赤ちゃんの名前
体が引き裂かれそうに痛い
呼吸がしにくくて苦しい・・・
痛い
苦しい
痛い
苦しい
でも、負けられない・・・ッ!!
「おめでとうございます、かわいい女の子ですよ!」
「・・・わあ、ちっちゃい!」
「可愛いですね!」
「吹雪くん似なのかな?」
「よく見たら、ちゃんと雪女さんにも似てますよ!」
「キュートよね〜!」
ガラス越しで、きゃっきゃとはしゃぐ秋ちゃん達。
「それにしても悪いなぁ。祈莉やヒカリ、はたまた柚流にまで来てもらっちゃって」
「いいんですよこれくらい!むしろお祝い持ってこれなくてすみません、雪女さん・・・」
「おもちゃの一つでも持ってくればよかったんでしょうけど、急いできたものですから」
「いやいや、気にしなくて大丈夫だよ!」
本気で落ち込む二人を必死になだめる。
「そういえばこの子、女の子なんですよね!」
「あぁ。可愛いだろ?」
「あらら、さっそく親バカのはじまり?」
「当たり前だ、子供が可愛くない親が居るか!」
「確かに、すごく可愛いですもんね!」
ヒカリがそう言うと、祈莉は不思議そうにこう言った。
「・・・そういえば、雪女さん」
「ん?」
「この子の名前はどうする気なんですか?」
「・・・一応、この子がお腹にいたころから考えてはあるんだけど、士郎と話し合って決めたいからなあ」
「あれ?吹雪さん、まだ来てないんですか?」
「・・・あぁ、あいつ北海道にいるしなあ。でも一応、メールで報告したとき「時間が空いたらすぐ行く」ってメールが返ってきたからな」
「へぇー・・・」
「ブリザードボーイのことだし、すぐ来そうな気がするけどなあ」
「・・・そうか?」
そしてそのあと、
俺の病室で、祈莉達と話していると
急に病室のドアが開いた。
看護士さんかと思っていたら、
そこにいたのは、なんと・・・
「・・・はあっ、はあ、お待たせ!」
「し、士郎!?本当に北海道からここまで来たのか!?」
「あらあら、ブリザードボーイのお出ましだわ!」
「・・・じゃあ私たち、邪魔みたいですし失礼しますね〜♪」
「また明日来まーす!」
そう言って、3人ともそそくさと病室を出ていった。
もちろん、自然な流れで二人きりになる。
「・・・ごめんね、3日も遅くなって」
「あ、謝ることねーよ!むしろ早すぎるくらいだし・・・」
久しぶりに会った、というのもあって
顔がかあっ、と熱くなる。
きっと今、俺の顔は真っ赤に違いない。
「あ、赤ちゃん見に行こうぜ・・・」
「・・・うん。」
とにかくこの空気をごまかすため、
俺は士郎を、新生児室のガラス窓の前まで案内した。
「・・・どの子?」
「えーと、右から二番目の子。水色のタオルケットにくるまってる子」
「あれが・・・」
「・・・可愛い女の子だろ」
「うん、すごく可愛い!雪女似かな・・・?」
「・・・いや、ほとんど士郎似だよ。俺に似てる部分は顔の輪郭くらいだ。」
「目の色とかは?」
「髪色がお前みたいなグレー混じりの白で、目の色が不思議なことに・・・どちらにもない青緑なんだ」
「・・・へぇ」
そう言うと、士郎は何かを思い出したような顔をして、
俺にこう言った。
「そういえば・・・名前はもう決めた?」
「いいや、お前と話し合って決めたかったから、まだ・・・」
「・・・じゃあ、今僕がいるうちに考えちゃおう。」
「そうだな」
そう言うと、俺たちは窓近くの椅子に座り、
さっき自販機で買った缶コーヒーを飲みながら
話し始めた。
「・・・雪女は、何か名前考えてる?」
「一応、な・・・」
「どんなの?聞かせて。」
「・・・笑うなよ?」
「大丈夫、笑わないから。」
「・・・“白姫”」
ボソッ、と恥ずかしげにつぶやいた名前。
名前の由来は、俺の通り名“白蒼の雪女”から“白”の一文字を取ってつけた名前。
・・・実は結構気に入っている名前だったりする。
「・・・白姫、うん、すごくいい名前だと思うよ!」
「そ、そうか・・・?」
褒められると、ちょっと恥ずかしいけど凄くうれしい。
「・・・この名前で、いいかな」
「君ががんばって考えてくれた名前なんだから、絶対にいい名前だよ!!」
「じゃあ、この名前で・・・いいよな?」
「もちろん!」
そしてその夜、士郎が帰った後
“白姫”を抱いて、俺は白姫に話しかけた。
「・・・これからよろしくな、白姫・・・」
白姫はその時、この状況を知ってか知らずか、ほんのりとほほ笑んだ。
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