亡羊の嘆

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くるくると廻る 土星の輪っか

色々と時間は過ぎ、10歳になっていました。
いやー覚えることが多すぎてね。
特に文字。いや見た事ねえよ。無理過ぎて自分の世界の字を書いて独学で何とか覚えたのだ。
まぁ精神年齢軽く20歳超えてますので、そりゃ文字の習得も難易では…なかった。うん。多分。

「あ!メリダばーちゃん!に、エル!」

『シン、お久しぶり。』

メリダ「相変わらず元気そうで何よりだい。」

私エルはシンのお爺さん、正確には私とシンを助けてくれた
マーリン=エルフォードさんに一時期育ててもらっていたのだが
男一人で二人の赤子を、しかも片方は女子という事もあり
手が回りそうになく、近所に住んでいたメリダさんが引き取ってくれて
今まで育ててくれていたのだ。

正確には私の名前はエル=ボーウェンなのだが、私が無理を言って
双子という事もあり見つけてくれたお爺さんの苗字を受け取る事に成功した。

いやだって子供の頃シンと一緒が良いと駄々をこねたのだ。
まぁ正確には私がお爺ちゃん、否パパっ子だったからなのだが…

「エルは元気?」

『うん!シンも元気そうで…何よりだね』

背後に伸びていた獣を見て思わず苦笑いが出た。
いやー相変わらず凄いね。

マーリン「おお!エルじゃないか。元気にしておったか?」

『おじいちゃん!うん!私取っても元気!お爺ちゃんも!?』

嬉しそうにきゃっきゃする私が勢いあまりマーリンの身体に飛びつく
それに驚いたマーリンは受け止め、嬉しそうに抱っこをしながら
背中をたたき落ち着かせてつつ、近況を報告してくれた。

マーリン「ほっほっほ、勿論じゃ。」

メルダ「エルってばお前さんの所に行きたい行きたい聞かなくってねぇ〜」

全く、誰が面倒を見ているんだか、とため息をついたことに
私は苦笑いするしかなかった。

「所でエル、今日はお泊りの日?」

『そうなの!だから一日遊ぼー!』

そう笑いながら私はすぐにマーリンのもとから離れ
シンを無理やり連れて外に出かける

遠くに行くんじゃないよーという声が遠のく間に
大きな声で返事を返した。

メリダ「全く、あの子って子は…」

マーリン「元気そうで何よりじゃないか。同年代の子はあの子位じゃろ。そんな事より、そっちはどうなんじゃ?」

メリダ「どうって?」

マーリン「エルの事じゃ。最近また魔力が桁外れに大きくなっておらんか?」

そう不安そうな声で話すマーリンに心配はいらないと
メリダは首を横に振る。

メリダ「あの子の魔力はテンションが上がると同時に跳ね上がるんだよ。何時もだったら全くそんな事ないんだけどねぇ。制御用の魔道具を付けてあれだよ。」

マーリン「なんと!制御をしてあれか…末恐ろしいの。」

全くだよ。そう投げ捨てた頃、エルたちは…

++++++++++++++++++++++++++

『ねぇ、シン。10歳になったから、一つ聞きたい事があるの。』 

森の中、密かに二人で作って居たツリーハウスで話を進める。

「話って?」

『単刀直入に聞くね?君、前世の記憶あるでしょ。』

その言葉にギクリ!ともいう顔で身体が固まった。
大当たり、って感じだな。まぁ私もばらしたから少々心臓がどきどき脈打ってきたけど。

「そういうエルも?」

『先にばらしておいた方がお互い落ち着くと思ってね。』

「そうなのか。で?前世の記憶は」

『死んだ時の記憶はないけど、趣味とか、今までの事ならほとんど覚えてる。そっちは?』

「大体同じ。だけど趣味とか詳しい事は覚えてないよ。」

そうか、ならあまり深い話は出来ないという事か。
そんな事に少し落ち込んだが、まぁ同じ状態である事は間違いない。

「エル、君の名前の意味って」

『パンドラの箱って知ってる?』

「いいや?」

ギリシャ神話に出てくるパンドーラーと呼ばれる女性の事で、
神々によって作られ人類の災いとして地上に送り込まれた。
人類最初の女性とされ、パンは「全てのもの」であり、
パンドーラーは「全ての贈り物」を意味する。

