さぁ、試合で幕引きを


「・・・ではこれより、雷門中サッカー部卒業試合を始めます。」

夏未嬢のその声で、
緊張しているのもあってか、自然に背筋が伸びてしまう。

「・・・では、チーム分けを発表します。」

俺は響木監督が指揮する、
雷門サッカー部最初の奴らがいるAチーム。

祈莉達は、久遠監督が指示する
後からサッカー部に参加した奴らがいるBチーム。

「・・・うーん、まさか雪女のチームと敵同士になるとは思わなかったよ」
「それを言うなら俺もだよ。・・・先に言っておくけど、手加減しねーからな?」
「もちろん!・・・僕だって手加減しないからね?」

「どんな戦いになるか、楽しみですね!」
「・・・う〜ん、ミードキドキしてきちゃったわ!今ならどんなシュートも打てるわよ!」
「・・・おいおい、柚流が入るのは後半からだぜ?」
「え、そんなぁーーッ!?」
「あはは・・・」

そんな話が出つつも、試合は始まろうとしていた。

・・・しかし。


「わ、わああっ!?」
「きゃっ!!」


急に大きな音と地面の揺れが。


「う、宇宙人が攻めてきたのかもよ!?」
「・・・シャ、シャレにならんわ!」


音の正体は何かわからないが、
ものすごい砂埃を上げて、何かが来ていることは確かだった。


「な、なんなんだよっ!?」


砂埃が晴れると、驚くべきものが目の前に。


「何か、あれ・・・」
「以前に見た気が・・・」


なんと音と砂煙の正体は、
鬼道が敵だった時に見た、帝国学園のあの格違いのバス(?)だった。

そして、その格違いのバス(?)から降りてきたのは、
源田や佐久間や不動たちだった。

「間に合ったみたいだな」
「なーんだ、佐久間たちかよ〜!」
「人騒がせなやっちゃな・・・」


・・・といったトラブル(?)もあったが、
何とか、試合をするまでにこぎつけた。


「それでは改めて、練習試合を始めたいと思います。」


「よーし、みんな行くぞーっ!」
「「「おーーーっ!!!」」」


いつも通りの守の掛け声と古株さんのホイッスルで、試合が始まった。


試合最初から素晴らしい攻防が続く。

昔はあんなに弱小なんていわれたのに、
今は全く弱さのかけらもなくて。

「よーし、俺も行くぜっ!」
「よし来い!」

「アイスウォールG2!!」

雪女は右手を高く上げ、勢いよく振り下ろした。
その瞬間、振り下ろした方向にまっすぐ、
高くて厚い氷の壁が勢いよく地面から出てくる。

「うわあっ!?」

そして土門を吹き飛ばし、
ボールは氷にはじかれて雪女の足元へ。

「風丸ッ!」

そして風丸にパスを出すが、
素早く虎丸にカットされてしまう。

「やるな、虎丸!」
「へへっ!」

「・・・宇都宮さん、こっちです!」
「頼みますよ、祈莉さん!」
「は、はい!」

ボールを受け取った祈莉は、素早くアイスニードルの体形になる。

「い・・・行きますよ、円堂さん!」
「いいぞ、いつでも来い!」

「アイスニードル・・・V2!!」
「ゴッドキャッチG5!」

久しぶりに見た祈莉ちゃんのアイスニードルは、
威力も速度も倍になっていたが、
守のゴッドキャッチG5には敵わなかったようで、
守にあっさり受け止められてしまった。

「あ、あらら・・・」
「いいシュートだったぞ、祈莉!みんなも、どんどん撃ってこい!!」
「望むところだ!」
「円堂さん!そんなこと言ってると、またシュート撃っちゃいますからね!」
「遠慮せずにバンバン撃ってこい!」

そしてまた、Bチームのシュートチャンス!

