夢とはじまり


気がつくと、真っ暗な空間に俺はいた。
・・・何も見えない。

「ここは、どこだ・・・?」

そう呟くと、目の前に光り輝く女性が現れた。
・・・否、ただの女性じゃない。
美しい羽根の生えた、“天使”の女性だった。



しかも、この前“犠牲”と名乗った女性にそっくりだった・・・。

「誰、だ・・・?」
《前にも名乗ったけど・・・私は、“犠牲”という名の、ただの天使よ》
「犠牲・・・」
《ねぇ・・・貴方は、力が欲しい?》
「・・・欲しい!世宇子にも、誰にも負けない力が欲しい・・・!」
《自分の体がボロボロになっても?壊れてしまってもいいの?》
「・・・いい。俺の脆い女の体でいいのなら・・・いくらでも壊れてしまえばいい!!」

俺がそう言うと、彼女は困ったように笑い、こう言った。

《・・・貴方の覚悟、受け取ったわ。》
「覚悟?」
《秘伝書にも書いてあった通り・・・この技は自分を犠牲にして発動するの。》
「自分を、犠牲に・・・」
《でも、それ以上の力を得るのよ》

そう言うと、彼女は俺に近づいて・・・
俺を抱きしめると、俺に取り込まれていった。

「Σえっ!?」
《さぁ、これで“サクリファイト”が使えるわ・・・》

そう言うと、俺の周りに光があふれ出した。
俺は耐え切れずに、目を瞑った。
すると、彼女の声が聞こえてきた。


《もう練習は必要ないわ・・・私がそばについているから・・・》

《すべてを守り通す力を貴方にあげるわ・・・》

《さぁ、自分の大切なものを守りなさい、火月雪女》


・・・そこで、目が覚めた。


目が覚めると、そこはいつもの自分の部屋だった。まだ夜が明けていないのか、薄暗い。

「サクリファイトが・・・使える・・・?」

俺は猜疑心を少し抱きながら、試合へ向かう準備をした。


そして、俺達が試合会場に行ってみると、
そこには「閉鎖」と書かれた紙が。

「どういう、ことだ・・・?」
「大会本部から急遽、試合会場が変わったって・・・」
「変わった?変わったって・・・どこへ?」
「それは・・・」

その時、上から大きな音がした。
上を見上げてみると、そこには大きなスタジアムが浮かんでいた・・・!

「まさか、決勝戦のスタジアムと言うのは・・・!」
「・・・ええ」
「なっ・・・・あそこが!?」




「(とうとう始まったぜ、世宇子との戦いが・・・!!)」

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