切れたミサンガ
そして後半。
・・・だが、リトルギガントは
GKだったロココをFWに投入してきた。
「大胆な作戦ね・・・」
「祈莉が感じたのって、これのことか・・・?」
そして、後半開始の合図のホイッスルが
高らかに響き渡った。
ゴーシュからのパスがロココに渡り、
ロココは、そのまま前へと進んでいく。
止めに入った不動を目にもとまらぬ速さで抜き去ったが、
吹雪と壁山がボールを奪い取り、
パスが虎丸からヒロトに渡って、攻撃のチャンスが到来。
「天空落とし!!」
「ゴッドハンドX!!」
しかし、ロココの代わりのGKケーンも
ゴッドハンドXを発動し、ボールを止めてしまった。
そのあとから、リトルギガントの猛攻が始まる。
鬼道や不動は、相手が新たに出してきた技、
「エアライド」で避けられてしまうし、
そのあとのロココの技、「Xブラスト」でゴッドキャッチが破られ、
点数は1対2に。
・・・だがしかし、イナズマジャパンも負けてはいない。
虎丸と豪炎寺とヒロトが進化した技、
「グランドファイアG2」を成功させた。
だが、進化した「ゴッドハンドX改」が
シュートを粉砕してしまう。
しかし、進化したのは虎丸たちだけではなかった。
鬼道たち3人の技も進化し、「皇帝ペンギン3号G2」を発動。
「進化した技、これなら・・・!!」
と、喜んだのもつかの間。
「真ゴッドハンドX!」
ケーンも技を進化させ、ボールをセーブした。
「なっ・・・!!」
「また進化した、だと・・・!?」
「・・・そんな、あっちも進化してるなんて!」
「こりゃ・・・なめてかかると、痛い目に合うぜ!」
そして、そこからリトルギガントの逆襲が始まる。
パスを受け取ったロココが、再びXブラストをゴールに向けて打ち込んだ。
「そっちが強くなるなら、俺たちはもっと強くなる!!・・・ゴッドキャッチG2!!」
守は進化したゴッドキャッチで、シュートを難なく止めてみせた。
そして、そのまま鬼道へボールを渡す。
「行け、鬼道!!」
「・・・あぁ!」
鬼道は円堂の技の進化に発奮したのか、
前へと勢いよく上がっていく。
「行くぞ、ヒロト、吹雪!!」
そしてそのまま、新しい技「ビッグバン」で
1点を決め、再び同点に持ち込んだ!
その時、ホイッスルの音が響き渡る。
・・・どうやら、ケーンがさっきのシュートを受けた時に手首を負傷したらしく、
再びロココがGKの位置に戻っていった。
それからというもの、どちらも素晴らしい攻防が続き、
新しい必殺技や、技がどんどんと進化していく。
見ていてワクワクとして、自然に笑顔があふれてくる。
俺だけではなく、
祈莉や柚流、春菜ちゃんや秋ちゃんも
無意識なのか口角が上がっていた。
残り時間はあとわずか。
点数はいまだに2対2のまま・・・
「このまま逃げ切るのか、それともどちらかが点を入れるか・・・」
「どちらにしろ、厳しい状況だ・・・」
その時監督が動いた。
ライン外から俺たちのベンチのほうにに出てきたボールを拾い、シンティに手渡した。
「監督・・・?」
「今までベンチから動かなかったのに・・・」
その時、監督は大きな声でこう言った。
「よく聞け!これから最後の指示を下す」
「・・・最後の・・・」
「指示・・・?」
「思いっきり、楽しんで来い!!」
その一言の意味が分からなかったのか、
みんな一瞬困惑した表情になった。
しかし、守は言葉の意味が分かったのか・・・
「・・・はい、監督!!」
大きな声で返事をした。
それにつられ、ほかの選手も返事をしていく。
「・・・どういうことでしょう、さっきの言葉・・・」
「こんな苦しいときに、「楽しめ」なんて・・・?」
「まだわかんねーか?」
「えっ?」
「苦しいときにこそ楽しむ・・・。それが、守たちの力を最大限に引き出す方法だよ」
「・・・ああ!!」
FFの時だって、エイリア戦のときだって。
苦しいときにこそ、俺たちは試合を楽しんできた。
「・・・頑張れ、みんな!!」
「みんな!!・・・全力で楽しむぞ!」
守の顔には、一片の迷いも苦しみも見えなくて。
その笑顔を見て、
俺の胸は一層高鳴った。
そこから、イナズマジャパンは攻撃に転じた!
「・・・みんな、笑ってます」
「ったく、全員こんな時なのに幸せそうな顔しやがって」
「でも、すごく素敵なスマイルよ。」
「・・・あぁ。」
残り時間はあとわずか、
試合はクライマックスに入ったその時。
士郎が取りこぼしたボールを、
いつの間にか前線へ上がってきていた守が受け取り、そのまま上がっていく。
「「キャプテン!」」
「円堂!」
「円堂くん!!」
「守!!」
「行くぞ、みんな!!」
「「「ジェットストリーム!!!」」」
イナズマジャパンは、
守と虎丸と豪炎寺での新必殺技、
ジェットストリームで、最後の勝負に出た!