そのパンドラの箱の中身で残っていたものがエルピス(希望)だ。

『まさかエルピスの意味はメリダさん知らないとは思うけどね』

「はは、恐ろしい知識なこって」

『どちらにせよ希望という所は間違ってない可能性もあるよ。』

何故なら、私だけでなくシンも二人とも別世界の記憶を持っているからだ。
普通の10歳児ならもっと森の中を駆け巡って疲れ果てて
眠っていると思うのだが…

「あれ、ばーちゃんたちは?」

『監視されてると思って、幻影作ってそっちに惑わされてるっぽいよ。』

「え?」

『私が幻影を作れる様になったのはつい最近だけど、綺麗にこっちの情報消せる様にならないと使えないなって思って、此間一人でやってみたら、成功したから。今日ずっと騙せてる。』

とんでもない声に口をふさいだ。
流石に声を出すとばれる。そこまで万能じゃないのだ。

「末恐ろしいな。」

『希望と呼んでよ。』

「それで?」

『シンとの情報交換。あと今後どうするか。』

「え?どうするって、」

どうやら全く考えていないらしい。
世界の知識をあのお爺さんから教えてもらっていないらしい。
この男、鈍感なり。

『シンは今何処まで魔法使えるようになったの?』

「魔物倒した」 

魔物?あーまも

『なんですってー!?』

「な、なんだよ!大きな声出して!」

そりゃ大きな声出すわ。
大人が何人もかかって倒すものを
小学三年生位の健全な純粋無垢男子が
剣振り回して倒せるとか何処のチートですか!

『ま、まぁ魔物倒せるって事は魔力の維持だけでなく使い方も大分しごかれたのね。』

「そういうエルは?どういう状態なんだよ」

『私は魔術を主に全部と、魔具の作成ね。此間マスターして、今新しい魔具作ってる。』

「似た者通しじゃねぇか!」

全くである。

『武術はまだ手出してないけど、護身術はそろそろ習得しようと思ってるわ。』

「へーそこまで行ったのか。俺は点で勉強の方はダメだ。」

あはは、今度しごくか。
軽く酷い事考えた自分に笑えないが、気のせいにしておこう。

「にしてもエルが俺と一緒の世界の人間かー全く考えた事なかったな。」

『実際血繋がってないからね。』

「ええ!?そうなのか!?」

『だって私向こうの世界で一人っ子だったから。この世界で同じ血繋がっているとは限らないし、証拠無いし。血液検査かけれないし。』

「はは、そんな事言って血液検査作りそうじゃん」

いや出来なくはないけど、といった私にほら!と合いの手を入れてくる。
全く話が尽きないものだ。

『今後の目標は、前の世界で作って遊んでいた宝石とかそんなところを自分で作れる様になる事かな。まぁ作り過ぎると神様に怒られそうだけど』

「あはは…」

もう声もでないといった声である。
こんなところにしておくか。と思いながら影の所まで歩こうと言って
私達は移動をし始めた

「エルは、俺と一緒の血は嫌なのか?」

『え?いやじゃないし、それに双子で見つかったのに血が繋がっていないって言えないでしょ。』

「え?あ、そうか。」

『どう辻褄合わせるのよ。血液検査どころか携帯電話もないこのド田舎で。髪の色違うって言っても父親と母親の髪の毛違ってたら話合ってしまうからね。』

「そ、そうだよな…」

『この世界では15歳になったら成人だから、多少の世界は見れると思うし、それまでに出来る事は習得しとかないと、後後悔しそうだから。』

しっかりしてるな〜とぼやいた彼に私は内心
仕事の癖が性格に滲み出ているだけだと思いながら
先を急いだ。



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