リ・アンブレラ

女の子は小さな涙を流し、嘆いた。

ーどうかもう一度、魅せて。

男の子は救われた
同時に女の子は呪われた


"何度でも戻る記憶"に
“何度でも囚われる”呪いに


ーーーーーー

こんな出来事になったのも
土方が単独で動いていた
とある山がきっかけだった

山崎の記憶が未夜の結晶内で踊っている中
何があったのかを知っている

未夜は歯ぎしりをした後
屯所の中に侵入して
手あたり次第の人間から記憶を奪って行っていくと
近藤らが此方に気付いたらしく
血相を変えて何をしているんだと怒鳴ってきた

それは此方のセリフだ。

『貴方達は何をしていたの?
私が知らない場所で血を流して
そのまま灯を消して?守らずに?』

少女は望んだ
この子が笑って生きられる様に

少女の想い等知らなかった様に

沖田「っ!おまっ、何す、るんでぁ」

背後から襲ってきた沖田に間髪言わず背後から刀を使用し、脇に入れ、腹部に当てた

まずは彼から記憶を奪い去ろうとするが
思った以上に大きい物に色に未夜は目を丸くした
嗚呼、この人は私に少しは甘えてくれていたのだ。

色は正直で淡いオレンジを輝かせていた
ザキや他の隊士とは比べ物にならない大きさと強さに
私は罪悪感と言う感情を飲み込んだ

『君らも同罪だから、こんな感情なんて持つ資格も無い。
おっと、近藤さん皆さん動かないで下さいね?
私はもう貴方方の、敵ですから』

”敵”
私は”薄狼として生きる事を決めた”のだ
薄狼は全世界の均等を守り静かに見守る位置でなくてはならない。

その為、こんな真選組の様な
身近な守る行動は今日でおしまい。

だから私は記憶を奪い取る

もう、苦しまない様に

その苦しみは、本当に近藤さん達の物?
何故か自分に変な問いが降りかかって来た

そうだよ。きっと。そうなんだよ。
言い聞かせて、呼吸を楽にさせる


嗚呼、君は笑ってくれてるだろうか?
何処か鳴き声が聞こえてきた
眠たいのだろうか?瞼が重い


「土方さんの最後に貴方の目撃証言が
幾つか寄せられています…
でもこの場所に居たんですよね?」


おお、とんでもない事相手がしてきたね。
これは私が混乱させた方が良いのかもしれない。
相手の思う壺にさせた方が、都合が良い。

嫌だ。なんて言葉を「殺した」


『嗚呼、ばれちゃった?』

そうニヤリと黒い笑みを顔に張り付ける

心の奥底では涙を流しそうな勢いの悲痛な叫びが上がった

痛い痛い心が痛い

周りの哀れみや動揺が怒りに変わり殺気が溢れて来る
嗚呼、嘘をついてごめんなさい。
でもこうしたら救われる。




君が生きる世界を眺められる。



『(嗚呼、単に救われたいのは私だったのかもしれない)』



もしも、私が彼ら(真選組)の敵で彼らが幸せになるのなら


その知識をフル活用して彼らの敵に成り上がろう

私は悪者にも悪魔にだってなってみせよう

何度だって私(記憶の過去)を殺してしまおう


だからどうか



「…本当にいいんでぃ?」


あの子をどうか


近藤「…お前ばかり、は、仲間だと思っていたが」




救って




『他人を信用して信じるなんて
無駄な事しなければそんな顔や気持ちにも
成らなかっただろうに』

ニヤリと笑い目を細める
其処に隊士達が降りかかってくる

「貴様ぁああああ!!」

感情に左右された刃物にサクリと突き刺されてみる
血は溢れて炎の様な着物が更にリアルに色を変えていく
それでも、私は死なない。


そりゃあ痛みはある。
痛い痛い、血が出ると痛い。

それでも、私は死なないし
この感情が死ぬ事なんて在り得なくて


『(何時から、化け物になったのか)』


口から血を流した途端に身体に光が灯されて傷が塞がり
何も無かった様に振る舞う
死界になりそうな場所で直ぐに本音が浮かび上がりそうになる


嗚呼、駄目だよ。
演技をして、彼らを騙して。
そうして、彼を救わねばならない。

言い聞かせないと。
そうしないと、あの子は今もいや



ずっと前から眼を醒ましていた


『何度だって望もう』

何度だって叶わない

『何度だって繰り返そう』

何度だって哀楽に入り浸ろう

『そうして私は』



一つ(の存在)に戻(繰り返さ)れる




そう両手を合わせた後
勢いよく放し五センチ程の距離を開け
掌で光を吸い込む様に維持をする

周りに居た人間の記憶が