「お願いします、ヒカリさん!」
「わかったわ!」

ボールを受け取ったヒカリは、
DF陣をするりとかわし、悠々とゴール前へ。
・・・さっすが、元エイリアのNo2だけはある。

「前は止められなかった私の技・・・今度は止められると期待してますよ!」


「スタージャッジメント!!」
「ゴッドキャッチ!」


ヒカリがエイリア学園にいたころには止められなかった
ヒカリの「スタージャッジメント」も
今では止められるほどに強くなっていた。

「行け、雪女!」
「おうよ!」

守からパスされたボールを胸で受け、
前線へと走っていく。

「行かせないよ、雪女!」
「望むところだ、士郎!」

「スノーエンジェル改!」
「うわあっ!?」

まんまと士郎のスノーエンジェルに引っ掛かり、
ボールを軽々と奪われてしまった。

「強くなったな!」
「君もだよ、雪女!」

試合中にも、どんどんと今までの思い出が蘇ってくる。

「・・・みんな、強くなったな・・・!」

皆が感じている楽しさが伝わってきて、
不思議と笑顔になっていく。

ちらりと狐狸達のほうに目を向けてみると、
やっぱり、みんな笑顔で笑っていた。

そしてハーフタイムに入ったが、
点数は0対0のまま。

「勝利の女神はどちらにほほ笑むんでしょうか!ドキドキしちゃいますね!」
「・・・よっーし!後半、ミーが頑張っちゃうわよ!」
「頼むぜ、柚流!」

「・・・みんな、本当に強くなってるな!」
「何かこう・・・ビリビリ感じるものがあるよな!」


「よーし、後半も楽しんで試合するぞ!」
「「「おーーーっ!!!」」」

そして後半。

「行くわよ、祈莉ちゃん!」
「はい!」

祈莉と柚流の絶妙のコンビネーションで
軽々とDF陣を交わしていく。

「行かせないっス!」

その時壁山が柚流達の前に立ちふさがった。

「あらあら、まだまだスウィートね!」
「・・・“あの技”行きますよ、柚流さん!」
「OK!」


「「フェアリーフライング!」」


祈莉がサッとかがんで手を差し出すと、
柚流がその手を踏み台のようにして、
足にボールをキープしたまま高くバック転。

壁山を難なく飛び越えるその様は、
まるで妖精が飛んでいるようで。


「やった、成功よ♪」

「いつの間にあんな技を・・・!」
「息がぴったり合ってて、すごいです!」


そしてそのままゴール前へ。


「ガードボーイ、行かせてもらうわ!」
「点は取らせない!」


「なみのりドルフィン!!」
「真イジゲン・ザ・ハンド!」


イルカとイジゲン・ザ・ハンドがぶつかり合うが、
イジゲン・ザ・ハンドの威力に押され、
イルカは消えてしまい、ボールは守の手に。


「あっちゃあ、キャッチされちゃったわ」
「威力、すごく上がってるぞ柚流!」
「・・・あら、キャッチされたのは悔しいけど、褒めてもらうなんて嬉しい♪」

そして、残り時間もあとわずかになった頃、
鬼道たちが動き出した!

「あの技が来るか!?」

ただならぬ気配を感じた俺は、
急いでゴール前まで戻っていく。

「「「皇帝ペンギン2号!!」」」

予想は当たり、
鬼道、吹雪、一之瀬が久しぶりに、
皇帝ペンギン2号を撃った。

「じゃあ俺も、いっちょやりますか!」

「雪女!?」


その瞬間、俺は守とボールの間に割り込む。


「サクリファイト!!」


バサッ



久しぶりに表れた、純白の翼。

後ろに現れたテュシアーは、綺麗な慈愛を携えた笑顔で。


胸に当たったボールはゆっくりと速度を落としていき、

ぽとん、と音を立てて地面に落ちた。


「相変わらず、綺麗な技よね!」
「・・・素敵です・・・!」

その時、試合終了のホイッスルが鳴った。


・・・得点は0対0。
俺たちらしい卒業試合だった。



「キャプテン、今までありがとうでヤンス!」
「最後に何か言ってしめくくろーぜ、守!」
「そうよ、ガードボーイ!」
「いいですね、それ!」


「それじゃあ、みんな・・・これからもサッカーやろうぜ!!」

「「「「おーーーーっ!!」」」」



そして俺たちは、もう一回帝国と試合をし、
雷門中の学校生活に、完全に幕を下ろした・・・。


「まさか、もうひと試合する羽目になるなんてなあ・・・」
「あはは・・・でもまあ、ガードボーイらしいじゃない?」
「まあなあ・・・」

「白姫ちゃんも見てて楽しかったよね〜?」
「うあ、あー」

その時なぜか、俺の代わりに白姫を
抱いてくれている祈莉ちゃんがまぶしく見えた。

・・・あれか、聖母的なあれか。

「それにしても、結構来る試合だったなー」

そう俺が言うと、秋ちゃんがとことことそばに来た。

「お疲れさま、雪女くん。」
「あっ、秋ちゃん!」
「・・・あのね、雪女くん」
「ん?」
「私、言いたいことが一つあるんだけどいいかな?」
「・・・あぁ、構わないけど?」

「・・・私、雪女くんが大好きよ」
「何だよ改まって!俺も秋ちゃんが大好きだぜ?つーか、イナズマジャパンのみんなも、雷門のみんなも大好きだ!」
「そうか。・・・やさしいんだね、雪女くんは」
「・・・そうかな?」


・・・最後まで気づいてもらえなかったけど、
私は雪女くんが大好きだったんだよ。

・・・仲間じゃなくて、一人の女の子として。

でも、雪女くんと吹雪くんの間に、私の入る余地なんてどこにもないよね。


だから、思い出と残しておけるうちに諦めておこう。


・・・また会えることを願って。



秋はそっと、帰り道で一人涙を拭いた。

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