白夜

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留「なななななんでだよ!!」

『いやー今迄そんな頻繁に着たことないので』

仙「と言う事はよっぽど不自由が無かったのがそのまた逆か」

『不自由は無かったけど、まー私が読み書き出来るものは恐らく図書委員の雷蔵にも解読出来ないかと・・』

滝「それは雷蔵先輩が図書委員と言う事だけか?」

雷「まー流石に何でも読めるって訳ではないんだけど・・・」

『いや、恐らく長次も読めるかどうか・・不安だけど、とにかく暗号にしか読めないと思うんだ。』


ミミズがのたくった字を書けるかバーカと思いながら私は歩き続ける



留「にしても災難だなーこんな事に巻き込まれて」

『いえいえ、こうして出会いがあったのも何かの縁ですし、私はそれなりに楽しもうと思っていますよ』

滝「だが、父上と母上はこの世には・・・」

『早い話になりますが、母と父は丁度この子の歳位の夏のある日に離縁しているんです。父の事は心配ですが・・・いやこの話はまた今度にしましょう』


滝はすまない・・と申し訳なさそうな顔をして謝る

私はとんでもないと言って返した



仙「では、時に都佑、お前の産まれは何時だ?」

『え?』

仙「この時代の着物を着なれていないとなると、別世界ともあろうが未来か過去に当たるのではないのか?」



いきなりの匙に驚いた


私は、 『だから?』


いきなりの匙に流石に私も限界が来ていた


そもそも今迄精神を維持していただけでも凄いと思った

なのに、皆聞いてくるばかりで・・・



『どうせ誰も分かってくれない癖に、言いたい放題言い過ぎなんだって、』

留「おい、幾らなんでもその口は」

『ん?何だよ、一応先輩としては見るけどさ、私は・・もういい、』



廊下から飛び出して私は外に駈け出した

後ろから声が聞こえたが、そんなのは気にしなくて、









数十分後、私は迷子になりながらも木の下にたどり着いた


『はー・・・またやってしまった。私ってどうしてこうも頭が悪いんだろう・・だからいつもいつもこうゆう結末抱えるんだって』


後悔しても仕方がないと知っていても、私は気にしてしまう

人を傷付けてしまったのだろうかと、やらかしてしまったともんもんと考えているうちに一つの答えが出てきた




『・・・・あれ?傷付けたんじゃなくて、私が傷つきそうになったから今迄こういう時に逃げ出したんじゃ、』


そうなれば尚更相手に悪い事をしたと思う

自分の意見など知られたくなかった

だけども、見ては欲しかった

少しでも、生きていると言う証拠位見てほしかった


『胸が痛む・・あーもう私って人格失くしてしまえば生きやすいんじゃないの・・・もうやだ、』

「それでいいのか、異世界人よ」

『だれっ!?・・って、犬?狼?』


其処に居たのは、真っ白な毛並みにちらほらと黒色が混じった狼だった




「お前が竜の言っていた子供か、」

『あ!てことは貴方が竜の言っていた狼さん!?え!?忍術学園に居たの!?』

「分け合ってここの子供に拾われてな、そういうお前さんは?」

『竜の言葉に沿って此処に来ただけだよ・・本当は忍者なんてなりたくない。怖いんだ

自分が別人になるのが、何処かで全てが変わってしまう様な気がして・・・この子の歳位に経験したから、』


私はそのまま木にもたれて体育座りで話しかけた

狼はその隣にお座りして聞いてくれた

『私、怖いんだ。物凄い不安が押し寄せて、元の世界に二度と戻れないんじゃないかって

心の何処かで思って、周りは私の事なんか知らない人達ばかりで、これから知ってもらえるのは良いかもしれない。

でも、幼い頃から見てくれた人が急にいなくなった独りは嫌なんだ・・・帰りたいよ』



「だが、帰った処で居場所はあるのか?」



『・・・ない。結局、帰っても仕事しろだのなんだの言われるんだ、傲慢な欲が押し寄せるだけなんだ

だからこの世界に捨てられるのも案外間違ってはいないと思う。ここ数年はぐーたら生きてきたから。

