白夜

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私の頬に涙が落ちる事に気が付いた時は前が涙で見えなくなった

目の前に見たい人が居るのに、見えなくなる前に目に焼き付けておきたかったのに

そうして私は新たに目標を立てたその日

六年生全員で蒼い空の下図書の新刊を取りに行っていた



小平太「にしても実習とかでないのに町に行くだなんて久しぶりだな」

仙蔵「嗚呼、いつぶりだろうな」

『・・で、何で荷車に私乗せられているんだろうか?』

仙蔵「細かい事は気にするな」

『仙ちゃん・・お願い、気にさせて、文次郎と留三郎が可哀そうだから』

留「何でこいつの世話しなくちゃいけねーんだよ!」

文「うるっせーグダグダ言ってねーで体動かせ」

留「やるのかー?」

文「やらいでか?」


長次「ふへ、ふへへへへ」


犬猿「ごめんなさい」


小平太「あっはははは!怒られてんの!」

犬猿「こへーいーたー!」

小平太「おっと、すまんすまん!」


犬猿が私と仙蔵を荷車に置いて前と後ろで押しているのに小平太がちょっかいをだす

私は降りようとしたのだが、仙蔵だけでなく後ろから押していた留三郎まで


「いいからそこに座ってろ」


と言い出したのだ

私は渋々ふて腐れながらも明後日の方向を向いて・・・








『え?・・・嘘、』


留「ん?あ、おい!」

道中、綺麗な向日葵畑を見つけて、小平太が綺麗だなーと言っているの声を聴いた直後、

目の前に見知った人が2人立っていたのだ


私は驚いて夢だと、白昼夢だと思っても走った

それに小平太と留三郎が追いかける


私は息を切らしながらも走って走って走りまくった

遠くにいる2人は、会いたくて会いたくて仕方がない人達で・・・

私は追いついたと思って足を止めた


息が荒く、心臓が脈打っているのが分かる

軽く汗をかいて、前を向くと、息が止まりそうになった





「××××、」

『あ、嗚呼、・・っ、ごめんな、さい。』


其処には、会いたくて仕方がなかった父と母が立っていた

間に、幼い頃の自分が両手を持って嬉しそうにしているのをみた



留「おい、いきなり走ってどうしたんだよ、って都佑・・・」

小平太「泣いているのか?」



『え?嘘、、あ、何で、だろ?おかしいな・・・どうしてっ、っ・・・』
私は止まらない涙を放って幼い頃の自分に近寄る


彼女は嬉しそうに向日葵の帽子を被って、大きな向日葵を私にあげると言わんばかりに手を持ってきてくれた


私は涙を流しながら、ありがとう。と言って大きな向日葵を手に取る

すると涙をすくってくれた大きな温かい父の手と、優しく頭を撫でてくれる母の手に私は勢いよく頭を上げた


目の前には誰もいないで、私の身体に仄かに残る温かい気持ちがその場に居たんだと確信させられて、

私は大きな涙を流しながら仙蔵達の処に戻った





向日葵は、生きてと言わんばかりに綺麗に私を見てくれていた
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