白夜

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街に着いた時、涙で腫らした目を冷やすべく、小平太と仙蔵に連れられて土手に座っていた


小平太「もう大丈夫か?」

『うん・・ありがとう』

仙蔵「別にこれ位どうってことないが・・どうして泣いていたのか、聞いてもいいか?」

『・・・昔、10位の私と両親が目の前に立っていてね?白昼夢だと思っていたんだけど夢でも幻でも私にとっては

何よりも嬉しい出来事で、昔の私がこの向日葵を差し出して、あげるって言わんばかりに手を出したから、私はその手を取って向日葵をとったの


・・そしたらね、父の優しい手に涙を拭ってもらって、母の温かい手に頭を撫でられて私が前を思いっ切り降ると、誰もいなかったの。

でも、其処に居たんだって言わんばかりに向日葵がこっちを向いて、涙を拭った後もあって・・ぐずっ、』


改めて口に出すと止まっていた涙がまた溢れてきた

嗚咽に優しく仙蔵が背中をさすってくれる

ありがとうと心の中でお礼を言って、私は向日葵を抱えた


すると小平太が何かに気が付いたのか、私を呼んだ



小平太「都佑、この向日葵、文が付いているぞ?」

『え?嘘・・本当だ、何々?』

仙蔵「むぅ・・・随分と達筆だな、読めん」

『これは、現代語だね。私の時代の文字だから読めないのは仕方がないんだけど・・・』

小平太「何て書いてあるんだ?」


『それが、えっと・・・え?えええええええええええええええええええええええええええええええ』


いきなり大声を出したのか、仙蔵が口を塞いできて小平太が自分の耳を塞いでいた


仙蔵「いきなり大声を出す馬鹿がおるか!」

『ご、ごめん・・驚いちゃってつい・・』

小平太「何が書かれているんだ!?」 『内容については、変な事は書いていないんだけど・・・字が』

「字???」


仙蔵と小平太が息を揃えて言ったのに私は頷く


『この字が、両親の字なのよ・・しかも私の現状を知っているのか知らないけど生きろって感じに

めっちゃ頑張って文章にしてる・・・更に昔の私の字まであるんだけど、え?何これ』


仙蔵「結局、何が書かれているんだ?」

『えーとね、父は細かい事を気にしていたら何時までも前に進めないぞって・・母は生きてって書いていて

私が・・・私、は』


其処に描かれていた三人の絵に涙が落ちた

泣いても泣いてもキリがない

下には、ありがとうとごめんなさいと最後に大好きと書かれていた


それに小平太は自分が一等好きなんだなと笑顔で言ってくれた


『自分が好きな事は自惚れで、人に嫌われるとばかり思っていたの・・幼い頃は両親に愛されたくて仕方がなくて

我儘もいっぱい言って、言う事聞かない暴君していたんだけどね、こんな日に向日葵が咲いていた時に向日葵の帽子を被って

向日葵を取っていたの。向日葵の花言葉は、私はあなただけを見つめる』


仙蔵「ほう、随分とロマンチックな言葉だな」

『後ね、愛慕って言葉もあったり、太陽を追いかける様に花を咲かせるから言葉が出来たっても言われているんだ!』

小平太「何だか良く分からんが、綺麗な花だな!!」

『小平太に似合うよ?』

小平太「私がか?都佑の方が似合っているぞ!!」


そう言って向日葵みたいな明るい笑顔で花を押し付ける 仙蔵「ふふっ、2人共向日葵みたいだぞ?」

『何それ意味分からないー!』

留「おおーい!せんぞー!こへいたー!都佑ーー!!」


帰るぞーと声が聞こえて私は声を響かせる様にはーいと返事を返す

仙蔵が帰るか、と言って手を出す

私は良く分からなかったんだが、小平太が両手を出せと言ったので

両手を出すと、仙蔵と小平太が両手を掴んで歩き出した




仙蔵「都佑の父上と母上には負けるが」

小平太「少なくとも代りにはなれる!・・これで寂しくないだろう?」

『〜〜〜っ!うん!!ありがとう!仙蔵、小平太っ!大好き!!』

小平太「私も都佑が大好きだ!!」

仙蔵「ふふっ、私もだ」



そう笑顔で私達は歩いて留さんところに帰った



凛と鈴の音がして後ろを振り返ると其処には何時ぞやのあの時の私が笑顔で手を振っていた

私は笑顔でありがとうと声に出さずに口を動かすと、彼女は「わたしも」と言って姿を消した
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