止める暇も声もなく


練習が終わり、帰る途中。
俺達は雷雷軒に寄る事に。


「お腹すいたよなー。」
「腹減ったー!!」
「俺、チャーハンにしようかな」
「僕、チャーシューメン!」
「セレブだな」

そのとき、俺は見た。
携帯を見た土門の表情が、一瞬暗く変わったことに。

「わり、俺・・・先に帰るわ」
「ん?あぁ!じゃあ、また明日」
「もう帰るのか?」
「・・・あぁ」



「(・・・そうか、次は土門の・・・)」





次の日。


「あっ、秋ちゃん!」
「・・・雪女くん!」
「一緒に行こうぜ!」
「いいよ。」

偶然見かけた秋ちゃんと、俺は一緒に行くことにした。
暫く行くと、土門を見かけた。

「土門くん!」
「おい、どこ行くんだよ!!」
「部室に忘れ物。」

そういって、土門は部室のほうへ歩いていった。

そしてまた練習。


「アイススピアー!!」

俺の打ったアイススピアーは、
遠くから打ったにも関わらず、ゴールに一直線。

「うし!!」
「相変わらず雪女はスゲーな。」
「ぜーんぜん。俺今絶賛スランプ中なんだよ」
「そうか?そうには見えないけど・・・」
「そうなの。」

それと、俺のあとに打った宍戸の技が、
グレネードショットと名づけられました。
キャーカッコイイー(棒

「みんな、気合入ってんな!」
「たりめーだろ。次は地区予選決勝だぜ?」
「雪女くんのアイススピアーにも、磨きがかかるってものよね?雪女くん♪」
「あぁ。もちろんだぜ」
「とにかく!勝てば全国、負けても全国!何が何でも全国だー!!」
「んー!俺もじっとしていられねぇ!!」
「じゃあ、俺とゴッドハンドの特訓でもすっか?」
「そうだな!!」
「ふふっ、頑張ってね」
「「おう!!」」

そして。

「ほら、パスパス!!」

昨日のボーっとした表情とは違って、
今日の土門は、生き生きとした顔をしていた。

「んー、疲れたー」
「お疲れ様、雪女くん。」
「お、秋ちゃん。ありがとな!」
「どういたしまして。・・・ところで、なんか土門くん、今日は元気よねー。」
「あぁ、確かにな。」
「・・・そういえば、昨日はどうだったの?」
「Σ・・・あーっ、えっと・・・その・・・」
「と、途中で見失ってしまいましたっ!!」
「あはは、新聞部でしょー?」
「もっとちゃんと見張らないと、新聞部は勤まらないぞー?」
「もうっ、雪女さんの意地悪!!」
「・・・ってあれ?あそこ・・・」
「ん?なになに?」

秋ちゃんが何かに気づいたようで、グラウンドの隅を指差していた。
そこを見てみると・・・

「(・・・ゲ、相変わらずヤな顔してるぜ。)」
「珍しいわね、冬海先生が来るなんて・・・」
「一応、監督だからじゃねーの。」
「それはそうだけどさ・・・」

そんな話をしていると、冬海と話している夏未嬢が目に留まった。
どうやら、バスを動かしてみろ、ということらしい。

「(・・・確か、あのバスには細工がしてあって・・・)」

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