勝てない相手


「どういうことですか!?」
「・・・俺にも、教えてください!」

そのとき、どこからか大きな音が鳴り響き、
そして―

「円堂!雪女!」

鬼道が叫んだ。
俺が何事かと振り返ると、俺達に向かって真っ直ぐに来る黒いボール。

しかし、ボールは俺達には当たらず、空に舞い上がった。

そして、“あいつら”は現れた。

「う、宇宙人だ!」
「嘘だろ・・!?」
「落ち着け、お前ら!宇宙人なんているわけないだろ!」
「先輩、で、でも・・・」
「黙れ!!」
「うっ・・・(先輩、何だかいつもと雰囲気が違うっス・・・)」

壁山がそう思うのも無理はなかった。
雪女の顔には、いつものふわふわとした表情はもう欠片もなく、
鬼気が溢れていたからである。

「お嬢様、奴らです!奴らがサッカーを挑んできたのです!」

見下すように俺達を見るレーゼに、俺は無性に腹が立ち、
俺は叫ぶようにこう言った。

「お前達か!サッカーを挑んできたのは!!」

レーゼはまた見下すように笑い、こう言った。

「・・・我々は遠き星、エイリアからこの星に舞い降りた、星の使途である。」
「我々は、お前達の星の秩序に従い、自らの力を示すと決めた。」
「その秩序とは・・・サッカーだ。」
「何っ!?」
「サッカーはお前達の星において、戦いで勝利者を決めるための手段である。」
「サッカーを知る者に伝えよ。サッカーにおいて我々を倒さぬ限り、この地球に存在できなくなるであろう!」
「だから!」
「・・・?」
「だからイナズマイレブンのおじさんたちと戦ったって言うのか!?」
「・・・それに、負けたからこの校舎を破壊したって言うのかよ・・・!?」
「円堂、雪女・・・」
「だったら次は・・・俺達と勝負だ!!」

守は叫ぶようにそう言った。

「フッ・・・見よ、この学校はすでに崩れ去った。すなわち、勝負が終わった証」
「ぐっ・・・!!」

確かに、雷門中校舎は無残にも破壊されつくしている。

「もっとも、あれが勝負といえるものならな・・・ハハハ・・・」
「ちくしょう・・・!!」

そのとき、染岡がこう言った。

「宇宙人だろうがなんだろうが・・・学校ぶっ壊されて黙っていられるか!」
「染岡・・・」
「守!」
「雪女・・・みんな・・・」
「見せてやろうぜ!俺達のサッカーを!」
「「「「おーーっ!!」」」」

「その必要は、ない」


そう言うとレーゼは黒いボールを蹴った。

「マジン・ザ・・・」

守がマジン・ザ・ハンドで止めようとするが、突風に邪魔された。
そして黒いボールが守に当たり、守は吹き飛ばされた。
俺は何とか脚を踏ん張り、飛ばされずにすんだ。

そして黒いボールは、部室を貫いた。

「守!みんな!」
「ほう?お前は無事なのか」
「お前ら・・・絶対許さねえ!!!守やみんなを傷つけやがって!!」
「・・・お前には興味が湧いた。」

そう言うと、レーゼたちは黒いボールとともに消えてしまった。

「くそっ・・・!!」
「守!守!しっかりしろ!」
「う・・・奴らは!?」
「消えた。」
「消えた!?」
「ちくしょう・・・!!」

そして、破壊された部室に行ってみると、
そこには無残に破壊された部室が。

「俺達の部室が・・・あの黒いボールで・・・」
「恐ろしいシュートだったな」
「スピードもパワーも、あんな奴ら見たことが無い・・・」
「あぁ・・・世宇子のシュートに比べたら・・・あのシュートは・・・」
「マジン・ザ・ハンドでも止められなかったなんて・・・」
「いや、技を出す間もなかったんだ。俺もサクリファイトで止めようとしたんだが・・・。そうだろ、守。」
「・・・あぁ。」

そのとき、夏未嬢と秋ちゃんと俺の携帯に電話がかかってきた。

「一ノ瀬君!?雷門中にも宇宙人が!」
「お父様?今どこにいるんです?」
「・・・父さん?えっ!?父さんのサッカーチームにも宇宙人が!?」

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