白が許さないから何にもなれないのです

未夜が失踪してから二日
土方は自分が生き返っている事に驚き

同時に未夜がまた何かをやらかし姿を消し
自分に何も言わずに消えた事に怒りを感じていた




結論から言うと
未夜の思惑通りに事は進んでいなかった
未夜は「土方の命を助ける為に
周りの未夜が居る記憶を使い救った」

のだがそのまま記憶が彼らの中から
抜ける事では無かったのだ。

その為沖田や近藤は顔を青ざめて土方に事情を説明し
真選組の総力を挙げて未夜が行く場所から行かない場所
迄くまなく探して居た

未夜が言った言葉は全てウソだった事も判明した
その場で怒り狂ってしまった者だけでなく
全員が湿気た面をしていた



神楽「未夜は未だ帰って無いアルカ?」

土方「…嗚呼、ったく、何やってんだあいつは」

そう額に眉間のしわが寄り鬼の様な顔に
部屋に入って座りながら落ち着けと言ったのは
犬猿の仲である銀時であった

銀時「俺も万事屋の情報駆使して色々聞いたんだが
恐らくあの雨ん中を歩いて何処かに行ったのは確かだ。
なぁ土方、お前ならどうやって姿晦ます?」

土方「あ?何んなこ…」

彼女が言っていた言葉を思い出す
「敵や味方が一番面倒だと思うことを考えますよねー」

なんて何時ぞや勘が当たりすぎて怖い話に
ぼそりと言っていた言葉が銀時の言った
言葉に反応して浮き上がって来た

土方「…俺なら全員殺すが、若しもそれが
本心で無ければ殺さず、に」


そう、未夜が行った事も同じ事だ。
だが彼女は「敵だ」と言ったのは良いが
隊士や沖田達から自ら血を舞わせた事は

”一度も無い”

