愛してるよ、これまでも、これからも
そして今日。
・・・とうとう、挙式の日。
ドレスも着て、ヘアもメイクも準備万端。
いつもはメガネだけど、今日はコンタクトレンズを着用。
・・・あと、「サムシングフォー」も準備万端。
新しいものは、ウエディングドレス。
古いものは、雪姫ばあちゃんのベール。らしいけど・・・未だにすっごい綺麗。
青いものは、ベールにつけた、青い綺麗な布で作られたバラの飾り。
そして・・・人に借りたものは、母さんのウエディング用のグローブ。
・・・雪姫ばあちゃんのベールといい、母さんのグローブといい、
よく取ってあったな・・・。
あと・・・着慣れないドレス、しかもウエディングドレスだから、
メイクとかで汚さないように細心の注意を払わないと!!
・・・でも、本当に綺麗な純白で、
俺も一応女の子だから、その美しさにときめいてしまう。
「オモニ、きれーい!お姫様みたい!」
「・・・ふふっ、そうか?」
そう言う白姫もおめかしして、
にこにこと嬉しそうに笑っていた。
「・・・とうとう、か」
誰がこうなるって思ったか?
まさか、あっちの世界で大好きだった
吹雪士郎と結婚できるなんて!
そうなるなんて、まったく思ってなかった。
きっと、ただの仲間として終わると思ってた。
・・・でもこれからはただの仲間じゃない。
つ、つまりその、
お、俺の「夫」になるわけで・・・
あぁだめだ、考えてたら恥ずかしくなってきた。
・・・それにしても、俺も完全に女の子の体になってしまったなあ・・・
昔より格段に長い髪の毛。
大きくなった胸。
心なしか、顔つきも少しずつ女の子らしくなった気もする。
こんなこと考えてたら、また恥ずかしくなってきた・・・
恥ずかしくなってきたその時、控室のドアから
コンコン、とノック音が。
「あ・・・はーい、どうぞ!」
「おめでとう、雪女くん!」
「おめでとうございます!」
「・・・おめでとう、雪女さん」
「秋ちゃん、みんな!」
入ってきたのは、
秋ちゃんや夏未嬢たちだった。
「わあっ、綺麗ですねぇ」
「雪女くん、まるでお姫様みたいね!」
「・・・へへっ、そうか?そんなに褒められると照れちまうな。」
「あっ・・・白姫ちゃんも、ちゃんとおめかししたのね?」
「あっ、秋おねえちゃん!そうだよ、僕もおめかししたんだ!」
「白姫ちゃんも将来は、綺麗なお嫁さんになるのかしら?」
「・・・うん!えーとね、僕ね、お空みたいな男の子と、オモニの着ているウエディングドレスみたいなドレスを着てね、結婚するの!」
「お空みたいな男の子かあ・・・」
「どんな男でも、白姫を大切にしてくれる男のところへ嫁がせないとな!」
「もう・・・雪女くん、気が早いよ?」
「あはは、すまんすまん!」
「・・・そういえば雪女さん、今あなたは教師をしているそうね?」
「ん・・・あぁ、白恋中の数学教師兼、サッカー部顧問をやってるよ。」
「やっぱりサッカーかあ」
「あぁ。・・・今のサッカーは腐れ切ってるがな・・・」
「・・・」
その時、俺たちにわずかな沈黙が訪れる。
その沈黙を破ったのは祈莉だった。
「あっ、そ、そういえば!秋さんは何か・・・アパートの管理人をしてるそうですね!」
「・・・え、あ、そうよ。」
「あぁそれ、「木枯らし荘」だろ?」
「すごい雪女くん!当たりよ!」
「・・・だって俺、そこの後ろが実家だもん」
「・・・ええっ!?」
「すごい偶然ですよね!」
「あぁミー、今そこに住んでるわよ?」
「へぇ、柚流が・・・」
「あそこ、可愛いドッグがいるのよ!ついつい撫でてると時間忘れちゃってね」
「お前、犬好きだもんなあ」
「・・・とうとう、結婚しちゃうんだね」
