「着いた⋯⋯」

コナン君たちと合った公園から歩くこと約15分ーー
目の前には喫茶ポアロの文字⋯、そして見上げるとそこには作品の中で幾度となく見た毛利探偵事務所の文字がある。
やばい、めっちゃ感動⋯⋯。しばらく眺めていたいところだけど、道の往来でそんなことしてると変な人になってしまうので諦めよう⋯。そして写真に収めたい気持ちでいっぱいだがそんなことするとこれまた完全に変な人なので諦めて外装を数秒目に焼き付けたところでよし、と意を決してポアロの扉を開いた。

店に入りコナンくんたちに気づいた梓さんの「こんにちは、いらっしゃいませ!」に元気に返事をする子どもたちの後ろから軽く会釈をしてお好きな席へどうぞと言われたので奥の方の席へ腰を掛ける。
お昼前の店内はまだ空いていて、今は私たちと1組のお客さんがいるだけだった。

「みんな、何食べる?遠慮しないで好きなもの選んでいいからね。」というと、いいの!?じゃあ…これと、こっちにしようかな、とメニューを見て悩む姿を横目に自分はどれにしようかとメニューに目を移して考えてるとどれにしようかと迷う私を見た光彦くんが「名前さんはポアロは初めてですか?それならポアロのサンドイッチおすすめです!すごく美味しいんですよ!」と教えてくれたのでそうなんだ、と頷いて今回はサンドイッチとコーヒーを注文した。

みんなと他愛もないことを話しているとしばらくして料理が運ばれてきた。いただきます、と手を合わせ一口かじるとあまりの美味しさに思わず「美味しい…!」と声が溢れる。パンはふわふわで表面はカリっとしてるし、レタスもシャキシャキで味付けも絶妙。本当に美味しい。これは作品に出てなくても通いたくなる美味しさだわ。
感激する私を見て子どもたちが得意げに
「ね、美味しいでしょ!」
「このサンドイッチはバイトの安室さんって人が作ってるんですよ!」
「イケメンのにーちゃんでめっちゃ料理上手いんだぜ!」
と自慢気に教えてくれる。
不意に出てきた安室さんの名前に少しドキッとしながら「へ〜、そうなんだ、すごい人なんだね」と返し、サンドイッチを食べ進める。
サンドイッチを完食して、美味しかった、と満足してコーヒーを飲んでいると子どもたちが何かに気づいたように私の後ろを見てるのに気づいたと同時に右上から「やぁ、いらっしゃい」と聞こえてきた。突然の聞きなれた声に振り向くと金髪碧眼の彼と目が合った。「わー、安室さんだー」という子供たちの声を後ろにあまりの動揺で固まり目が離せなくなった私に彼は少しきょとんとした顔で「こんにちは、初めまして…ですよね?」と言った。
私は咄嗟に「は、はい!」と応える。
「あまりに見つめられるのでどこかでお会いしたことあるのかと思っちゃいました。」
「すいません、あまりにかっこよかったのでつい…。じろじろと失礼でしたよね、ごめんなさい。」
「いえいえ、それは光栄です。あ、申し遅れました、僕はアルバイトの安室透といいます。」
よろしくお願いします、と言って微笑んだ。うわあ、本物…。これは破壊力がやばいな、だめだ平静を装わないと。心の中で深呼吸して顔に出そうになるのをなんとか抑える。
「安室さんですね。初めまして、名字名前です。あの、このサンドイッチ安室さんが作ってるんですよね?本当に美味しくて感動しちゃいました!」
「名前さんですね。そう言ってもらえて嬉しいです。ところで、名前さんはコナンくんたちとどういった関係で…?」
「あ、えっと…」安室さんの問いかけにどうこたえようかと考えていると、
「友達だよ!さっきね、公園で名前お姉さんが飛んでったボールを拾ってくれてね、友達になったの!」と歩美ちゃんがこたえてくれた。ね?とこちらに笑顔をむける彼女に釣られて私も頷く。そうなんですね、失礼なこと聞いてすいません、一緒にいるところ見たの初めてだったので気になってしまって、という安室さんに「気にしないでください、子供たちが知らない人といたら心配ですもんね」と返す。程なくして安室さんは他のお客さんに呼ばれ、「ではごゆっくり」と言葉を残して離れていった。
その後しばらく子供たちと談笑しつつ食事を楽しんでいたが、お店が混み始めたためその後安室さんは近くに来ることなく、キッチンとフロアを忙しなく動く彼を時折目で追いかけた。
そろそろ出よっかと言って席を立ち子供たちには先に外に出てもらって梓さんに会計をしてもらう。ごちそうさまでした、美味しかったですと言って店を出ようとした時、不意に後ろから「名前さん」と呼ばれて振り向くと褐色のイケメン、もとい安室さんが立っていて
「さっきは言ってませんでしたが僕探偵もやってるんです。もし何かあれば連絡してください。力になりますよ。」
これ名刺です、と言って名前と連絡先の書いた名刺を渡される。
急に差し出された名刺を慌てて受け取りつつお礼をいい、また来てくださいねと手を振る彼に軽く会釈をして店を出る。
お店の前で待っていた子どもたちに「おまたせ」というと「ごちそうさまでした!」「おいしかったです!」と満足気な彼らを見てこちらも笑顔になる。
「みんなはこのあと予定はある?」
「このあとは博士の家でゲームしたいねって言ってたんです!」
「新しいゲーム作ったって言ってたもんな!」
「博士のおうちには灰原哀ちゃんっていう友達がいてね、その子にも会いたいと思って!」
「なるほど、じゃあその博士の家まで私送っていくよ」
子どもだけじゃ心配だし、というとありがとうございます、では一緒にいきましょうといってみんなで歩き始めた。
前を歩く3人の後ろをコナンくんと並んで歩く。さっきもらって咄嗟にポケットに入れた名刺をどうしようかなと思って見ていると、コナンくんに「どうしたの、その名刺」ときかれる。「帰るときに安室さんにもらったの。彼探偵もやってるみたいで何かあればぜひって」言いながら名刺をコナンくんに見せると彼はそっか、と言いつつ何か言いにくそうな顔をした。
「…名前さんって安室さんみたいな人が好きなの?」
「え、どうしたの急に」
「いや、お店の中で時々目で追ってたし、名刺嬉しそうに見てた気がしたから」
「そう?でも彼かっこいいし雰囲気とかも優しそうだったから好きというか推し?癒し?にしたいみたいな」
小学生相手に何言ってんだと思いつつ、遠くから眺めていたい感じかなと言うと、コナンくんは微妙な顔で「名前さんって変な人に引っかかりそう」と言った。

そして出会う


- 5 -

prev | next



戻る

Top