第弐話

隊舎に戻る途中、地獄蝶が応援要請を伝える。
どうやら旅禍に遭遇したらしく、おされているとのこと。
仕方なく向かえば対峙する隊士は数人、後は気絶していて、情けないことこの上ない。
「晒科三席…!」
「あんた強そうだな…見逃してくれねえか」
「寝言は寝て言ってください」
ため息をつき、大きな斬魄刀を構える彼を見つめるが何も変わった様子はなく。
首を傾げる。
「…貴方、名前は?」
「黒崎一護だ」
「黒崎一護…不思議な子」
すぐ先の未来に期待を寄せ、地を蹴った。
瞬歩で距離をつめその勢いで繰り出した蹴りを左手で受け止める。
反応は悪くない。
抜刀しない私に合わせる気なのか、斬魄刀を地に刺す彼に小さく微笑み、容赦なく潰しにかかれば数分で息を切らす。
「見栄を張るのはやめた方がいいですよ?」
「そんなもん張ってねえよ…!」
「…黒崎一護、貴方の戦い方には癖がありますね」
経験の足りなさを物語るそれは致命的なもので、直してあげたいけど出来ないのが酷くもどかしい。
「まあ、それもあの人の脅威になりうるなら潰すまでですが」
初めて恐怖の色が見えた。

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