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『んー知らないー』
「都佑さん?知らないって言葉は私知りませんね〜」
『ねぇ!誰か教えて!?メルルが何かレベルアップしてんだけど!?』
「自業自得だな」
そうねそう言ったマァムとポップに都佑は何でー!と声を上げる
泉から上がった都佑とポップだったが、服がすぐに乾いたことに不思議がる
それにラーハルトが説明を加えた
この泉自体外にでると自ら泉に戻るとのことなので
余程の事が無い限りは泉はずっとあり続けるのだ
「所で都佑何か思い出した?」
『え?いやーそれは〜』
「まぁ色々ミーネさんから聞いていますから大丈夫ですよマァムさん」
その言葉に都佑の身体が石のように固まった
そうねーと言うマァムに、ポップも立て続けに言う
「嗚呼、そうだなぁー?都佑が俺のことで困ってたこととか〜?
あとメルルと仲良くしたくても出来なかったこととか〜?」
『ちょ!ポッ!?え!?嘘!ちょどこまで知って!?』
にやにやするポップに都佑が顔を赤らめてラーハルトの後ろに隠れた
よさんかと手を前に出すラーハルトにポップが軽く嫉妬した
「ミーネから衣服を預かっている。これに着替えろって言っていた」
『ミーネから?了解、着替えてくるわ』
そいじゃそう言って消えた都佑にお前らなと声が上がる
膨れるポップ達にラーハルトは深いため息を吐いた
「にしても結構変わるもんだなぁ〜ミーネの方が割とおしとやかなんじゃ?」
「ちょっとポップ…?まさか都佑のことを」
んなわけねぇだろ!あいつはどんな姿でも!!と言ったポップにマァムが笑う
「都佑様はあのアルス・マグナの名を引き継いでいるんだぞ!
多少姿が変わっていた為まさかこういった状態で会うとは思わなかったが…」
「そのアルス・マグナってどういう意味なの?」
『確か私の世界ではこう呼ばれてたよ?』
偉大なる魔術師
そう言った都佑に数名が都佑の名前を呼んだ
左に緩く巻いた髪の毛をひし形の青い紋章のついたゴムで止め
額の上の方にクロスターバンを巻いて出てきた都佑
服は昔の古着だと言っていたのだが、紺色の緩いズボンから変わり
ミニスカートに近いヒラヒラした紺色のスカート姿
胴体は前に着ていた黒の首にクロスしつつひし形のように胸元を開けてはいるが
腹を黒色の衣装で隠している
前は黒い衣装が腕まで隠れていたが、中指にリングをかけるように
覆いがない手袋をしていた。フィンガーレス・グローブとの名前に聞いた事ねぇと
声をあげる者もいたが、女性陣が分かって説明していた
ローブは母親が使っていた緑色のローブを着てきた
『おっまたー!』
「都佑!?それって」
『どー?似合う〜?かあさまのお古なのー!新品に見えたからきて見た〜!』
素敵です!そうメルルに言ってもらい上機嫌の都佑だったが
話の流れで忘れていたらしく、話を少し戻す事に
『ラテン語だったかな、あーそりゃあっちの世界か。まぁ大体同じ名前でしょ。』
「偉大なる魔術師って、そんな奴がいたのか」
「どんな魔術でも使いこなす祖先で、人間離れした魔術も使うって聞いてはいたが
ごく稀に点で魔術を使えない者が現れると話には聞いていた。」
『なはー!それ私〜!いやー別にさ?