すごい轟音と風を巻き起こし、
ゴールへと突き進んでいく!!
「止める!勝つのは僕たち、リトルギガントだ!!」
ロココも負けじと、タマシイ・ザ・ハンドG2で止めにかかる。
「止める、このボールだけは止めてみせ・・・うわあああっ!!」
しかし、シュートの威力に負け、
タマシイ・ザ・ハンドG2を砕いて、ボールはゴールへ突き刺さった。
そして逆転した瞬間、試合終了のホイッスルが響き渡った。
・・・プチッ・・・
その時、小さな音を立てて、
ずっと着けていたオレンジのミサンガが切れ、
パサリ、とこれまた小さな音を立てて地面に落ちた。
「試合・・・終了・・・?」
そう春奈ちゃんが呟いた瞬間、
スタジアム中に溢れんばかりの歓声と拍手が沸き起こる。
「やったーーーーーーっ!!」
その瞬間、ベンチにいた立向居や染岡たちが
次々に飛び出していく。
「やったんですよね、勝ったんですよね!」
「そうよ、ビクトリーなのよ!勝ったのよ!!」
「やった、やったぜあいつら・・・!!」
そして俺たちは、守に抱き付いたり胴上げなんかもしたりして、
世界一の喜びを噛み締めた。
・・・その時、俺たちに近づく一人の男。
誰かと思いきや・・・
「よう、久遠。元気にしてたか?」
「?」
「・・・正義か?」
「と・・・父さん!?」
そこに現れたのは、なんと父さんだった。
「久しぶりだな、久遠」
「・・・お前こそ」
フレンドリー(?)に話す監督と父さん。
・・・って、ええ!?
「監督と父さんって、知り合いだったのか・・・!?」
「な、なあ雪女。あれって・・・」
「・・・俺の父さん、火月正義だよ・・・」
「ま、正義って、あの正義選手!?」
「「「えええっ!?」」」
もちろんみんなビックリ。
俺が言うのもなんだが、世界屈指のサッカーチームのエースストライカーがこの場にいたら
誰でも驚くよな、普通・・・
「・・・よくやったじゃねーか。」
「お前に言われたくはないがな」
「はは、相変わらず可愛くねえ奴!」
「何しに来たんだよ、父さん!父さんは部外者だろ!?」
「祝いに来たんだよ。ここに入れたのは、えーと・・・顔パスってやつだ。」
「・・・はあ」
守たちは目を輝かせているが、
俺はもうため息をつくことしかできない。
その時、大介さんがふらりとこっちにやってきた。
「・・・大介さん?」
「あれが、お前さんの父親か?」
サングラスで目は見えないけど・・・
声で少し、泣いているのが分かった。
「・・・はい。俺の父親で、そして・・・大介さんの息子です」
「そうか・・・。ワシに似ずに雪姫に似たんじゃな・・・」
「そうですね。でも・・・笑顔はあなたにそっくりですよ」
「・・・こんな老いぼれになってしまったワシだが・・・今は「生きていてよかった」と心から思うよ」
「それなら、俺も幸せですよ」
俺がそういってニコリと笑うと、
大介さんは、俺の頭をそっと撫でてくれた。
その時、父さんが俺の隣の大介さんに気付き、
俺のほうへ向かってきた。
「・・・父さん?」
俺の言葉に耳を貸さず、父さんは大介さんのほうを向いて、こういった。
「・・・初めまして。俺は火月正義、火月雪姫の、息子です。・・・あなたのことは、母さんの日記で知りました」
「ワシも、お前さんのことはお前さんの娘・・・雪女から聞いたよ」
そういうと、大介さんは父さんをそっと抱き寄せた。
「一度も会えんですまなかった。・・・ワシのわがままだが、今この時だけでも「父さん」と呼んでくれんか」
「・・・父さん、父さん・・・・っ」
めったに泣かない父さんが、
その時は大介さんに抱き付いて、ぼろぼろと涙を零していたのを、
・・・俺は、一生忘れないだろう。
「え?つまり、正義さんはじいちゃんの息子で、えーと・・・」
「・・・簡単に言えば、温子さんと父さんは腹違いの兄妹で、俺と守はいとこってことだ」
「ええーーーーっ!?」
・・・なんてこともあったが、
俺たちは「世界一」という称号を持って、
日本に帰ることができた。
・・・思えば不思議な縁だった。
コンビニに入ったのが、トリップの始まりだったかな。
それから兄ちゃんとの別れやばあちゃんとの再会、
衝撃の真実にもぶち当たったりもしたな。
・・・今はどうだ。
好きだった士郎と恋人になって、
俺の腹には子供までいる。
不思議な縁だよな・・・。
でも、今じゃ幸せすぎて恐ろしいくらいだ。
・・・そしてまた、新しいことが始まる。
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