毎日両親の事を考えては飽きれてモノが言えず、布団の中で包まって甘えようとしてた・・・幼い頃それを拒絶されて

私はもう一度甘えたいと思って10年もの歳月を費やしたのに、それが間違っているって皆に言われて・・・』


「それで此処の人間に八つ当たりしてしまったと・・・」

『その通りでございます・・嗚呼、本当私って馬鹿、何も悪くないのにさ、

皆私を見ようとしてくれているのに何処かの私はそれを拒絶していて、まるで両親と同じじゃないかって

・・・話をぐるっと替えるけど、狼さんはどうして此処に?』

「お前さんが走って行く姿を見て慌てて追って来たんだ。誰かが呼んでいたが、」

『・・あんな奴ら知らない。もう私なるべく人間に関わらないって決めてるんだ!』

「それにしては私達と生活すると言っても無理があるだろう?現にお前さんが私と話せるのはお前さんの能力開花によってだ」


『・・・え?これ能力開花の一部なの?』

狼の言葉に私は思わず振り返る

狼はため息をついて此方に話しかけてくれた



「そうだ。竜が色々と説明はしてくれただろうが、私からも一応説明はしておこう。

能力開花とは、一つは今行われている動物との会話だ。慣れてくればそこら辺の動物の声は聴けるぞ。」

『おおおお!私動物大好きなの!・・苦手なものもあるけど、克服出来そう!』

「そうか、話しが早いの。二つ目がまだ見られていないが先に言っておこう」

『え?幾つかあるの?』

「だから最初に言っただろう?説明」

『え、あ、うん。』

「・・・もしかしてお前さん、左から右に流れていないんじゃ・・・」

『あははは・・細かい事は気にしないで!』


全然細かい事ではないのだが・・と二度目の溜息を聞いて話を戻してもらった
「お前さんの第二の能力は分岐点として分かれている。一つが火や水などを操れるもので

もう一つが風を自由に使える能力じゃ」

『何か、先が見えてきた気がする・・あれ?確か記憶の操作が』

「それが風の能力の一部じゃ。いわゆる天狗みたいなものになるの」

『成程・・・で、三つ目が生命に関わるものになると』

「ほう、そう言うところは頭の回転が速いんだな」



頭の回転が悪くて悪うございましたね

と言って明後日の方向を向く

まぁ聞けと言われて顔を戻して狼の目を見る



「確かに命に関わるものに繋がるが、火や水即ち風林火山を使える様な奴は最終的には記憶操作は出来ん。」

『風林火山って・・また物騒な名前を付けて、』

「ことわざで言ったらそれ位しか当てはまらんのじゃ。因みにそれの最終形態が人の魂を操れるという事じゃ」

『ん?記憶操作は?』

「そっちは最終形態じゃの。記憶を消したり出来るのが第二段階で、最終的には記憶を自在に操る事が出来るってだけじゃ。」

『え、風林火山強くない?太刀打ちできないじゃん』

「まー能力開花が見られているのはお前さんともう一人の小僧だけじゃからな。」

『あー何か竜が言ってた気がする・・敵じゃなければいいんだけど・・・』

形からしてどう考えても敵になる可能性高いよねーと独り言を呟いて話を戻す


「竜は一目でお前さんが記憶操作の使い手になれると言っておったんじゃな?」

『まーそんな処ですね・・・で、相手がその面倒な術を使える奴だと、』

「それこそそいつにやられてな、私の子孫を焼かれてしまったのだ」

『は?狼焼いたの?え?何様?怒るよ、てかそいつ捕まえたら私殴るよ。何発がいい?』


流石の動物好きの私でも子供を焼かれたと言われたら腹が立つ

というか腹が立たない人間を見てみたい

私はその場を勢いよく立ったせいで立ち眩みが起きたがそれどころではなかった



『狼さん安心して、敵はとるから!・・子供を目の前で焼いた上に神様的な存在を殺そうとするとか

動物虐待処で済んだら警察要らんわ!こんにゃろ!何で地獄をみせようか・・・ふふふふふ』

「・・・敵にある意味情けは無用、か」


ある意味可哀そうにと狼は相手をその時思ったのだった
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