全て沖田達が付けた物は彼女の血、
若しくは攘夷志士と一戦した後の血だけなのだ


羽黒未夜は嘘を付き、土方の蘇生の為だけに
我が身を殺し演じ、沖田達を無理矢理怒らせ
力を使って姿を消した

そんな彼女が生身でピンピンしている訳がない
姿を消すときは、人間例外もない。

人に知られたくない事が起きている


銀時「あいつぁ根っから優しいってあいつ自身が
お妙と九兵衛に言ってたそうだ」

≪私根っから優し過ぎて傷付けるの
優しさは逆に大きな刃物として居るのにね≫

銀時「あいつぁお前を生かす為に敢えてゴリラ達から
”何らかの物”を奪い取りお前の心臓動かしてから
俺ら周りの人間も居ねぇ場所で悶え苦しんでねぇかって思ってる」

神楽「辛い時は皆大事な人にバレない所で吐くヨ
銀ちゃんだって時々大怪我かくしてかえって来るシネ」

そう白目で見た神楽に銀時は半目で返す
否定したいのだろうが、本当の事なので返せるのが
否定したい目だけになっている

銀時「ま、まぁ兎に角この事に一番詳しい奴が居るだろ?」

土方「その詳しいだろう医者が姿をくらましているんだ」

それには銀時と神楽も目を丸くした
土方も最初は驚きこれは大変な事件になっているのではと
心が動揺して煙草を持つ手も自然と震えていた

土方「医者の周りの人間がまるで
”医者は元々存在しなかった”かの言いようでな
屯所付近の人間だけ記憶がすっぽり抜けてるんだ」

もちろん病院だった場所も全く違うコンビニとなっていた
狐につままれたような感覚に土方は頭を抱えたのが昨日の昼間だ

銀時「じゃあこの江戸にはもう居ねぇって処か」

沖田「その様でさぁ。ったく、最後に
胸糞ワリィ言葉聞いて余計に会ったら
とっちめてやりてぇ位でさぁ」

新八「沖田さん!」

土方「総悟、なんの話だよ」

言わねぇと思ってやしたが、
と言って頭を乱暴に片手でかきなぐる
仁王立ちして土方の方を向いて話し出す


未夜の失態はもう一つあった


それは沖田があの直後も意識が少々残っていた事だ
沖田の意識が薄れていく直後に未夜は土方の蘇生に成功した後

とある言葉を残して声を押し殺す様な
グッと言った声でその場から逃げる様に
走って何処かに行ったのだ

それには聞いていた全員が目を丸くした


その言葉は、その時に言うものじゃない
強いて言うのなら、それは死ぬ前の遺言の様に聞こえて


沖田「あいつぁ土方さんに惚れて蘇生したんでさぁ…
頭抱えてる暇あるでしたらサッサと行くでぃ。
旦那らも付いてきやすかい?新しい情報が入ったんでさぁ」

そう踵を返して屯所から出ようとする沖田に
銀時が止める


「未夜が見つかった」


それには銀時達も何より土方が直ぐに動いた


+++


『(嗚呼胸がどんよりする倦怠感とは此れだろうな)』

あれから二日と半日が経った頃
未夜は外に出て身体を動かしていた
江戸から離れたとは言え近い場所に居る

その為一刻も早く逃げて誰も来ない様な場所に行かねばならない
その後にでも敵は殺せばいい、大丈夫。
死なないで居ろなんて思い人以外にも居るとは
お人好しが過ぎて鼻で笑った

衣服等は炎で燃やし何とか証拠は隠滅していっている筈…
頭がぼーっとしており、あれから何十と物を吐いた
食べ物も入らない為飲料で何とか繋いでいる

結晶はもう光を灯さなくなったのに
土方が生き返ったと思えればすぐに笑みが零れる
彼が笑って居た場所が直ぐに頭の中に浮かび上がっていく


「未夜」

『…嗚呼、もう、貴方にもならないんですか。』

頭の中に浮かんだ、土方が目の前で笑って
木の下で此方を見てくれていた
優しい目、私が欲しい目。

私が一番愛していた目
アニメを見てから好きで堪らなかった
夢女子腐女子と両方のわらじで過ごしていた時間が
まさか本物になるとは当時の自分は思いもしなかっただろう

「何処に行くつもりだ」

『何処って、あの蘇生した奴らから
逃げて敵をなぎ倒しに行く予定』

「俺の目から離れられねぇ事くれぇ知ってるだろ」

『お前は私の幻だ。私はお前を見たくない。』

私が見たいのは違う人だ

貴方なんかじゃないの。

「はっ、んな顔して良く言うぜ…こっちに来いよ」

私は貴方の手を取れない。
私がとりたいのはあの二人の手だけ。
だから私は刀を取り土方の顔先に刃先をあてた


「んな事しても無駄だろ」

『無駄かどうかは私が決める、私は二人に会いたい。
二人になら私の命はくれてやる。さぁ変わって見せろ!!』

声も顔も言葉も全部忘れてしまった私の前に
二人が現れたら、私はその時二人を抱きしめられるのだろうか?

にやけていた土方さんがユラリと微睡み
私が目をぎゅっと瞑り目を開けようとした時
後ろから隊士の声が聞こえた

もうこの場所がバレたのかと驚きすぐに足を前にだそうとした
すると足が滑りそのまま下に転がり落ちる
四つ五つとグルグル身体を回して開けた場所に身体が静止する
周りに赤と白が見え、バタバタと「未夜さん!」なんて声が聞こえた

嗚呼、本当にツイてないなぁ



土方「未夜!!!てめ、」

『君が、殺してくれるのか』

転げ落ちた場からゆっくりと体制を整え
髪の毛を乱暴にかき上げて鞘を片手で掴み取る


目の前に立っていた人は




『ふはっ、私、ほんと、どっちが好きなの?』

真っ黒な長い髪の毛を放置した幼い子と
赤い目をした土方その者が刀を構えていた

何方も目が死んでいて
未夜はすぐに迫って来た吐き気に
身を委ね、そのまま吐血する

ゆらりとかなり揺れながらも立ち上がり後ろから
本物の土方さんが此方にやって来た


土方「んだよあいつ…」

『こ、ない、で、下さい…こりゃ、わた、しの、うっ』

銀時「おい!しっかりしろ!!なんだこの熱…!」

苦しそうに肩で息をしながらも
未夜は片目で利き腕である右手で
二人が居る場所に向かって横に切る

すると二人はスパリと胴体が切れ
その様子に隊士達は固まる



異様な事はそこから始まった



偽物の土方と幼い少女の身体から血は一切出ず
そのまま身体がひっついて、最後にニヤリと笑った
それには隊士達だけでなく土方も背筋にひやりとした
何かが伝って来たのを感じた


