴール前のフィディオにボールが渡った!

「オーディンソード!!」
「うわあっ!?」

渾身のオーディンソードはGKを跳ね飛ばし、
見事にゴールに突き刺さった!

そしてそこで、前半が終了した。

「(点は1対1・・・これならいけるかも!!)」
そして後半。

「点取っていくぞ!!」
「「「おう!!」」」

「愚かな・・・」

セインはウイネルにボールを回した。

「上がれ、ウイネル!!」
「あぁ!」
「行かせねぇ!」

染岡がウイネルの前に立ちふさがるが、
難なくそれをよけていく。
多彩なパス回しで、DF陣を翻弄させていく。

「雪女は絶対に、渡さないーーっ!!」

士郎がスライディングで、エヌエルからボールを奪った!

「ヒロトくん!」
「(よし、このまま持ち込めれば・・・!)」

「行かせない!ゴー・トゥ・ヘブン!!」
「うわああっ!!」
「ヒロト!」

エカデルに阻まれ、ヒロトは吹き飛ばされてしまった。
そしてそのまま、ボールはギュエールに渡った!

そして、ギュエールの威力抜群のシュートが
守を襲う!

「えいっ!!」
「雪女は、必ず連れて帰る!」

守は、なんとかゴールを死守した!

それから何度も、ギュエールたちの強烈なシュートがゴールを襲い、
守にも限界が見え始めた。

「うわあっ!!」
「円堂、来るぞ!」

バランスを崩して倒れたその瞬間、
狙い澄ましたようにギュエールがシュートを撃つ。

「ここで点を入れられたら・・・!!」

「ザ・タワーV2!!」

塔子が、ザ・タワーV2でボールをライン外まではじき、
何とか点を入れられずに済んだ。

「塔子!?」
「塔子、大丈夫か!」
「・・・これくらい、雪女を助けるためなら・・・!!」

「(塔子・・・)」

残り時間を示す砂時計の砂もあとわずか。

「(みんな、頑張れ・・・!!)」

手を組んで、目を閉じて祈ったその瞬間。

雪女は気づかなかったが、
雪女の背中からまた白いオーラ・・・女神の力があふれ出し、
光の矢のようになって、味方全員の体の中に、
すっ、と消えるように入って行った。

「あれ、体が痛くなくなった・・・?」
「何だか、力が湧いてくるっス!」
「何だか知らないけど元気になった・・・!」

「なっ、女神の力があいつらに・・・!?」
「・・・女神は、天空の使徒の私達より、下界の人間のあいつらを選ぶというのか!」
「落ち着け!女神の力が入ったからと言って、あいつらが私達より強くなれるはずがない!」
「・・・そ、そうだ!」

そして試合再開。
再開早々、ウイネルがボールを奪った。

「させるかよ!!」

小暮がボールを奪おうとしたが、
隙を突かれ、ボールはセインに渡ってしまった。

「しまった!」
「これで終わりだ、下界へ堕ちるがいい!!」

「ヘブンドライブ!!」

セインのヘブンドライブが、ゴールを襲う!
しかしその時・・・

「私に任せろ!!」
「エドガー、あのシュートを撃ち返すつもりか!?」
「やめろエドガー!!そんな事をしたら、お前の足が!!」
「レディーを守るために潰れるのなら、この足も本望だ!」

「(どうか、力を・・・!!)」

そう強く願った瞬間、大量の女神の力が
矢のように素早く溢れ出す。

その力は、エドガーの足にまとわりついて、
まるで負担を軽減させるクッションのようになった。

「エクスカリバー!!!」

そして、セインのパワーが加わったエクスカリバーは、
そのままゴールへ突き進んで行った!

「何、打ち返しただと!?」
「それに、女神の力があいつを守っているノ!?」

「ホーリーゾー・・・うわあっ!」

ホーリーゾーンを打ち砕き、
そして、ボールはゴールに突き刺さった!

そしてその瞬間、砂時計の中の最後の砂が落ち、
試合終了のホイッスルが響き渡った。

点数は2対1・・・

「試合、終了・・・?」
「と言うことは俺たち、勝ったのか!?」
「これで雪女先輩、魔王の花嫁にならなくて済むっス!!」
「守った・・・。俺たち、守ったんだ!!」

「「「やったーーーっ!!!」」」

グラウンドに、みんなの声が響き渡る。

「みんな・・・!」

喜ぶみんなを見たくて、
俺は高い段差から、少し身を乗り出した。

その瞬間。


ズルッ・・・


「!!」

ドレスの裾を謝って踏んでしまい、
ヒールでは踏ん張ることも出来ずに、
俺は滑って、段差から落ちた。

「(お腹だけは、守らなきゃ・・・!!)」

反射的に俺は、背中から落ちる様なポーズになる。

「雪女!!」
「先輩!」

数秒後に走るであろう痛みを覚悟して、
俺はぎゅっ、と目を閉じた。


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