知っていたから


「ええっ!?」
「ど、どういうことですか・・・?」
「離れろとか、なんとか・・・」

すると、豪炎寺は一瞬驚いた表情をしたが、
すぐに何かを悟ったのか、どこかへ去ってしまった。

「ご、豪炎寺!!」
「やめろ、守!」
「でも!」
「どうしようもできねぇ・・・」
「雪女・・・」

でも守は俺の制止を振り切って、
豪炎寺の元へ走って行った。

そして。

「火月君、話があるわ。来なさい」
「・・・はい」
「もう一度聞くわ。貴方は何者なの?どうして豪炎寺君が出て行くのに止めようとしなかったの?」
「・・・俺は全て知っていますから。豪炎寺は力をつけて戻ってくる・・・きっと。」
「・・・」
「これじゃあ質問の答えになりませんね。じゃあ一つ目の質問。「俺は何者か」」
「そうよ。貴方は何者なの?」
「これは響木監督だけに言った話なんですが・・・監督は、異世界って信じますか?」
「異世界?」

異世界と言う言葉を聞くと、
わずかだが、瞳子さんのマユが上がった。
そりゃそうだ、異世界なんてすぐに信じられるものじゃない。

「俺は、全部知ってます。監督のお父さんが、エイリア学園を指揮していることも」
「・・・!!」

それから俺は、響木さんに話したように全てを話した。

「・・・なるほど、よくわかったわ」
「じゃあ二つ目の質問。これも簡単。「全て知っていたから」です」
「それは、円堂君たちには?」
「・・・話してません。なので監督、これは内緒にしておいてください」
「わかったわ。」

そう言うと瞳子さんは、俺をまじまじと見て、真剣な顔でこう言った。

「・・・貴方、性別は?」
「性別?・・・女ですけど・・・」
「女?」
「あ、はい。俺こんな口調だし、顔が顔なんで信じてもらえませんけど女です。」
「・・・そう。よくわかったわ」

そう言うと、瞳子さんはどこかへ行ってしまった。

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