『だ、め…おまえ、ら、じゃ、ねぇ…!!』

ぞワリと毛があるなら立っている程に
未夜の眉間にしわが寄り
銀時の腕の中で力なく暴れて暴言を放つ

『な、んで、殺す、なら、パパ、ママ、がいっ…』

銀時「おい、待てよ、起きろ!都佑!!しっかりしろ!!」

近藤「くそっ!おい万事屋!都佑ちゃん連れて早く病院にいー」


「ダメだよ。都佑は病院行っても死んじゃうの。」

そう近藤の背後からいつの間にか少女が肩に手を置いて宙に浮いていた
足もあるのにも関わらず都佑の名前を呼んだ

ああ違う其処を言いたかったんじゃない



彼女は一体「何時」100mも先に居た近藤の背後にたどり着いたのだろう?


沖田「近藤さん!!!」

「都佑、君の願いなんてかなわない
何で生きてるの?何で此処に居るの?
居られる権利も何もかも無いのに?知ってるのに?」


急に降りて未夜の都佑の元に行く少女

ぐったりして気を失っている都佑を守る様に
銀時は優しく抱きしめその前に刀を抜いた土方が立った


土方「てめぇら…何者だ」

「副作用だよ都佑が一番好きで会いたい人の幻!」

山崎「ま、幻!?」

少女「何故か私と土方コノヤローが出てるから
今なのか昔なのかはっきりしてよね!って言おうとしたら
転がって落ちて君らに見つかったんだよね!」

偽土方「ばかっ!俺の名前出すんじゃねぇ!!
っつーか此れどうすんだよ…無理だろ伸びてるぞあいつ」

少女「…処す?処す?」

偽土方「俺が処せると思うか?」

首をかしげて少女に問う偽土方
それに首を反対側にかしげて首を横に振り
「いいえ」と言った少女は器用らしい


少女「…私はあの子を殺せないし殺すつもりも無いの」

そう少女は偽土方の肌に触れると偽土方は消えてなくなった
本人も居るし何より都佑の意識が無い状態で二人は無理と判断した


少女「都佑は幸せ者なのね
経った二日で迎えが来たよ?
君は昔から幸せ者だったのよ
パパもママも笑ってる」

いい加減強く願わずに諦めてしまえばいい
そう少女は涙を流すと同時に都佑が鞘から
赤い刀を抜いて少女の腹を突き刺した

銀時の中でうずくまっているのにも関わらず
少女に躊躇なく制した

『お前がその言葉を紡ぐな!!』


顔を上げ痛みに耐える様に顔を歪ませながらも
刀を地面に突き刺して銀時の前で身体を何とか
刀に託し、やっと足で立っている

小鹿の生まれたて位の状態に
銀時は「無理すんな!」と声をあげる


銀時「都佑!んな状態で戦えるかよ!!黙ってまもら」


『君はっ!何時も君は!誰も頼らない!
だって誰も私を守らないと知っているからっ!
なぁ!何で護らせてもくれねぇんだよ!!』


その言葉に銀時は手を伸ばすのを止めた
彼女の言葉は、銀時達が守ろうと
することを否定していたからだ


『何度だって君は願った、それは小さな体で小さな心が押し潰される程大きな願いで』

願いは叶わない、叶うわけがないとずっとあきらめて
それでも諦めきれずに、女の子は涙を流し続けていた

『そうして私が産まれた。私は君のその前の子を知ってる』


暁よりも尚赤き者、薄明よりも尚眩き者

たった一瞬の為に、少女は祈りを捧げた


『どうか、ずっと幸あれと希(こいねが)う』

少女の祈りは強くなり望みが呪いに変化した