「あぁ。・・・今まで苦労した分、めちゃくちゃ幸せになってやる!」
「ふふっ、雪女くんらしいね」
「僕ね、途中までオモニのベール持つんだよぉ!」
「後ろはすごい長いベールですもんねえ」
「オモニはきらきらしてて、ふわふわしてて、すっごい綺麗なお嫁さんなんだよ!」
「本当に素敵なお母さんなんだね、白姫ちゃん」
「うん!」
「・・・ところで、白姫ちゃんも、日本語うまくなりましたよね!」
「前会ったときは、韓国語と日本語が入り混じってましたからね」
「まだ時々、韓国語が出たりするけどな」
「そういえば、あの子も2年後に中学校入るのよね?」
「サッカー界に新たな旋風を巻き起こすかもしれないわ。・・・あなたみたいにね」
「・・・できれば、白姫には女の子らしく育ってほしい。俺みたいな女にはなってほしくないな」
そう俺が寂しそうな声で言った時、
またドアが開いた。
「・・・新婦様、お時間です!」
「あ、はい!」
「じゃあ、私たちもそろそろ行きますね」
「期待してますよーー!」
「あぁ、また後でな!」
そして、式場へ入場する2分前。
「とうとう・・・お前も、大人になったな。」
「・・・父さんのおかげだよ、ありがとう」
「バカ、これから入場すんだから泣かすな!」
「あははっ、ごめんごめん」
そんな話をしていると、ドアの開く合図が出された。
俺たちは急いで背筋を正し、前を向く。
そして、大きな音を立ててドアが開く。
綺麗なステンドグラスの光、真っ赤なバージンロード。
そしてバージンロードの向こうには、
綺麗なタキシードを着た士郎。
ステンドグラスの光とも相成って、すごく綺麗で、
胸がどきどきと音を立てる。
そして、俺と父さんは腕を組み、
ゆっくりゆっくりと、バージンロードを進んでいく。
その間にも、いろんなことが頭を巡る。
そして・・・
「それでは、誓約の儀を執り行います。新郎新婦は向かい合って、手を取り合ってください」
少し恥ずかしいけど、言われたとおりに向かい合う。
向かい合うと、士郎は嬉しそうにほほ笑んでくれた。
「・・・今から私が言う言葉は、何の飾りもない、使い古された言葉だと思う人もいるでしょう・・・」
「しかし、その言葉には、二人が歩むべき真理が確かにあるのです・・・では、始めます」
「・・・汝、吹雪士郎は、この女、火月雪女を妻とし・・・」
「健やかなる時も、病める時も」
「喜びの時も、悲しみの時も」
「富める時も、貧しき時も」
「これを愛し、これを敬い」
「これを慰め、これを助け」
「・・・死が、二人を別つまで愛を誓い」
「共に生きることを、神聖なる婚姻の契約のもとに誓いますか?」
その時、士郎が俺の手をグッ、と握り、
少し大きめの声でこう告げた。
「・・・死が、二人を別つ“ことがあろうとも”愛を誓い」
「(・・・!?)」
「共に“生き続けること”を誓います!」
その瞬間、涙が少し零れた。
「では・・・汝、火月雪女は、この男、吹雪士郎を夫とし・・・」
「健やかなる時も、病める時も」
「喜びの時も、悲しみの時も」
「富める時も、貧しき時も」
「これを愛し、これを敬い」
「これを慰め、これを助け」
「・・・死が、二人を別つまで愛を誓い」
「共に生きることを、神聖なる婚姻の契約のもとに誓いますか?」
・・・そして俺も、さっきと同じように
士郎の手を握り、少し震える声でこう告げた。
「俺も・・・死が、二人を別つ“ことがあろうとも”愛を誓い・・・」
「共に“生き続けること”を誓います・・・」
そう俺が言うと、神父さんはニコリと笑って、
こう言った。
「皆さん、お二人の上に神の祝福を願い、結婚の絆によって結ばれたこのお二人を、神が慈しみ深く守り、助けてくださるよう祈りましょう。」
