ノーアイデアでフィニッシュ


そして。

「なあ、秋ちゃん。」
「ん?何、雪女くん。」
「俺・・・FWの技もできるし、MFも出来るんだけどな・・・」
「うん。雪女くん凄いな、っていつも思うのよね!」
「今度は、DFにも挑戦してみるつもりだ!!」
「凄い!雪女くんって努力家なのね。」
「別にそんなんじゃ、ねーよ・・・」
「雪女ー!お前も練習しろよ!」
「あぁ、守!わかってるぜ!」
「じゃあ、また後でな」
「うん、じゃあまた。」


・・・そして

「壁山ーーっ!」

と、風丸がシュートしたが・・・
壁山は蹴ろうともせず、じっと座っていた。

「コラーーー!壁山ーーー!」
「どうしたんだ、シャキッとしろよ!」
「壁山!」
「・・・俺達、たぶん負けっスよ・・・」
「何言ってんだ!」
「どんなに練習したって、監督がいないんじゃ、意味ないっスよ・・・」
「壁山・・・」

駄目だ、みんなの士気が
監督がいないせいで下がってきてる・・・


「あきらめんな!監督になってくれる人は、きっと居るはずだ!」
「・・・ホントっスか・・・本当に居るんですか・・・?」
「絶対そうだって言い切れますかーーっ!?」
「あっ、ちょっ、離せ!」

それを見たみんなは、くすくすと笑い出した。

すると・・・

「鬼道さん・・・」
「え?」

橋を見てみると、そこには鬼道が立っていた。

「偵察に来たのか?」
「いやいや、不戦敗寸前の僕達を笑いに来たのかもしれませんよ」

そして鬼道は、守と少し話し合った。

「あいつ、なんだって?」
「今度一緒に、練習する約束してきた」
「Σはあっ!?」

守の力は、大したもんだと俺は思う。
なぜなら、敵である鬼道とも、少しだが和解できたんだからな。


「どーすんだよ!!!」
「決勝まであと2日!2日で新監督見つけなきゃなんねーんだぞ!!」
「あぁもう、規約なんかキライ!」
「落ち着け秋ちゃん。」
「みんなのモチベーション下がってるから、練習にも身が入らないよなー」
「んー・・・まさかこんなピンチがあるとは・・・」
「なぁ雪女、何かいい案ないのか?」
「残念だが、ノーアイデアでフィニッシュ。」
「何にもいい手が浮かばなーい!!」
「あ、一ついいこと思いついた。」
「え!?何だ!?言ってくれ、雪女!」
「お前がよければだが・・・もう一度、あのおじさんに掛け合うんだよ」
「・・・いいなそれ!」
「(いいんかいッ!!)」

そして放課後。



「円堂、俺もついてくぜ。」
「ありがとな、雪女!!」

そして玄関を出て、門を抜けて・・・

「・・・うわっ!!」
「あ?どうしたんだえんど・・・」

そこには、鬼瓦さんが立っておりました。

「円堂守と火月雪女、だな・・・?」
「はっ、はいっ!」
「そうですけど・・・」
「こういう者だ・・・」

と、見せられたのは警察手帳。

「えっ!?刑事さん!?」
「(そうは見えねー・・・)」

そして、鉄塔近くで話をすることになった。

「話って、なんですか?」
「サッカー部の監督、探してるんだってな」
「はぁ・・・」
「!・・・まさか、刑事さんが監督に!?」
「マジか!?」
「お、俺はそんな柄じゃない・・・」

「むー・・・」
「まあ、サッカー好きってのはお前さんたちが生まれるずっと前からの筋金入りだ」

そういうと、鬼瓦さんはゴッドハンドのまねをした。
・・・出るわけ無いけど。

「帝国との試合で、お前さんがゴッドハンドを使ったとき、鳥肌がたったね。」
「それに・・・お前さんもだ。」
「え?・・・俺?」
「あのアイス・・・何とかって言う技なんだが・・・昔、見た気がするんだがな・・・」
「えっ!?アレは俺のオリジナルの技のはずだけど・・・」
「そうか・・・勘違いだったかな。」
「まぁ、お前さんたちを見てると、なんともいえない気持ちが込み上げてくるよ。」
「伝説のイナズマイレブンが蘇った・・・ってな。」
「い、イナズマイレブンを知ってるの!?」
「おうよ。凄い強さだったぜ・・・。何たって負け知らずだったんだ」
「すっげえ!!」
「だがな・・・」

そういうと、鬼瓦さんは悲しそうな顔をした。

「お前さんたち・・・「イナズマイレブンの悲劇」っつうモンを、知ってるか・・・?」
「いや・・・」
「ううん。」
「そうか・・・」
「40年前のフットボールフロンティアで、全国制覇をかけた決勝戦は、雷門中と大会初出場の帝国学園との戦いだった」
「だが、信じられないことに・・・会場に向かう途中のバスが、ブレーキの故障で事故を起こし・・・選手達は怪我をしてしまったんだ。死人も、一人出た」

「みんな這ってでも会場に行きたがった・・・しかし、「試合を棄権する」と言う一本の電話が、会場に入ったそうだ」

「結局、帝国は試合せずに優勝した・・・その日から帝国は40年間無敗だ。」
「夢破れた雷門イレブンの中には、問題を起こしたものも居てな・・・」

「だれが、そんな電話を・・・?」
「まだ、わからん。だが・・・あの電話には、何か裏がある。俺はその真相を調べるために刑事になった。」
「Σえっ」
「ハハ・・・急な話で、混乱させちまったかな・・・」

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