新しい世界で「おやすみなさい」
「ハッ・・・・ん、んなことがあってたまr・・・狽ヲえ!?」
ふっと下に目をやると、水溜りに自分の顔が写った。
しかし・・・写ったのはいつもの顔じゃなくて、
昨日見た“漫画風”の顔をした自分だった。
ワックスで固めてはあるものの、真っ白でふわふわしていて、
頭のてっぺんはぴんぴんと触角のようにはねている、重力を無視した髪の毛。
普通ではありえないほど蒼くて、サファイアのように綺麗な、蒼い目。
目の下の、見慣れたタトゥー。
「マジかよ・・・これって「とりっぷ」ってやつか?」
少し動揺したまま、雪女は家に帰った。
「あ・・・(家の場所は全然変わってねぇ・・・。)
「ただいまー」
「おかえり。遅かったな?心配したぞ。」
「雪女、おかえり。」
「ただいまっ!」
久しぶりに、父さんの顔が見れて嬉しかったのもあったけど、トリップしたのが嬉しくて、少しだけ涙が出た。
そして自分の部屋に戻ると、もっと驚いた。
雷門中の制服が、丁寧にハンガーに掛けられて、吊るしてあったから。
(しかも・・・何故かちゃんと男物だった・・・。)
それに、飼い猫もちゃんと全員居た。
・・・嬉しすぎて、“コレが夢なんじゃないか”と
思って、自分のほっぺを思いっきりギュッとつねってみた。
「白ノってェ!!!やっぱ夢じゃないんだな。」
ひりひりするほっぺを押さえながら、俺はそう呟いた。
自分の顔は見えないけど、今・・・むしろ絶対
気持ち悪いほどすっごくニヤニヤしてると思う。
ふと横を見ると、お気に入りの猫型の鏡が目に入った。
やっぱり写るのは、漫画顔の自分。
「・・・うん。この俺も、悪くねーな。」
そして、いろんな事をしたあと、
雪女はベッドに入った。
「楽しみすぎて、眠れねぇぜ・・・」
そう言いながらも、目を閉じると
雪女はすぐに眠ってしまった。
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