『彼女は、ううん”私は”ずっと君を待っていたんだ!』













バッと顔をあげ、痛みなんて感じなくなる様に前だけを見る
刀を抜き蒼き光を感じながらまだ湧き上がる感情に鼻で笑う


お願い


『うちが思った事はうちの感情やけ。
都佑でも未夜でも両方おんなじやけさぁ。
おまんら幻が何言おうたち
もう、二度と揺らがんちや』


幻でもそんな事を言わないで。


『うちはもう変わらん、そりゃ昔っから
わかりきっちょった話やで?ああ?』

「な、何を!都佑が好きな人達が居るのに!?
何でこっちを選ばないの!幸せになれるのよ!?」

それには鼻で「ハッ」と口角をあげて笑った
蒼い炎の様な光を帯びた刀を持った手を引き
ゆっくりと腰を落とし刃に片手で添え、構える


『うちが何を欲しがっちょったか、おまん分かるかえ?
それを答えられたらおまんは殺さんと生かしちゃる。』

「あ、あれでしょ!?愛情が欲しかったんでしょう!
貴方は私を殺せない!一度刺しても二度はーー」

『残念不正解』

瞬時に動き少女の腹を突き刺した
勿論霧にしかならず痛み等ない筈
然し少女は悶え始めた

それを鬼の様な目で見る都佑に
土方らは何もせずに固まったまま見ていた

直ぐに白い眼で土方らを見た後
少女の方を見て見下した様な冷めた目で見下ろす

『やっぱり期待外れやったなぁおまんも
うちを分かる奴は誰一人おらんがよ
…例えそれが自分の親であろうとも』

顔を歪ませ胸に手を置く
左手で刀を地面に刃先だけ置き
右手で胸を鷲掴む

『うちはなぁ、幸せなんてこれっぽっちも要らんのや
ただうちの周りが笑ってくれるんなら
うちは幸せで皆も幸せ。んな位でええやんか。何が不満なん?』

「そんなのウソだ!君は両親に甘えて、土方さんの事がー」

直ぐに間髪言わせず二度刃物で刺す
その場所から黒い霧が溢れてまた身体はもとに戻る

『好きやて?おう。めっちゃ
むっちゃ好きやで?』

土方「んなっ!?」

銀時「都佑ちゃん!?」

『やけど、うちが愛おしくて堪らんのは自分だけや
そうやってうちはうちを護って来たんや。
おまんがそうやって何度も何度も!生き返る様に!!』

そう刀を構え切りかかる
右へ左へ受け取る少女は元に戻り
霧だけにキリがない…ってあれ?寒い?
ねぇシリアスが続いているからって
ギャグ入れたかっただけなんです

いやそんな冷めた目しないでください
お願いします300円上げるからぁあああ


「じゃあ、君はもしかして、一番愛おしい人間を
殺さなければならない為に
”誰も傷付け無い様に”あえて自分を愛していたってこと…?」

山崎「…え?じゃ、じゃあ!!」

二コリと笑い首をかしげる都佑
息は既に上がらなくなっていた

「じゃ、じゃあ!何故君はこんな場所で生きているの!?
この身体を殺せるの?!愛おしければ殺せないんじゃ!!」

『馬鹿やろ、おまんってさぁ。
愛おしいからこそ、自分の手で終わらせれるから嬉しいんや。
だって死ぬ時は愛おしくて堪らん自分の手の中で死ぬんや』

だからこそ私は自分を愛おしく感じる。
他人も傷付けず誰も何も心配もない。
自分だけが傷付き自分だけが笑って居る
それだけで、もう何も要らない処迄、
自分を追い込んで戻れなくなったのだから

