意地っ張り


教室の少し前に来たとき。
教室の扉が急に開いて、紺子ちゃんが顔を出した。

「あっ、吹雪くんだ!雪女さんも戻ってきた!」
「わりィ!遅くなっちまった」
「雪女!」
「雪女、お前・・・先に吹雪に会ったのか?」
「あ、あぁ。」
「どんな奴なんだ?」
「見れば分かるぜ。」
「?」

円堂は首をかしげた。

「早く早く!お客さんが来てるんだよ!」
「お客さん?」

その声を聴いた瞬間、みんなはビックリした。
なぜなら・・・

「あっ、君たち!」

そこに居たのは、さっき助けた男の子だったのだから。

「さっきの・・・!吹雪士郎って・・・お前だったのか?」
「うん。」
「お前が熊殺しか!」

染岡がいきり立ってそういった。

「あ〜・・・実物見てがっかりさせちゃったかな・・・?」
「噂を聞いて来た人たちはみんな、僕を大男だと思っちゃうみたいで・・・」
「(そりゃあんだけの噂流れてればな〜)」

俺は心の中でそう思った。

「これが本当の吹雪士郎さ。よろしく。」

そういって吹雪は染岡に握手を求めたが・・・

「・・・フン!」

染岡はそれを無視して、どこかへいってしまった。

「染岡!」
「どこ行くんだよ!!」
「あっ・・・私に任せて!」

染岡を追いかけて、秋ちゃんが行った。

「あれ・・・何か怒らせちゃったかな」
「大丈夫!あいつはあんな性格なんだよ」
「・・・ごめんっ!」
「え?」
「染岡は、本当はいいやつなんだ。」
「気にしないで。大丈夫だから。」


「吹雪君、少し時間いいかしら」


そのとき、瞳子さんの凛々しい声が響き渡った。


「え、えっと・・・」
「私は吉良瞳子。雷門中の監督よ」
「雷門中の、監督・・・」

そして。
俺達は交流のため、少し遊ぶことになった。そこに行くため、雪が積もった階段を、滑らないように慎重に歩いていく。

「転びそうで怖いな」
「そうだ・・・うわぁっ!?」
「言ってるそばから!!」
「あ、ありがとう!」
「きゃあっ!」
「大丈夫?階段は滑りやすいから、気をつけて。」
「あ、ありがとうございます・・・」
「どういたしまして。」

そのとき、大きな音が。

「・・・はっ!」
「何だ?・・・なっ、雪崩!?」
「・・・・・!!」
「びっくりした・・・なんだ、雪が落ちただけか・・・」

音の原因は、校舎の屋根から大きな音を立てて、雪が落ちたせいだった。

「う・・・うぅ・・・」

しかし、吹雪は怯えて蹲った。

「(吹雪が危ない!)」

俺はすぐさま、吹雪の傍に駆け寄った。
傍には紺子ちゃんがいる。

「吹雪く・・・」
「大丈夫だぜ、吹雪。これは雪崩なんかじゃないぞ?」
「・・・あ・・・火月く・・・」
「だいじょーぶ!屋根の雪が落ちただけだって!」
「なんだ、屋根の雪か・・・よかった・・・」

俺の言葉で、吹雪は何とか立ち直った。

「(あれ?どうして雪女さんが吹雪君の落ち着かせ方を知ってるの・・・?)」

「何だ?どうかしたのか?」

下から守の声が聞こえたから、
俺は「なんでもない」と返しておいた。


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