エル、シンが寝付いた夜中。
シンの家のリビングにマーリン、メリダ、ミッシェルの師匠達が集まっていた。
ミッシェル「何だって!? よりにもよってレッドグリズリーが魔物化してたって!?」
メリダが声を荒げる。それに落ち着けと言わんばかりに
マーリンは人差し指で静かにとサインを送った。
二階ではシンとエルが仲良く二人で眠っているのだ。
マーリン「そうなんじゃ。魔力感知した時はまさかと思うたがのう」
ミッシェル「そして、その魔物化したレッドグリズリーをシンが瞬殺したと……」
マーリン達の間に沈黙が下りる。
メリダ「一体あの子達は何者なんだろうねぇ。
魔法を習得するスピードも尋常じゃないし、
武術だってミッシェルのシゴキに嫌々ながら付いていけてる。
付与魔法に至ってはオリジナルの言語だ。
別の世界から来たって言っても信じられるよ」
メリダがまさに核心を突く意見を述べる。
もっとも、エルだけでなくシンが別の世界で過ごした
前世の記憶を持っている事は知らないのだが…
マーリン「まぁ何者でも構わんよ。
ワシをじいちゃんと呼んでくれて、ワシが修めた魔法の尽くを吸収してくれておる。
元は拾い子じゃが今では本物の孫じゃと思っとる。
ワシはあの子が可愛ゆうてしょうがない。
強くなるのはあの子自身を守る事になる。何も問題はありゃせんよ」
マーリンがジジバカ全開の発言をする。
それをメリダとミッシェルが信じられない様な顔をして見ていた。
ドン引きというよりかは…
メリダ「まさか、あの『破壊神』やら『業火の魔術師』やら
言われたアンタがそんな事を言うなんてねぇ……」
マーリン「あの……その呼び方止めてくれんか?
若かりし日の黒歴史が甦って身悶えしそうなんじゃが……」
この爺さん、若い頃は相当ハッチャけていた様だ。
ミッシェル「ふふ、それが今や『賢者』や『英雄』と呼ばれているのですからな」
メリダ「全くさね、時の流れを感じるねぇ」
マーリン「……それも恥ずかしいから止めて欲しいんじゃが……」
そんなマーリンを弄っていたメリダがふと言葉を漏らす。
メリダ「まぁあの子を可愛いと思っているのはアタシも同じさ。
あの子に『ばぁちゃん』と呼ばれるとどうしても顔がニヤけちまう。
アタシもあの子の事を孫だと思ってるのかねぇ…」
マーリン「……」
マーリンとメリダの間に微妙な空気が流れる。
それを察した訳でも無さそうだがミッシェルが言葉を発する。
ミッシェル「しかし、魔物化したレッドグリズリーを単独で撃破出来る程に成長しているとは。
これは今後の稽古を厳しくしても良さそうですな」
相も変わらずな事を言い出した。
メリダ「はぁ……あの子も災難さね。こんな脳筋に気に入られちまうなんてねぇ」
とメリダが孫の体を心配する様に呟けば。
マーリン「ほっほ、お手柔らかにのう」
と相も変わらずな事を宣った。
シンの知らないうちに稽古のグレードアップが決まっていた。
マーリン「してメリダよ。あの子の事じゃが」
メリダ「嗚呼、エルの事かい?あの子は凄い子だよ。
裁縫から家事炊事から物心ついた頃から頭の中で考えてそうだったよ。
まぁ危険な事も察知していたのか、
家事手伝いを始めたのは8歳超えてからだったがね。」
ミッシェル「武術は?」
メリダ「仮にも女の子だよ!一見大人しそうな顔してるけど、中身は結構ぶっ飛んでるよ。
シンはまだ自分の事を正確に判断してそうだけど、エルに教えると変な事迄知らない間に
習得してきそうで怖いんだよ!」
それはシンも同じなんだよな。とマーリンは心の中で考えていたが
メリダの感情に薪をくべるのはよしておこうと口には出さないでおいた。
ミッシェル「へーでも教えるんだろ?少しは。」
メリダ「…まぁ、少しはね。魔術も興味持ってるっぽいから、一人でやるよりも二人でやった方が良いかと思ってね、暫く世話になるよ。」
そうマーリンの方を向いて軽くおじぎをする
そんな事をしなくても任せてくれとマーリンは喜んで受け入れたのだった。