都佑はニコリと笑う
嬉しそうに、自分が自分だと認めて
まるで初めての経験を感じ喜ぶ子供の様に



「でも、私は君に何度傷付けられても
この幻は終わらないよ?」

『良いよ、終わらなくて。
終わりも始まりも、何も無かった
…のだから!』

そう言った直後
少女に刀を向け走り出した
髪色は変わり目の色は赤く血走る

少女は手から赤い刀を創り出し未夜の刀を受けた後
距離を取り二人は戦闘を開始した

柏木「副作用を自分の中に取り込み
自分の物にしようとする魂胆かー
ったく、俺も年寄りの役目が終わるってわけだぁ」

そう服をバッと脱いだ爺さんから若い
すらっとした男性が出てきた
柏木と言った医者が黒い炎を纏った衣装を着て
長い髪の毛を後ろで纏め木の上から飛び降りる

落ちた、いや降りた先で隊士達が剣を構えた
然し何もしてこない柏木に構えるだけ構えて様子を伺っていると
沖田が近くに行き説明を強要する


柏木「土方を”蘇生”した後副作用でな
一番苦痛になる幻が今目の前に居るんだよ」

土方「幻?あいつがか?」

柏木「一度土方その者も居ただろうが、
あいつ自分一人に絞りやがって敢えて飲み込むつもりだよ
ったく、末恐ろしい奴だ…薄狼の人間って思わせる奴だよ」

刀を振り回し痛みに耐えながらも少女を切り裂いていく
徐々に少女は二人三人と増え都佑の周りを囲む

直ぐに察知した都佑は足を強く踏み
地面を少女の身体めがけて
鋭利な棘を作り出して一気に消す

その姿は終始泣きそうな顔で観ている側も胸が痛くなる


『うぉおおおお!!』

一人、また一人と消えていく
髪の毛の色は徐々に白くなっている間
都佑の顔は観るうちに酷く歪んでいく


柏木「幻に飲まれれば幸せを得ると同時に死に至る。
薄狼の一番楽に死ねる唯一の方法だ…
が、薄狼は基本否定する。
何故だか、旦那、わかるか?」

銀時「あっ?俺?…単に気に食わねぇってとこか?」

柏木「半分正解。半分は”そんな幸せは御免”と言って斬る。
薄狼は誰よりも他人を思い遣り自分を観る種族である。
自分を好いていたのは自分がこんな時に他人を傷付けない為だと
前に文献で見たことがあるが…まさか本当の事とはたまげたよ。」

右へ左へと炎や水を地面を使い切り裂いていく都佑
泣きそうな顔ながらも行動が余りにもあっさりとしている

少女は都佑が一番愛した時期の状態
その愛した者を殺すと言う事は
都佑本人の心を殺すと言う事

柏木「通常の人間なら自分一人殺して倒れる程の苦痛
なのに彼女は立ち上がり痛みを身体で受けながらも
尚少女を殺し、己を生かす」

少女として生きていた時の己を
彼女は


『おっらぁ!』

新八「刀投げたー!!!」

投げた場所を綺麗に心臓部分に突き刺さる
それを苦しそうに困った様に笑い其処から
小走りで舞う様に周りに居た少女を斬り殺して行く


柏木「彼女はもう、何も必要としない。
本来の”薄狼”として生きる道を選んだんだ。
此れからかなり難関を歩むと言う事も
君が死んだあと間髪言わずに言いに来た。」

土方「俺が?」

柏木「誰も傷付けない、敵も撃ちに行くって言って
直ぐにお前を蘇生して山に籠り対決して勝って

昔から感じていた感情が大爆発して敵を地獄以上の
地獄を味合わせるんだって言ってたんだが、予定が狂ったなぁ」


目の前で繰り広げられている状態は
彼女も柏木も予想外の事

土方達が居る目の前で


『君が、死ぬのなら、私は何、なの?』

柏木「(始まった)」


「私は私だよ?君その者だ!」

『前世なら何でこんなに斬っても斬っても溢れて来る?
記憶だって曖昧だ、君の時の記憶だけ鮮明で、何故
私が土方さん達の事を知っている?ありえない在り得ない!!』

「何故?私は過去の人間だからだよ?
鮮明に覚えているのは魂が憶えているからだ!!」


『じゃあ!何故お母さんの声を憶えていない!
何故私は捨てられたと胸の中に置けた!!
…あれが、夢だった、なんて事は無い、よなぁ?』

あれは悪い夢だった。
目を醒ませば刀のある時代。
パパもママも傍には居ない。
私の心には何も無い。

無い

初めから

無かった

ニヤリと笑った少女の顔が、やけに心に炎が揺らいで


『…お前を殺しても私が死んでも、土方さんや皆が
生きようが死のうが何だろうが、私は、私の、この!』


胸に抱いた夢は「幻であった」のだ。





(だって初めから少女は居なかったのだから)
(だって少女は今も生きる「私」なのだから)