そして、指輪の交換も終わり・・・
「・・・では、誓いのキスをお願いします」
そして俺たちは向き合い、
士郎が緊張からか、少し震える手で
俺の顔にかかっていたベールを上げた。
「・・・すごく綺麗だよ、雪女」
「士郎も、すごくカッコいいよ」
そんなセリフを少し交わすと、俺は目を瞑った。
そしてそして数秒後に、唇にふにっとした感覚。
・・・何回もしたキスだけど、
この時は、嬉しさと喜びと幸せが混じり合って、
ぽろり、とまた涙があふれ出た。
・・・そしてそのあと、
参列者からフラワーシャワーを浴びて、
俺たちは腕を組みながら退場した。
そして。
「おーい、ブーケトスやるぞーっ!」
「きゃー!」
「私、絶対ゲットしちゃうわ!」
俺の声にひかれて、女の子がたくさん集まってくる。
その中には、夏未嬢や秋ちゃん達の姿も。
夏未嬢と守が後々結婚することを知っているから、
俺はどうにかして夏未嬢のところに飛ばせないか考えてみる。
「(うーん、風向きとか考えたら・・・あの位置に飛ばしたら確実かな)」
そうして、俺はブーケを持って後ろを向く。
ブーケが壊れないように、かつ夏未嬢のところへ届くように、
俺は、ゆっくりとブーケを投げた。
その瞬間、風向きが変わった。
「(しまっ・・・!)」
まずい、と思った次の瞬間。
・・・その時、都合よくつむじ風が吹いて、
ブーケは夏未嬢の腕の中へ誘い込まれるように
すとっ、と入った。
「あら・・・」
「きゃーん、羨ましい!」
「おめでとう夏未嬢!」
少し顔を赤くした夏未嬢が、
その時、嬉しそうに笑ったのを、
俺は見逃さなかった。
そして・・・
「あーぁ、式終わっちまったなあ」
「そうだね。ウエディングドレスの雪女、綺麗だったよ!今の君も綺麗だけどね」
「・・・ばーか。お前もカッコよかったよ」
「・・・これからは、北海道でお前と白姫の3人で水入らずの暮らしの始まりだ!」
「そうだね!」
そう言いながら、俺はさっきから気になっていたことを士郎に聞いた。
「・・・なあ、士郎。」
「ん?」
「なんであの時、誓いの言葉を変えたんだ?」
「・・えっ、そ、それは・・・」
士郎は、顔を赤くしてこう言った。
「だって、「死が二人を別つまで」なんて・・・」
「僕は、死んでも君のそばにいたいから。・・・迷惑、だった・・・?」
恥ずかしそうに言う士郎に、
さらに愛着がわいたのは言うまでもなく、
俺はドレスのまま、士郎に抱き付いた。
「・・・士郎のバカ、愛してる!」
「僕も、雪女と白姫を、世界一愛してるよ!」
そして俺たちは、もう1回キスをしあい、
結婚式に幕を下ろした。
おまけ
「・・・はあ、いい式だったなあ」
「彰人!貴様また天界を抜け出しおったな!?」
「げっ、エリーゼ・・・!」
そう言って、彰人は一目散にそこから逃げ出した。
・・・何を隠そう、さっきのつむじ風を起こしたのは彰人。
しかも、こっそり式を見ていたようで、
満面の笑みを浮かべていた。
「・・・これからは、新しいことが始まるんだな」
そう言って、笑みを浮かべたその瞬間。
「・・・覚悟はいいか、彰人」
「げっ!!」
そのあと、彰人がエリーゼにお仕置きされたのは言うまでもない。
あとがき
これで、「ぶきようがーる。」は完結となります!
今まで見てくださって、ありがとうございました!
でも、また話は続いていきます。
今度はイナGo倉庫の中にある、
「よわむしぼくっこ。」でお会いしましょう!
20130610
蓮華 柚留
ぶきようがーる。完結・・・
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