終わりと、新しい始まり
「・・・!」
「・・・雪女・・・!!」
「雪女!!」
守や塔子たちの声で、俺は目を覚ました。
「う・・・ん、みんな・・・?」
「雪女!」
「目が覚めたんだな!!」
「・・・うん、脈も戻ったし、体温も元通り。蘇生術は成功っスね」
「狐狸・・・?俺、いったい・・・」
「雪女さん、もう少しで死んじゃって、魔王の生贄になるところだったんスよ!?」
「狐狸が蘇生術で、魂をもとに戻してくれたんだよ!」
「・・・やっぱ俺、魂抜かれてたのか・・・」
「大丈夫ですか?体調とか・・・」
「あぁ。なんとか・・・」
その時、雪女の動きが止まる。
「・・・雪女さん?」
「どうしたんですか?」
「まさか、あちきの蘇生術に手違いでも!?」
「・・・動いて、る」
「えっ?」
そして雪女は、自分のお腹に手を当てた。
「お腹の子が・・・ちゃんと動いてる」
「ええっ!?」
そう言うと、狐狸は雪女のお腹に手を当てた。
「・・・普通の胎動っスね。たぶん雪女さん、胎動を感じたのは初めてなんスね?」
「あ、あぁ・・・」
「大丈夫っスよ!お腹の子供もちゃんと元気っスから!」
「よかった、本当によかった・・・!」
雪女の目から、ボロボロと涙が溢れだす。
ヘブンズガーデンの事や、さっきの事もあり、
凄く心配だった分、喜びもひとしおなのだろう。
「よかった、よかったよ・・・っ!!」
「雪女!」
・・・そして俺たちは、ここに来るときに使った、狐狸のあの術で火山のふもとまで降りて、
フィディオやエドガーたちに別れを告げた。
そして俺は宿舎に戻って、
秋ちゃんたちに今までの経緯を伝えた後、
俺が妊娠しているという事実も教えた。
「監督に内緒にしてくれ」と言うことも付け足して。
そして、決勝に向けて
みんな新たな道を進みだした。
そして。
「あっ、動いてる動いてる!」
「ぽこぽこ言ってる〜。」
「お腹の子が、俺のお腹の中を蹴ってる音なんだってよ。」
「不思議ですよね!」
「そうっスねえ」
みんなが練習する中、
俺も無理しない程度に、マネージャーの仕事を続けていた。
あれから狐狸もマネージャー仲間に加わり、
みんなで忙しく過ごしていた。
「・・・そう言えば、今日はみんなTVに釘付けだよな」
「あぁ、ザ・キングダムが出てますからね」
「ミー達も、もっとビジーになるんじゃない?」
「これ以上忙しくなるのかぁ・・・」
「まぁまぁ、俺も頑張るからさ」
「「「「駄目/です/だよ!!!」」」」
「・・・へ?」
「無理は絶対禁止!もう雪女くん一人の体じゃないんだから!」
「え」
「体を使う仕事は私たちがするので、雪女さんは簡単な仕事を無理なくやってください!」
「・・・えー・・・」
「分かった!?」
「でも秋ちゃん、俺じっとしてると苦しいんだよ・・・」
「じゃあ、その辺を散歩するなりしてください!無茶な仕事は厳禁です!」
「祈莉ちゃん、でも・・・」
「でもじゃないわ、スノーガール!!」
「あっ、はい・・・わ、ワカリマシタ・・・」
他のみんなに押され、俺はそう言うしかできなかった。
・・・と言うわけで。
夕方、暇つぶしがてら土方と玄関前に座って、
ちょっとした話をしていた。
「お前、最近パランとはどんなんだ?」
「ば、バレてたのかよ!?」
「あぁ。」
「・・・えーと、そのだな。パランは子供が好きみたいでな、この前、俺の弟たちの写真を見せたんだよ」
「そしたら?」
「「こんなに可愛い弟さんが居ていいですね」って・・・」
「あー、確かにあいつ一人っ子だもんな」
「その、俺あの時の笑顔が忘れられなくて・・・」
「・・・お前、パランに惚れたな」
「初々しいっスねー」
「!?」
「安心しろ。俺がなんとかしてやっから」
「そ、そんなんじゃねえって!!」
「そう言ってる割には真っ赤だな」
「トマトみたいっスよ、土方さん!」
「お、俺もう部屋に戻るぜ!」
「おい、待てよ土方・・・」
その時、ザッと足音が聞こえて、
後ろを振り向くと、そこには
ザ・キングダムのキャプテン、マック・ロニージョが立っていた。
「お前は、マック・ロニージョ!?」
「どうした?・・・何か用か?」
「円堂守は、どこだ?・・・会わせてくれないか」
「守?」
俺は土方に守の居場所を教えて、案内するように言っておいた。
「円堂はこっちにいるぜ」
「・・・ありがとう」
「・・・何だか、嫌な予感がするな」
「雪女さんも、感じてるんスか?」
「あぁ。」
「・・・本当にとてつもなく、嫌な予感がするっス・・・」
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