使えなくていいやーって最初は思ってたからね。』
よっ、と。そう言ってポップの前に立つのに数段上から降りてきた都佑に
隣にいたメルルに心配されるも、都佑はへっちゃらと腕に手を当ててウインクした
その姿が、何処かミーネに見えて、メルルはそっぽをむいた
無理もない、数時間前まで親友として会話していたのだ
ポップは少しだけ真面目な顔でメルルを見ていた
「それで?ダイの居場所が分かりそうなのか?」
『ミーネに聞いたらおおよその検討は作ってさ。
恐らく私の魔術でこの森の何処かか、
或いはその奥にいるんじゃないかって話してる。』
「え!?もうこの近くなの!?」
『ドラゴンを守る為の隠れ家を作ってたんだって。
私もミーネと一緒に話すまでは知らなくてさ』
「まぁ今夜はもう遅いですし、日が出てから出発って所ですね」
そう時刻はとっくに日を跨いだ時間だった
急いで寝る準備をー!と慌てるマァム達に都佑は苦笑いする
「にしてももう頭の痛みはないのか?」
『ん?ええ!もう痛まないよー』
「そのまま無茶もしなけりゃ、最高なんだが、なっ」
『んもう!ポップ!?』
笑うポップの姿に、なんだかホッとしましたとメルルが呟くのに
マァムが名前を呼んだ
「今まで切羽詰まった顔してましたから…本当に良かった、」
「メルル…そうね、これでやっと
あとはあの子だけになったってことね」
ダイその言葉が皆の中で生きる
寝るよー!そう言って都佑が電気を消して二階に上がる
下では朝から出ると言っていたヒュンケルやラーハルト達が眠り
上ではメルルとマァムがポップと話をしていた
『皆寝れそうだってさ』
「そりゃ貴方が帰ってきたんだもの。皆今日はぐっすり眠れるわよ」
じゃ皆おやすみーと言って出て行こうとする都佑を引き止めたのは
以外にもメルルだった
『メルル!?』
「もぉ!都佑さん?これ以上ポップさんを困らせないであげて下さい!
ここは都佑さんのご両親の部屋なんでしょう?
私やマァムさんが使用する場所じゃないです!」
そう言い切ったメルルが都佑をポップの胸の中に押し込み
同時にポップの隣に居たマァムを連れて外に出て行く
「じゃ!私達は隣の都佑さんの部屋で寝させてもらいますので!」
ごゆっくりー!そう言ったメルルに、都佑はあの部屋一つしか
ベットなかったようなーと首を傾げて唸っていた
「ぷっ…っくく、都佑、おめぇさ
メルルにあんな言われるとか中々ねぇんじゃねぇのか?」
『うるっさいわね…し、親友なんだから、それくらい当たり前、でしょ?』
そう照れる都佑に目を開いたのはポップの方だった
その言葉を聞いていたのはミーネ本人の筈なのだ
どうも都佑曰くあの眠った時間から
ずっとミーネと交代しただけであって
遠くから見届けていたらしい。
なのである程度の感情は読めていたとのこと。
2人して騙していたのか〜とポップが
ベットに背中を思いっきり倒れる
それに都佑はそんなことないよと目を瞑って首を横に振りつつ答えた
『ポップに抱きしめてくれた瞬間、私が話したんだよ?』
ーあの、ね?ぽっ、ぷ
そう言った声が思い出す
嗚呼未だに夢にまで出てくるのだ
勘弁してほしい
目を閉じればすぐに思い出せる
べっとりとついた血の色に、
銀色の目が薄れ片目が黒く見えた
視界が見えづらくて仕方がなかった
あの時間あの音が消えた瞬間
ーポップ、好き。
そう言ったあの時間が、ずっとあるのだ
『アレ、ミーネに聞いたらさ、
在り得る筈がない状態なんだって言ってたの。』
「あり得る筈が、ない?」
『一度感情を切り替えると表に出ることはまず出来ないんだって。
なのに、あの時あの瞬間私が出て行った。この意味、わかる?』
それは、もう二度と会話出来ないと思ったから
だからミーネが都佑を許したのだと思っていた
なのに、違うと言うのだ
