おやすみ、そしてさようなら
そして・・・
部屋に入ってベットに飛び込んでから数分くらい、
雪女は猫型の手鏡と、にらめっこしている。
「・・・」
しかし、鏡に映るのはいつもの、なんら変わりない普通の顔。
・・・数年前に亡くした自分の双子の兄に似た、男前の顔。
「・・・本当に、なんであんな顔になったんだ?」
「(でも・・・少しだけ、吹雪に似てたかな・・・。)」
雪女は、くすっと笑みをこぼした。
そのあと、美幸が夕飯に雪女を呼び、
雪女は勢いよく起き上がる。
そして、夕飯を食べ終わり、風呂に入ったあと、
雪女はいつも通りベッドに潜り込んだ。
「・・・おやすみ、「兄ちゃん」。」
これが、雪女の寝る前の日課。
机の上にある写真立てに、寝る前の挨拶をする事が雪女の日課であった。
・・・もちろん、朝も同じように。
「ん・・・」
・・・そして、雪女は猫の抱き枕にしっかりと抱き付き、
ゆっくり、ゆっくりと目を閉じて、静かに眠りについた。
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