相澤「おはよう」

『・・・おはようございます』

相澤「今日退院だそうだ。」

『あ、そうですか』

他人事の様に私は相槌を打ちながら返事をする
それに相澤はむっとして他人事の様に言うなと言った

『でも・・あ、私の事なのか』

相澤「お前は・・・まぁいい。
今日は早速で悪いが
買い物に行かなくてはいけないからな。」

『買い物?』

相澤「嗚呼、服もないからな。
一応一着だけ買ってみたが、着るか?」

『うん!着る!!』


相澤さんが昼に来た頃
わざわざあれから服を一着と下着を買ってきてくれた
本人曰く自分で選んだんじゃなくて
店員さんに選んでもらったらしい

・・確かに選ぶ人ではないよね。


服は青いジーンズ生地の襟にひまわり色の
チェックのワンピ―スだった
少々子供っぽい気がするが、そういえば
私は子供だったんだと何故かそう感じる


相澤「似合っているな」

『はい!ありがとうございます!』

相澤「よし、着替えたし、今から行くか」

『はい!』

笑って私は返事をして相澤さんの隣を歩いた
それから看護婦さんにおめでとうと小さな
ひまわりの花束を貰い、相澤さんがまわしてくれた
車に乗ってそのまま買い物に出かけた


相澤「(まずは服だな、それから日用品・・)」

『・・うわぁ、でかいなぁー』

ビルが建て並ぶ大きな道に出ると思わず私は口に出した
それを自分の耳で聞いてしまったと口に手を置く

相澤「ココは都心だからな、仕方がない
・・・そう緊張しなくてもいい。と言っても無理はないか」

『えへへ・・・緊張なのか分かりませんが
ドキドキしています。今から知らない所に行きますので』

相澤「・・そうだな。腹は減っているか?
先に飯でも食うか」




『え!あ、でも・・・』

相澤「まさかこの期に及んで遠慮なんてしてねーだろうな?」

『うぐっ』

図星か、そう言われてちらっと私の顔を見て言う
そう見ていたと思っていたらすぐに前を向いて
遠慮はするなと言われた

『・・でも』

相澤「言っただろう、俺達は家族になったんだ。
ちょっと位我儘言えよ。」

『・・はーい。』

怒られるものではない会話なのだが
何だか申し訳ない気持ちになる
でもお腹は本当に空いていなかったので
とりあえず近くのデパートみたいな場所に入る


相澤「さて、と時間は有限。ちゃっちゃと買っていくぞ」

『はーい(有限ってなんだろう。
要は余り時間がないってことかな?)』


あながち間違っていない答えに都佑は気付きもしないで
相澤の隣を歩いて余り居ないデパートの中を歩き回る

ふと、相澤が止まり一つのエリアの服屋に入る


「いらっしゃいませー」

相澤「この子に似合う服を10着程買ってほしい」

『じゅっ!?!?』

「かしこまりましたー」

相澤「じゃ、行って来い。俺は此処で見ているから」

『え!?いい、いいんですか!?
まって、流石の私も恐ろしい金額になる事ぐふっ』

相澤「金の心配はしてねーでさっさといけ」

ふわりと髪の毛が浮かんだ
なんだか嫌な予感がしたので
すぐに回れ右をして服屋の中に入って
店員さんと話しながら服を選んでもらう


店員「こちらのお洋服も似合いますねー!」

『そ、そうかな?私は、うん、こっちがすき』

相澤「・・流石にそれはないだろ」


何故か嫌そうな顔で首を傾げる相澤に
私はそうかな?と思いながらとりあえず
店員さんの指示に従うことにしてかれこれ30分


店員「以上でよろしいでしょうか?」

相澤「嗚呼、カードで頼む」

店員「かしこまりましたー!
・・あ!ねぇ貴方」

『なんですか?』

店員「また此処に来たら私がコーデ教えてあげる!」

『本当ですか!』

店員「ええ!今は手持ちがないし、時間もなさそうだから
教えてあげれないけど、次来た時に時間が空いていたら、是非!」

それに私は嬉しくなって相澤さんの顔をみる
すると相澤はふっと笑ってお願いしますと言って
ぺこりと頭を下げた

私もそれに従ってぺこりと頭を下げる
するといいえ、と言って店員さんは笑って
外まで出てありがとうございました!と
笑顔で送ってくれた


『持ちますよー!』

相澤「これ位いい。」

『私が嫌なんです!』

私はそういって相澤さんが持っていた小さな荷物だけでも
と思いひったくる。案外重い・・・

それでも買ってくれたんだから持つだけ
持ってとりあえず次に行こうと言って
次は靴屋に向かって歩いた




@@@@@@@@@@@@@@@@@


『結局いっぱい買っちゃった・・』

相澤「これ位まだ少ない方だぞ・・お前
どんだけ買わないつもりだったんだ・・・」

あれから服、靴、髪が長いので髪留め
日用品を買ってからそこで郵送する事にした
相澤さん

本人曰く「最初から郵送すると効率が悪い
最後まで持って手一杯になった時一気に
頼んだほうが効率がいいからな。」

だそうだ。これを合理性というらしい。
良くわからないが、合理性に欠けるという言葉を
今日だけで10回は聞いた気分だ。なんかよくわからない




相澤「何か食べたいものはあるか?」

『えーと・・あ、』

ん?
そう相澤が言って都佑が目に止まった場所は

相澤「・・パスタか」

『スパゲッティ―が食べたいです!』

相澤「嗚呼・・・」


相澤はちょっと女の子が入りそうな場所に
居づらそうだがまぁ都佑が入りたいと
食べたいと言ったんだから良しとしようと
思いながらメニューを頼んだ

暫く何も言わない時間が続いた
それに耐えれなくなったのか都佑は
そわそわし始める

それに気が付いた相澤は「何をしている」と聞いた


『え、えと。なんか、落ち着かなくて』

相澤「会った時から思っていたが、本当に落ち着きないな」

『なんだろう、凄く落ち着きないんです。
止めようとは思っているんですが、どうもなくならなくて』

相澤「抑えるから余計に落ち着かないんだろ。
人に迷惑をかけない程度ならいい。」

『あ、はい・・・あの、相澤さんの家って
ご家族は・・・』

相澤「色々あって他界している。心配するな一応部屋はある」

『あ、はい。なんかすいません・・・』

相澤「いや、いい。そうだ、お前確か14と言ったな?」

『え?言いましたっけ?』

相澤「てっきりそう思っていたんだが・・・
まぁいい。中学に編入してみるか?」

『え!?い、いや、そこまで・・あ、はいします
しますからいやあの寧ろそこまで考えていなかったです』


いきなり目の前でまた髪の毛がふわりと浮いたので
瞬時に否定をさらに否定してしたいと言ったのだが
相澤さんにため息くらった、なんか胸痛いって


相澤「記憶喪失なら知識も無くなっているだろう。
高校や社会に出るなら中卒位は欲しいところだ」

『え、あの・・・はい。』

相澤「近くの中学でいいか?」

『あ、何処でも・・・近ければ』

相澤「分かった、手配しておこう。」

『(本当に何でもしてくれるんだな・・・
家族ってこういうものだったかなぁー)』


そう思い出せない頭の中をぐるぐると回す
名前の様に何か出ないかと思ったが
まったく反応がない




食事が出てきてから私は話すのをやめて
とりあえず目の前の敵(食事)を倒すことに集中した

今は何となく、昔を思い出すのは駄目な気がして。