心臓から離れていき私の結晶内に入る

近藤さんとかろうじて息をしている沖田だけが
私の前で鬼の様な目で睨んでいた


未だ動揺して、動けない様だ
そりゃあそうだ。なんせ私の本性は
優しくて可愛らしい子供の様な姿だもの

こんな醜い感情が、本性と言わせるには
もっとひどい言葉を放つ以外無い


嗚呼、許さなくて良いよ。
私は前から悪い子だったのだから。



『…万事屋の方も一応貰って置いて損は無いかね』

沖田「てめぇ…」

『妙ちゃんの顔はどう歪むかなぁ?あははっ!』

その言葉に瞬時に飛び掛かって来た近藤

その刀に刺され、強い痛みに耐えながら心臓部分から
小さな赤い光を手に入れる
手を伝わり結晶内に入ると結晶は虹色の輝きを放ちだした

もう十分らしく、どうやらお妙ちゃんの処に
行かなくても済んだらしい

まぁ端からそっちの方には行く予定ではなかったのだが
近藤さんがどうしても私に刃を向けそうになかったので
ちょっと意地悪を言ってみただけだ。

かろうじで息をしている沖田の前に膝をついた
「殺るならさっさと殺ってくだせぃ」なんて目を瞑る
まぁ死ぬと同じ様な事だと、後に思い出せばそう感じるかもしれないので
あながち間違っていない事に鼻で笑った


『土方さんに優しくしてね?総悟』

沖田「!?未夜っ!おまっ、ぇ」

気付く前に意識を失う
最後の緑色に輝く光を吸い込ませ
土方が眠る場所に正座をした


『闇よりも尚紅き者、煌(こう)よりも尚蒼き者
我が純血”薄狼”の名にて汝(いまし)者に新たな灯を与えん!』


髪は無重力を感じる様に広がり亡き者の心臓に光が灯される
紅い赤い光に、目を覚ますときには蒼い青い目が見れるだろう


嗚呼

『…土方さん、大好きだよ』



そう後も無い言葉を胸に締め付け、
私は部屋に戻りすぐに支度をした
と言っても身支度する様な物は整えていた為
取って直ぐに門に向かえたのには鼻で笑えた

此処までさらりと流れる様に嘘を付き
全てを押し殺し、何も無かった様に
外に出ていけるのだ。


本当に、悪い子だ。



『さて、告白もしたし
私は此れから何処で寝泊まりしようか…』

病に侵され始めるのは大体使用後の10分前後

すぐに術を使えば空も飛べる
幸いなことに今日はどんよりとした空の為
月明り等で自分が飛んだなんて知られる事は無いだろう

隊服であったパーカーを上に着て更に上に隊士用のカッパを着た
雨でこれ以上濡れると面倒だったのだ。
勿論使用後は燃やしてしまうつもりだ。


後は金銭ものや化粧道具、服の着替えとタオル等
大体1週間は過ごせそうな物を背中に背負い
屯所裏の方から逃げる様に
姿をくらました


+++

屯所からそう時間が経っていない隣山の中間付近で急に鈍痛が頭に響いた
その為すぐに通っていた道を戻り洞窟の中に入りランプに火を付け洞窟前に
呼吸が出来る程の空気の道が出来る程に岩で外から来れない様に塞ぐ

『はっ、あ、っ、嗚呼あっぁあ』

痛みが徐々に増していく中服を脱ぎ術を使い地面を
少し柔らかくさせてその上にカッパを脱ぐ様に敷いた
肩が上がり痛みに耐えながら持ってきていた二リットルの
ペットボトルから水を乱暴に飲む

胸を刺す痛みに死にたくなり
鞘から刀を取ろうとしたが
すぐに痛みに遮られて集中出来ず
鞘からも手を放して悶える

こうなるなら医者の元に行けば良かったと思ったが
この辛さを生き返った土方が目にすれば必ず心を痛めるだろう

嗚呼、術を使ったもので敢えて
古語でこの感情を言葉にするのであれば
今の心境は≪あはれなり≫だろう。


どうしようもない空虚な悲しみ以上の空いた穴に
自分がした事の大きさと愚かさが物語っていた

吐き気が込みあがり洞窟内に嘔吐する

酢の様なツンと鼻を刺激する匂いに
嘔吐した直後の楽になった感覚に助けられ
そのまま水を使い外に流した

我ながら本当に使い勝手の良い術達だ
頑張らなくても頭の中で想像した物を
この洞窟で屯所の部屋よりもより
快適に作り替えれるのではないだろうかと思う

『嗚呼っ、あ、はっ』

まぁそんな余裕はすぐに消えてしまうのだが。

そのまま苦痛に身体を苛まされながら意識を手放した
真っ暗な中、噴き出して笑う土方さんの笑顔が見えた
嗚呼、その笑顔が守れたのなら、私はもう。


もう、何も要らないの。







ほんとうに?



そう、涙が宙に舞った