胸以外に何を開く
パタンと音を立てて木下先生の部屋から委員会の方に戻る
その間ずっと木下先生に言われた事が頭の中をぐるぐると回った
三郎「仮面、ですか?」
木下「嗚呼、これは他言無用で頼む
鉢屋ならきっと岡本の心情を汲んでやれると思ってな。」
三郎「仮面と言っても変装ですよね?」
木下「いいや、奴は変装と同時に心事変装を施してしまう。
しかも、それが無意識と来たからタチが悪い」
そう溜息をつきながらもろ組の担任、浅井も言う
浅井「岡本は家の事情が事情で、心に傷を受けている。
今も新野先生と話して何とか此処まで回復してきたが、
‥今回のを見ると、どうやらそれすらも
仮面だったようだと言う事が分かった」
三郎「まさか、私達と話しているのも・・」
木下「岡本は八方美人と呼ばれているのは知っているな?」
三郎「はい。存じております。」
木下「あいつは見境なく無意識にソレを発揮して
そしてソレを意識的に殺していくんだ。
まぁ毎日の様に自身を守る為にも自分を殺して
生きていたのにお前らが入った事によって
他人を傷つける傷付けないという範囲が
一気に入って来て混乱している状態だ」
三郎「ちょ、ちょっと待ってくださいよ!
それってまるで」
私達と仲良くしてはいけないと言っているような
考えた後、直ぐに都佑の笑顔が浮かび上がる
果たしてアレも仮面だったのか?
恐らく答えは
三郎「私は何があっても都佑の事を信じます。
例え何度嘘をつかれても、
私は見て大丈夫だと言ってあげましょう。
学級委員としても、友としても・・・」
浅井「そうか、鉢屋がそう言うのなら大丈夫だろう。
だが言っておくぞ?岡本は酷い程に繊細で
残酷な程に人想いで優しすぎる。
傷付ける刃は己が持っていると知っても尚
お前は傍にいるのか?」
彼が鉢屋の所為で傷ついても尚傍にいれるのか?
それに迷いは殆どなかった
ナイとは言い切れないが、殆どはい。と言える事だった。
それに教職員はため息を一つつき、そのまま返したのだった
三郎「(都佑がなんだ、先生方はまるで
都佑が此方を人として見ていない様な
素振りをするではないか!
それは都佑に失礼じゃないか・・・)」
『あ、さぼろーだ!』
三郎「嗚呼、って私は三郎だ!!」
『ああ、そうだったな!三郎此間はすまない』
三郎「嗚呼、ってあの時かいや別に・・
(あれ?なんだこの引っかかると言うか
モヤモヤとした感じというか・・なんだか)」
目の前の人がネコを被っている様にしか見えないのは
この腑に落ちない気持ちを知ろうとしたその瞬間
都佑の眼が一瞬赤く血走った気がした
それに驚く前に雷蔵の声が聞こえた
雷蔵「どうしたの?早くいかないと授業に遅れるんだけど?」
『げ!木下先生に授業始まる前に来いって
言われてたの思い出した!あーどうしよう』
雷蔵「後で行ったらいいじゃないか。
ほら三郎どうしたの?行くよ?」
三郎「あ、嗚呼・・・」
そうたったと走った後振り返るとそこには誰も居ない筈なのに
都佑は只一人、振り返っていた
『涙より愛しいものはないよね、さぶろう』
癒してほしくない、もの。
その傷に触れてほしくないから私は隠すんです
言ってほしいけど、言ってほしくないから
ソレを夢として見たくないから
まだまだ気付かなくていいんだよ?
だからおやすみ
この傷を癒す薬や人、時間は沢山あるんだけど
それらを完全に許すのは、"私"なんだから、さ?
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