都佑がミーネの感情を押し切って、前に出たのだと
月明かりが部屋の中に入って
都佑の顔を照らし出した
『ね?ポップ』
そう言った都佑をベットに押し倒した事に気付くのは
声に出してからだった
「…なぁ、俺ぁまだおめぇに聞いてねぇんだよな?」
『…うん、そうだね。ポップの名前、好きだよ?』
「ははっ、そりゃどーも」
月明りの下笑った彼の黒髪が淡く白い輝きを照らした
あの日から身長も伸びて、筋力もついている。
きっと沢山これから悩ませることがでるだろう。
きっと、前を向いて歩かなければならないのだ
そう。きっと。
「何かまだ考え事があるってか?」
『ポップ…』
「言ってくれよ、ミーネと約束しちまったんだからよ」
ーポップ、都佑を、都佑を1人にしないであげて。
そう言った寂しそうに笑うミーネを思い出しながら心の声で
分かってるよ。と返した
「な?」
『…ちょっと、時間頂戴』
そりゃ数時間前に数年分の情景を整理するなんて
人間じゃなくてもきっと無理だ
ましてやポップは人間で、都佑の様な立場になった時には
きっと整理する前に記憶を消して忘れていることだろう。
だから、都佑は凄いと思う。
「ほんと、すげぇよ。おめぇは」
『え?私が?』
「何度だって無理だって分かって立ち向かってってさ?
そういやさ、何で俺にあの時血を渡したんだ?」
それはポップがアバンのしるしで悩む前の事だった
ダイが戻ってきた直後の夜
都佑は目を覚まして、ポップに渡した
『あの瞬間しかないと思ってた』
「だがよ、お前さんが居なくて変えたくなかったんだろ?
じゃあ俺に渡すこたなかったわけだ。」
『…私がこの世界の物語を知っていることを何で知っているのかは置いておくとして、
何でそう思ったの?』
質問で質問を返されちゃー困るぜ?そう笑うポップに
都佑はそうだねと笑って返した
「単純な話、お前さんの記憶通りになるなら、
血だろうがあんな大きな球ぶっ放すこたなかったわけだ。
だが、そうしないといけない何かを感じた…かあるいは」
此処なら元の場所に戻れる可能性が出たから。
その言葉に都佑がポップの目をみた
やっと目が合ったな。とほほ笑んだその目に
都佑はそっと目を逸らした
『ポップ?貴方占い師でも転職してる?』
「ははっ!お前と何年の付き合いだと思ってんだ?
こちとらマァムと同じ時期に会ったんだぜ?」
そりゃ失礼しました。そう言って都佑がベットにダイブしたのを見るために
肘を立てて頭を上にしつつ身体を横にしたポップ
月明りで、2人が一つずつ窓枠の影が照らされる
「都佑、お前メルルがあの時俺の事を好きだって言ったら
二度と表にでないつもりだっただろ。」
『っ、』
「やっぱりな。そうくると思ってたんだ。言っとくが、
俺とメルルは意思疎通が可能なんだよ。テレパシーってやつ?
それでミーネに会話する時にかなり悩んだんだぜ?」
ーポップさん、これって
ーああ、こりゃメルルお前さんの言い方次第じゃ二度と戻ってこねぇぜ?
ー…でも私決めてるんです。こう言いたいって。
ーメルルがそう言うなら、俺は従うさ。
「ミーネとは会話できるのか?」
『夢の中なら…でもそんな確実に出来るとは限らないかな。』
「あいつに伝えて置いてくれ。“分かった”ってな。」
それは一体何時の返しなんだろう?
都佑が首を傾げながら頭を抱える姿を見てポップは笑った
『(あれ最終決戦前位って確か51レベ位だったよなポップ…
って事は、二年も経ってるから鍛えてたら軽く70レベいってんちゃう?)』
そう言えばミーネに古代文字と書物の読み方を全く教えてもらっていなかった
というか、そもそも教えられるものなら教えて欲しいものだ。
「ま、何はともあれ…おかえり、都佑」
そう笑って寝っ転がったポップに都佑はただ嬉しそうに笑って答えた
『ただいま!』